『ケンタッキー食べ放題』という言葉…。野口が世界で一番好きな食べ物はケンタッキーフライドチキン。そして世界で一番苦手な言葉は「食べ放題」。好きなものと苦手な物のコラボ。なんという化学反応。
一度は躊躇した組み合わせでしたが、「できたてチキンを好きなだけ!」という言葉に釣られ、ついにチャレンジしてきました。
食べたその日に記事を書こうと思ったんだけどね。椅子に座ってられないぐらいお腹がトリさんで一杯だったからね…。やっとお腹が落ち着いて来たので体験レポ書いていきたいと思います。
『ケンタッキー食べ放題』との出会いは30キロの散歩中…
えー、最近、夜に歩くことをはじめました。…と、言うのも近々、四国遍路に行こうと思いまして。その練習がてら毎日30キロ歩いているのですよ。30キロ歩くとなると、まぁ大体6時間ぐらい歩いているわけですが、それだけ歩いていると様々な風景に出会います。そして様々な発見があるわけです。
たとえば…
大量のにゃー達を発見したり、
孤独なカブトムシに勝負を挑まれたり、
近未来的な工場を発見したりね。
そんな中で、6時間も歩いていると腹も減ってくるし喉も渇く。そんな時は別にダイエット目的で歩いているわけではないから、ちょろっとスーパーに寄ったり、ファストフード店に入ったりして、歩きながら食べられる物を買って、右手にチューハイ、左手にからあげみたいな感じでニコニコしながら歩いてるのです。
んでね、8月28日の事です。僕は発見してしまったのです。ケンタッキー食べ放題の張り紙を!…写真取るの忘れたけど。
家に帰ってから『ケンタッキー食べ放題』を検索せずにはいられなかった…
ケンタッキー食べ放題。なんという凶暴で至福な響き。僕が好きな食べ物。1位からあげ。2位豆腐。3位うどん。からあげというか、鶏肉。鶏肉が大好きなのです。ケンタッキーをからあげと言ってはいけないのかもしれないけど、誕生日やクリスマスなどのイベント時には一人で3野口(3000円)ぐらいを握りしめて、ケンタッキーを一人でむしゃむしゃ食べるのが恒例行事。
そのケンタッキーが食べ放題。
な、なんという破壊的な言葉。僕の心を掴んでは離さない暴力性。実は僕は食べ放題が苦手です。というのも、若い頃に食べ放題に取り憑かれていた僕は、毎回食べ放題に行く度に元を取ろうと食べまくり、食べ終わる頃には「もう絶対に食べ放題に行かない。お腹いたい」と言いつつ、数日後にはお金がないのでやはり食べ放題に行ってしまう…の繰り返しだったのです。中華街の食べ放題に行き、道で倒れた事も。
そんな若気の至りから学んだ僕は、“好きなものは時間制限を気にせず、ゆっくり食べたい。美味しいものを美味しいと感じる状態で食べたい。”という心情を三十路に入ってからは守り続けて来ました。
…でもさ、ケンタッキーだよ?一番好きな食べ物だよ?検索しちゃうよね。ケンタッキーフライドチキンのホームページで見つけたのは以下のような平成28年の告知。
ケンタッキー食べ放題の詳細
なんと!!予約制!!しかも8月30日(水)が最後のチャンスじゃないか!!年度が違っているけど。でも店舗に張り紙貼ってあったから実施するのは間違いない!どの店舗でもやっているわけではなく、選ばれし店舗のみ!これは神の啓示か。
たまたま歩いている時に見かけ、入った店舗がその選ばれし店舗。しかも二日後が食べ放題最終日。これは考えている場合ではない。考えている時間もない。
「食べ放題が苦手だと?それはそんなに好きな食べ物じゃない物を食べまくっているから体が拒否しているのだ。ケンタッキーフライドチキン様なら、いくら食べたって後悔なんてしないであろう」
そんな声が聞こえてきた僕は次の日、30キロの散歩がてらケンタッキーフライドチキンへ予約をしに行ってまいりました。予約は終了しましたという事もあり得るよな…と恐れていましたが、僕が行った店舗では17時ならまだ予約空いていますよ〜と丁寧に説明していただきました。17時はいつもよりちょっと歩く時間早くなるけどいいか!と予約OK。
あとは、当日お腹の調子を万全にして向かうのみ!
