ブログ小説の二十七回目の更新。楽園について。
あなたにとって楽園と思える場所はありますか?「楽園」は英語でParadiseと書きますが、この言葉の語源はpairi(周囲に)+diz(壁を作る)なのだそうです。
僕はこれを聞いて、本当の楽園とは心の中にあるのではなかろうか?と考えたわけです。心の壁を作ったものだけに楽園は作られる。
…と、精神論を謳っても面白くないと思うので、ボク個人の楽園を考えてみると図書館がそうかな?って思います。図書館って、この世の中の七不思議じゃないですか?
最近の図書館はネットで予約が出来るし、読みたい本がそこになくても取り寄せてもらえるし、本だけじゃなくCDやDVDもあるし、あれらすべてが無料っていう所が革命的です。
何か嫌な事があった時は、ミュージックプレイヤーを持って図書館で一日読みたい本をひたすら読み続けるのが僕のストレス解消法です。
…という事で、ここからは過去に書いた小説をブログ形式に変換して投稿していく企画。映画のような人生をというブログ小説をお送りします。
全部で39章分あるのですが、今回はその中で第二十七章「楽園」をお送りしたいと思います。どうぞよろしく。
【ブログ小説】映画のような人生を:第二十七章「楽園」
ぼくは地面に張り付く。目の前のテレビから星が降る。砂嵐は耳に心地よく響く。ここは母のお腹の中のようだ。ずっとこの空間に存在していたい。自由はいらない。安定した束縛。矛盾が世界を創り上げる。すばらしい新世界。
ぼくは母に反発しながらも実はレールを敷かれることに満足していたのかもしれない。孤独。恐怖。絶望。そのすべてから母はぼくを守っていてくれていた。卵のように大切に。すべてを決めてくれる。なにもかも。偉大な母。
自由は屈従。殻を破らず産まれる事もない。自分の力で何も選ばない。ぼくの心はロボットで、冷たく硬い。それでいい。ぼくの代わりはいくらでもいるんだ。ぼくはいらない。いらない。いらない!
ぼくはぼくである必要はなく、消えてしまってもかまわない。誰も悲しまない。悲しんでくれる人なんていない。ぼくは価値がない。ない。ない! 生きている意味がない。なにも見えない。なにも聞こえない。なにも発したくない。なにも。なにも。なにも……。
わからない。存在も生命も価値も名誉も幸せも。もうどうでもいい。そんなこと。すべては終わったんだ。すべてに気付いた。考えなければいい。ぼくは頭をからっぽにする為に再び煙を深く吸う。
地の底に沈む。深く。深く。深く。
【ブログ小説】映画のような人生を:第二十七章「楽園」あとがき
さてさて。楽園についての内容だったので、今回は少しそのことについて。
楽園と言えば、南国のビーチを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実は人間が幸せを一番感じる温度というのはすでに判明しておりまして、13.9℃らしいんですよ。
2011年に大阪大学が『Weather and Individual Happiness』という論文の中で発表したことなんですけどね。
13.9℃と言ったら、南国というよりもちょっと肌寒い感じじゃないですか。
日本で言うと春や秋がそのぐらいの温度であることが多くて、確かに春先は明るい気分であることが多い気がします。
ただ僕の場合は、温度よりも太陽が出ているかどうかが大きくて、天気が曇りっていうだけでも、心が沈みます。
これも実際は他の学者が検証をしていて、人は太陽を浴びると脳内にセロトニンという物質が分泌されるらしいんです。
このセロトニンは別名、幸せホルモンと言われていて、鬱病の治療薬にも用いられているものなのです。
たとえば5月病ってあるじゃないですか。僕は毎年この時期に何故かガッツリ体調を崩すんです。
それまでは4月から新年度が始まって、気を張って頑張ってきた所でゴールデンウィークがやってきて、緊張の糸が切れて体調を崩すとか考えていました。
でもこのセロトニンの話を考えてみると、4月5月は花粉症がひどすぎて外に出なくなって、太陽に当たらなくなるからセロトニン不足に陥って体調を崩すのかもしれませんね。
…っていうのを考えると、楽園で南国のビーチを想像するっていうのも、もしかしたら無意識に太陽の光を浴びられる場所という所から来ているのかもしれません。
ではでは、【ブログ小説】映画のような人生を:第二十七章「楽園」でした。
野口明人
ここまで読んでいただき本当に、本当にありがとうございました!
【ブログ小説】映画のような人生を:次回予告
注意:
ここから先は次回の内容をほんの少しだけ含みますが、本当に「ほんの少し」です。続きが気になって仕方がないという場合は、ここから先を読まずに次回の更新をお待ち下さいませ。
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後にぼくが吸ったものがアヘンだと知ったのはそれから数ヶ月も後の事だった。
次回へ続く!
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