統合失調症で引きこもりが四国遍路を歩きに行った日記01日目。
人を傷つけるつもりで書いた日記などなかったはずですが、写真が一部見せちゃいけないやつだったりしたので削除するにいたりました。
…そして旅からちょうど一年後、そう言えば去年の今日出発したんだなぁと思い出しまして、せっかくだから記録は残そうと思って書き直しました。
そのさらに一年後、気持ちの整理がついて来たので、統合失調症で引きこもりの僕が旅から何を学んだのかを、引きこもりのあなたに伝えようともう一度書き直すことにしたのです。
ではでは、再々編集版よろしくどうぞ。
- 1 旅ブログ:統合失調症で引きこもりが四国遍路を歩きに行った日記01日目
- 2 統合失調症ブログ四国遍路日記編01章:新宿
- 3 統合失調症ブログ四国遍路日記編02章:深夜
- 4 統合失調症ブログ四国遍路日記編03章:徳島駅
- 5 統合失調症ブログ四国遍路日記編04章:第1札所
- 6 統合失調症ブログ四国遍路日記編05章:歩き遍路
- 7 統合失調症ブログ四国遍路日記編06章:四国の人
- 8 統合失調症ブログ四国遍路日記編07章:2番札所
- 9 統合失調症ブログ四国遍路日記編08章:3番札所
- 10 統合失調症ブログ四国遍路日記編09章:5番札所
- 11 統合失調症ブログ四国遍路日記編10章:6番札所
- 12 統合失調症ブログ四国遍路日記編11章:不信感
- 13 統合失調症ブログ四国遍路日記編12章:おじい
- 14 統合失調症ブログ四国遍路日記編13章:外国人
- 15 引きこもりが歩き遍路に行った旅ブログ1まとめ
旅ブログ:統合失調症で引きこもりが四国遍路を歩きに行った日記01日目
僕は悩んでいたのだ…
統合失調症に悩み始めて8年。人と関わるのが怖くなり引きこもりになった僕。
親からの勧めで四国遍路をやろうと思い立ち半年ほど。色々と準備してきて、いよいよ今日から四国にやってまいりました。
以前チャリの旅をした時に一番楽しかった四国。その四国を今度は歩きで一周してやろう!そして少しでも統合失調症が良くなれば…というのが今回の目標です。
チャリと歩き。全然違う旅である事を初日から思い知らされる事になる…。
…と、最初に話しておきますが歩き遍路として始めた旅ですが、途中からお接待の旅に変わっていきます。
僕の人生の指針となるであろう出会いをしたというのが今回の旅の大きな話。ではでは、初日行ってみましょう!1年経ったから書ける事も書いていくよ!
あ、沢山写真撮ったんで、このブログ内だけでは紹介しきれません。なので写真をメインに見たいあなたはFacebookの方へアルバムを作りましたのでそちらを御覧くださいませ。
統合失調症ブログ四国遍路日記編01章:新宿
新宿から徳島県まで深夜バスでビューン!
人生初で初めて深夜バスに乗りました。深夜バスと言えば僕が大好きな大泉洋の番組『水曜どうでしょう。』のサイコロの旅。
あれを見ていて深夜バスとはお尻のお肉がポロポロ取れる夢を見るほどのモノなのかとビビっておりました…。
でも、安いんだよね。5000円程で8時間後には徳島に行けちゃうんだぜー。飛びつくよねー。
ということでネットで事前予約。そして当日。出発は21時55分。ビビりの僕は20時半頃には新宿で待機しておりました。
お腹痛くならないかな…。お尻のお肉取れちゃわないかなぁ…。うおおおお。ネガティヴ思考全開だぜぃ!コレは音楽の力でそんな弱気を吹き飛ばすしかない!
プレイヤー!
アンプ!
イヤホン!
幻聴対策の為に、20万円近くの投資をして買った三種の神器。
AK70という音楽プレイヤーと、mojoというアンプ、そしてSE846というイヤホンを装着し、最近激推しのアイドル、ベイビーレイズJAPANのニッポンchu chu chuというアルバムを爆音で流す。
赤が大好き野口君。
夜明け Brand New Days、泣けるぜ…。
イェッタイガー!!
そう、心で叫んだとき、目の前からよく見たことのある白髪のマスクの女性が…。
あれ?あれーーー!!!!まなっちゃん。ベイビーレイズJAPANのセンター林愛夏じゃーーー!!!
彼女こそが僕がこの夏、金髪にしようと思ったきっかけの女性なのです!その女性が今、目の前を通っていった。
…いや、でも見間違いかもしれん。勘違いで話しかけちゃいかん。考えろ。あれは本人か?本人なのかー!?