そしてケンタッキー食べ放題、決戦の8月30日。…大雨やないかーい!!
朝起きて、何も食べず。お昼もスープのみ。食べ放題に向けてアスリートの如く、お腹のコンディション調節を行っていると、外から不思議な音が聞こえてくる。
ごおおおおおおおおおおおおおおおおお。
えっ…。あり得ない程の豪雨なんですが。ニュースをつけると記録的な豪雨らしく、僕の住む県、埼玉は車のタイヤが全て浸かってしまう所も見受けられるという…。えーーーーー。神様よ。なんて事を。食べ放題ってそんなに苦行でしたっけ。これは歩いていけないじゃないですか。
30キロ…。その道のりは晴れているからこそ歩けるもの。雨の30キロは流石にちょっと。四国遍路だったなら、ポンチョとか被って歩くけど、今日は別にそんなんじゃないし。車あるし。本当なら食べ放題で膨れたお腹を消化する意味でも歩いて行って、歩いて帰ってきたかったのだが車で行くことに変更。
時間は16時40分。車で向かうと思いの他早く着いてしまう。店員さんに声をかけ料金である1380円を支払うと「少し早いですがもう始めちゃいましょうか」と店内に案内される。
ケンタッキーフライドチキンの店内を見て、野口は賢者タイムを発動…。
て、店内に…
人っ子一人おらん。お客さんが、消えた…。僕だけがいる街。なに、この異様な空間。食べ放題ってそんな異空間で開催されるのか…。雨が降る街、暗がりの部屋で一人、チキンをむさぼる自分。…そんな想像をするとなんというか、アレが終わった後の一種の虚しさというか賢者のような心が僕に芽生えて来ました。
ま、でも匂いがね。ケンタッキーの匂いがプンプンしてるんでね、そんな想像どこかに消えたけどね。幸せな気分のが勝ってしまったよ。そしてそんな僕の一人妄想劇場を横目に、店員さんは予約席に通してくれました。
うふふ。
ご予約席!!むっふー!「できたてチキンを好きなだけ!」むっふー!これですよこれ。「みんなでチャレンジ!」独りだけどねー!
店員さんは、一枚の紙を持ってきてルールを説明。タイマーでちゃんと測るんだね。45分。食べ放題。
そしていよいよケンタッキー食べ放題の戦いが、いま、はじまる!
…しかし、初っ端からアッパーをくらいフラフラになる僕
ホームページに書かれていたルールを簡単に説明します。最初にオリジナルチキン3個、フライドポテト、ビスケット、ソフトドリンクが運ばれてきます。それを全て食べ終えた後に、おかわりしたいものを紙を持って注文するシステム。
…が!!
どこを見てもビスケットが見当たらない。あれね。ケンタッキーフライドチキンって言えばチキンも美味しいけど、ビスケットという名のスコーンにメープルシロップかけて食べるのも堪らなく美味しいよね!!ってやつ。
代わりに目に入ってきたのがコレ。
レッドホットシュリンプ…だと?
紙を見てみると、見事にビスケットの上から塗りつぶされた跡が。えええ…。ちょっとビスケットも楽しみだったのになぁ。
…ってか。
見るからに辛そうやないか!!
僕こと、野口くんは辛いものが苦手です。特に唐辛子系の辛いのが。からいはつらい。辛さというのは舌が火傷しているんだよ…という豆知識を知ってからというもの、極力辛いものを避けてきたのです。
しかし、すべて食べなければオリジナルチキンのおかわりが出来ない。店員さんにルールを何度も確認し、食べなければおかわり出来ない事を聞いた僕は、涙目でレッドホットシュリンプに赤いチリソースをかけました。
ケンタッキー食べ放題の開始5分で味がわからなくなる。
店員さんがストップウォッチでピッとボタンを押し、スタート。オリジナルチキンに手を伸ばし、パクリ。う、う、うううめぇえーーーーー!!!やっぱり世界一美味しい食べ物だわ。ケンタッキー。本当に熱々でウマー!
猫舌の僕はチキン、チキン、ジンジャエール。と、時折冷たい飲み物でチキンを冷やしながらトリさん達をお腹に流し込んでいきます。オリジナルチキンはものの3分で消えました。そしてフライドポテトもサラッとお腹に流し込む。あれなんだね。個別で写真撮るの忘れたけど(制限時間あるから)、ケンタのフライドポテトってよくある棒状のポテトじゃなくて、ブーメランみたいな、どこかの部族の武器のような形になったんだね。
んで…問題はヤツ。サックサクの衣に身を包まれたエビたち。レッドホットシュリンプ。こいつを食べなければオリジナルチキンをおかわり出来ない。意を決してパク。
あれ?
エビうまー!!何これ。プリップリのサックサクやないか!
…と、思った5秒後。
や、やばい。辛い。辛すぎるーーー!!!(あくまでも個人の見解です)もう何も味しない。なにこれ舌が火傷したとか、もう大炎上だよ!味覚崩壊だよ!
…とか、言っている間に時間は過ぎていってしまう。もうよい。偉大なケンタッキーフライドチキン様に口直ししてもらおうじゃないか。大丈夫。…大丈夫だよね?
紙を持ち、空になったバスケットを持って席をたとうとすると店員さんがやってくる
僕が行ったお店は、一階がレジで食べる所は二階でしてね、一回食べるごとにバスケットを持って階段を降りないといけないわけですよ。これが面倒だなぁ…とか、考えていたんですが、そこはもうサービス満点のケンタッキー様。
メイドさんのごとく、僕が食べ終わったのを察してくれて、大きなかごを持ってきておかわりはいかがですか?と席までチキンを持ってきてくれた。
おお。これが貸し切りというものか。まさにこれは盛岡名物わんこそばならぬ、ワンコチキンやないか。わんこちきん。犬か鳥かどっちやねん。
…うん。
なんか、ごめんなさい。
僕は店員さんにオリジナルチキン3つおかわりでお願いします!!と伝え、熱々のチキンをバスケットに追加してもらう。
汚いけどね…。新しいバスケットに交換したかったけどね…。でもまぁ、そんな事はささいなこと。時間のある限りチキンを!トリを!僕の為に犠牲になる命に感謝しながらお腹に入れるのです!いただきまーす。
追加された3つを食べて気がついた。味がしない。口の中の辛さはチキンじゃ消せない…。ぷわーーー。でも、時折鼻を抜けるジューシーなオリジナルチキンのスパイスの香りが僕の手を止めさせません。ひょいひょいひょいっと6つ目のオリジナルチキンを完食。
今度はワンコチキンの店員さんは見当たらなかったので、食べて骨だらけになったバスケットを片手に一階に降りていき、新しくオリジナルチキンを三つ追加してもらいました。
これで9つ目。あれね。紙に書いてある正の字は6個になっているけど、おかわりの数が6個ってこと。最初に3個あったわけだから、あわせて9個って事。ココらへんで、味覚が戻ってくる。うん。美味しい。やっぱりケンタッキーフライドチキンは美味しい。
…でも、ちょっとお腹が一杯になってきた気がする。いつもは誕生日とか3つぐらいずつしか食べんし。それの三倍以上一気に食べているわけだから、結構お腹が膨れてきている。ちょっと休もうかな。
そう思った時にその空気を察してくれたのかくれなかったのか。ワンコチキンの店員さんが登場。おかわりはいかがですか?
なぜか3つ縛りという勝手な自分ルールから抜け出せない。僕は店員さんにパチリとアイコンタクトを送る。そろそろお腹一杯になってきたから小さいのでもいいですよー。というアイコンタクトを。
店員さんは優しく微笑み、あっつあつのカゴからオリジナルチキンを3つ取り出してバスケットに置いてくれました。
ん!?
で、デカい!!でかいよ!!このお客様はよく食べるお方だから大きいのがご所望だ!と読み取ったのですね!!わかります!あざーっす!その優しさに感謝しまーす!!
…うぅぅぅ。げふぅー。
お腹一杯になってきた。でも諦めちゃダメだ諦めちゃダメだ諦めちゃダメだ。「できたてチキンを好きなだけ!だろ!お前の好きはそんなもんか?違うだろ?世界一好きなんだろー」そんな声が頭に響き僕はかぶりつく。
う、うまい!!