耳元で歌う声の持ち主はあなたなのですか!?野口コンピュータが叩き出す。あ!靴だ!あれはなんか見たことある!
ベビレ5周年記念特番の私服交換の時に履いていた靴では!!
…しかし、人間の記憶力なんてあてにならないとも言うし。
などと、押し問答を行っているうちにまなっちゃんと思われる人の背中がどんどん小さくなって行きました。
ふぅ。
見えなくなっちゃった。ま、いっか!本人だったらラッキーだったということで。メンバーのツイッターみたらテレ玉の収録してたみたいだけど。テレ玉。新宿。うーむ。
ポクポクちーん。あ、バスが来た。
統合失調症ブログ四国遍路日記編02章:深夜
深夜バスでのホラーな出来事
初めて乗った深夜バスはそれはそれは狭いもの(後日この日の深夜バスは充分に快適だったと知るのだが…)。
なんとなく新宿のサウナの休憩室で暮らしていたことを思い出しました。リラックスルームって所でね、椅子で寝て暮らしていたのだよ。
でもまぁ、眠ってしまえば関係ない。緊張してたのもあり、とりあえず動き出したバスに安心した僕はコクコクと眠りに落ちていきました。
ふと目が醒めると辺りは真っ暗。
あれ?なんかバス動いてなくない?休憩時間は23時と5時の2回だけのはず。時計を見ると深夜1時です。
高速道路を走っているはずなのに全く重力を感じない。なんで?
消灯時間は過ぎカーテンも閉まっているため真っ暗。僕は周りに迷惑がかからないようにそっとカーテンの隙間から外を覗きました。
え!?!?
大量の銀のトラックに囲まれてるんじゃが。え。これSATかなにかの特殊部隊が潜入してくるわけ?
はたまた北野武が今から君たちには殺し合いをしてもらいますとか言って非日常的なバトルロワイヤルはじまっちゃう?
それとも目を覚ましたら事故ってましたっていうドラゴンヘッドみたいな展開?
僕は今自分がどこにいるかもわからず不安になりとりあえずiPhoneを取り出しGoogle Mapで自分の位置を確かめました。
『織田信長本陣。長篠の合戦跡』
え。。。
こわー。なんかこわー。落ち武者じゃー。落ち武者の呪いじゃー。信長様〜!…とりあえずこれは夢だ。夢から覚めるためには夢の中でもう一度眠る事。
僕は何も見なかったと眠る事にした。
再び目を覚ました頃には再び体にかかる重力を感じ、窓の外にはごく普通のハイウェイの景色が広がってました。
…ま、ただの運転手さんがパーキングエリアで休んでただけだよね。長篠パーキングエリアだよね。
統合失調症ブログ四国遍路日記編03章:徳島駅
徳島駅に着いて、そうだったわ…と気がついた
バスが無事徳島駅に着き、電車に乗って1番札所霊山寺の近くである板東駅に向かわねばならない。
あれ?suica使えない。
あれ?切符入れる所がない。
あれ?電車が2車両しかない。
あれ?1番線と2番線が同じ列にある。
あれ?電車乗る事にすらビビっている僕がいる。
そう。四国の電車を都内の電車と同じ乗り物だと考えてはいけない。全くの別物!
新宿でたくさんチャージしたsuicaは全く使えないし、切符は車掌さんがパチンパチンスタンプ押してくれるし、電車はガラ空きだし、降りる時には切符は手渡しで回収される。
…バカにしてるわけじゃないのだよ。自分が考えていることが常識だと、それで世界に通用出来るものだと考えていた自分が恥ずかしくなったのだよ。
ガラ空きの電車から筒抜の人の声は当然徳島訛り。じょ〜。うおー!!!旅に来た実感わいてきたーー!!徳島訛りは声優の豊崎愛生で予習済み!!ゆーんじょ。かわぇぇ…。
…乗車口の隙間が結構広かったのにビビりました。そして電車の入り口に段差がある事にビビりました。
誰の利益のために働いているんだろう
…哲学だね(笑)大阪経済大学!
統合失調症ブログ四国遍路日記編04章:第1札所
第1札所霊山寺に到着すると、なんか思ってたんと違うよ…
板東駅から降りた人は大体霊山寺に向かう。
見てみると大体がおじいちゃんおばあちゃん方。若い人はあんまり四国遍路やらないのかなぁ〜。なんて思いつつテンションは上がる。
そして霊山寺が見えて来た。ついに来た。ここが歩き遍路のスタートラインなんじゃ。
必ずや88ヶ所周り切って結願するべ!