なにコレ。でっかいチキンむっちゃうまい!辛さで消えたはずの味覚が戻ってくる。やっぱりケンタッキーフライドチキンは偉大じゃ。美味しいなぁ。
でも…デカい。
残り10分。ケンタッキーで僕は暴挙に出る。
見えますか。オリジナルチキン3つに隠れているレッドホットシュリンプが(笑)
時間も残り10分。お腹もパンパン。でも食べたい。悔いの残るような事はしたくない。やらないでする後悔よりやってする後悔だ!と決意した僕は紙を持ち一階のカウンターでオリジナルチキン3つとレッドホットシュリンプを注文しました。
なぜレッドホットシュリンプを?
辛さは食欲促進の効果があると聞きます。目的はレッドホットシュリンプのエビではなくチリソース。これをオリジナルチキンにかけて食べたらどうなのか!と思い付いたのです。
そして一口食べて思った。
くっそまずい…。
オリジナルはもうすでに完成されているもの。そこに別物が入り込む余地なんてなかったんや。僕はオリジナルチキンにかけてしまったチリソースをエビで拭いとり、普通に食べることに決めました。やってする後悔。考えてみればどっちも後悔じゃん。ゴール一緒じゃん。スタートからこの選択肢は間違っていたんじゃん…。
ケンタッキー食べ放題の結果発表
じゃーん。45分の食べ放題1380円。僕はその45分で、オリジナルチキン16個、フライドポテト1個、レッドホットシュリンプ2個、ソフトドリンク1杯をたいらげました。
時間ギリギリで最後に一個とオリジナルチキンを頼みましたが、タイムアップ。これはもう食べちゃダメなのかな?と思っていると、店員さんが優しく「こちらの席は次の食べ放題のお客様がお使いになられますが、他の席でしたら、ゆっくりと食べていただいて構いませんので」と囁いてくださった。
おお。天使や。神様の国だったんや、ケンタッキーフライドチキンは。ギリシャ神話にもいるもんね。ケンタッキーフライドチキンっていう神様。北欧神話だったかもしれないし、日本書紀だったかもしれないけど。
僕はその最後のオリジナルチキンを時間制限を気にせず、ゆっくり食べました。最後の最後まで大変美味しゅうございました。ありがとうトリさん。ごちそうさまでした。
そして満腹満足のお腹を抱え、外に出るとあれだけ豪雨だった雨は、あがっていました。
ケンタッキー食べ放題の後日談
雨上がりの空を眺め、少々の黄昏を感じた数分間。あぁ。幸せだ。こんなに美味いものを好きなだけ、あつあつで食べられるなんて。
…と、思ったのも束の間。待っていたのは古代ローマ帝国が考えたのかもしれないシートベルトという拷問。シートベルトとは安全を守るものと聞いていた。そうやって僕は大人になってきた。なのに今、安全を守るシートベルトに苦しめられている僕。や、やばい。これはマジでヤバイ。
ブレーキを踏む度、アクセルを踏む度締め付けるシートベルト。飛べないトリはただのトリだと、お腹から羽ばたこうとするトリさん達。…あ。これ知ってる。セブンや。ブラッド・ピットが有名になったサイコサスペンス映画『セブン』なんや。
この映画に出てくる第一の被害者、「GLUTTONY(暴食)」の罪で殺されたやつ。
死ぬまで食べ続けされられたってのを観て、え?食べて人って死ぬの?って思ったけど、これ確かにヤバイ。シートベルトに殺されてしまう。
ぷおぉぉ。。。
その後なんとかして家にたどり着いた僕は、座ることも出来ず、その苦しさが通り過ぎるのをただ横になって待つ事しか出来ませんでした。く、苦しい。その後24時間はひたすらに喉が渇くのみで、食べ物は全く食べたくない。とにかくひたすらに喉が渇き水だけを飲み続ける。
しかも不思議なことにトイレに行かない。全然外に出ていかないのです。水を飲んでも汗で出るだけ。次の日の8月31日、寝て過ごしましたが結局一回もトイレに行きませんでした。
夕方頃目を覚ました僕は、外が晴れていたのでまた30キロ歩きましたとさ。おしまい。
追伸。
ケンタッキー食べ放題の次の日は31日だったんで、サーティーワンでアイスを2個食べました。
レッツ! ドーナツブレイクというフレーバーがむっちゃ美味しかったです。
「俺の胃袋は宇宙だ!」