…と、心強く思ってみたはいいけれど、作法などはネットで調べただけでほとんどわからない。
親に見せてもらった四国遍路のテレビ説明では、霊山寺であれやこれや詳しくレクチャーしてくれるみたいだから、気軽にお遍路に参加してええもんだと思っていた。
…が、僕の周りに集まる同志たちは慣れた手つきで参拝していく。
うおー!!!手順がわからねぇ。どないすればええんや。
横目でチラりと盗み目をしながら、こんな感じかなとボソボソとお経を唱えてみる。
わ、わからん
そ、そうだ。とりあえずは格好から入ろう。ある程度はネットで買ってきたけど、菅笠と金剛杖を見にまとえばお遍路さんだとわかるじゃろう。そしたら聞きやすいかもしれん。
ということで買いました。
納経してもらった時に御影というものをもらえるのだけど、その保管に困ったので、それを入れるやつも買いました。
たしか合わせて6000円ぐらいだったと思います。…でも全然誰も教えてくれぬ。
たじたじしている間に僕と一緒に到着した組は霊山寺から消え去ってしまいました。
ううう。
統合失調症ブログ四国遍路日記編05章:歩き遍路
歩き遍路で初めに話した人
僕は何もわからず、うじうじとお土産コーナーを見ていると話しかけて来たおっちゃんが1人。
「お兄さん、そのバッグ持ち方ちゃうで」
僕が斜めがけしていた白いバッグをひょいと両肩に通すと、驚くほど歩きやすくなった。
「それ、そうやってもった方がバランスええから疲れにくいんや」
急に優しくされた僕は涙が出そうになり、参拝の仕方、お遍路に初めてきて何もわからない事、これからどうすればいいかなどなど溢れ出る疑問をぶつけた。
そのおっちゃんは懇切丁寧に答えてくださり、今日の野宿のおすすめ場所なども教えてくれた。
「野宿するなら黄色い本やあかん。外国人向けのマップの方がええんや」
僕はネットで買っていた定番の黄色い本をバッグにしまい、新しく地図を買いました。
おすすめ!
あ。確かに。これ文字は英語で書いてあるけど、こっちには野宿出来るスポットやトイレの場所などがマークで付いていてわかりやすい。
コンパクトだし、ネットの情報より現地の人の話のが、しっくりくるな。
「ええか。寺を目指して旅したらあかん。宿を目指して旅すんねん。そこにたまたま寺があるだけやねん。そーじゃないと88ヶ所続かんよ」
うおおお!
僕はおっちゃんにお礼を言い次の札所、極楽寺に向けて歩き出した。
「わからない事あったら自分から聞くんやで。聞いたらみんな親切に教えてくれる。四国の人はみんな親切やから何でも聞くのが大事や」
ありがとう!おっちゃん!最後の言葉まであたたかいよ!
統合失調症ブログ四国遍路日記編06章:四国の人
四国の人は本当にあたたかい
僕は誰も前を歩くものがいないお遍路道をスタートした。見えてくるセブンイレブン。
あー。歩き遍路道にもコンビニあるじゃないか。ビビらなくていいんだ。
そう思ってセブンイレブンに近づくと見たことがある顔が車からニコニコとこちらを向いて手を振っている。
おっちゃん!!
おっちゃんは、手書きのメモが沢山書き込まれている地図を何枚もくれた。
そして、「お接待させてもらいます」と言ってセブンイレブンでレモンティーまで買ってくれた。
あたたかい。本当にあたたかいよ、おっちゃん!!
そして今度は本当におっちゃんにお別れを言い極楽寺に向かう。
歩く度に鳴る鈴の音が心地よい。
統合失調症ブログ四国遍路日記編07章:2番札所
2番札所極楽寺で驚愕の事実
ただひたすらまっすぐ歩くとすぐに見えてくる2番札所極楽寺。そこには先に行っていたお遍路さん達が参拝をしていた。
僕はおっちゃんに教わった通りに、今度は少し自信を持った声で参拝する。
そして次の札所へ向かおうとすると、先に参拝していた方が声をかけてきてくれた。
「お兄さんでかいね。いくつ?」
「へー。羨ましいなあ。それだけあったらその荷物持っても歩いて行けるな!」
その方の言う通り僕の荷物は歩き遍路では10キロ以下を推奨されているにも関わらず、13キロあるのです。
ふと、その方のリュックを見ると、やけにコンパクトにまとまっている。
その荷物で歩き遍路回られるのですか?と僕が質問すると、こう答えた。
「もう20回目だからね」
えーーーー!!!
20回も回ってるの!?もう仙人じゃないっすか!どーりでお経読む声の次元が違うと思ったよ!!!
そりゃー、すべての手順を理解してますよね。さささっと1番札所をクリアして行きますよね。
…すごい。世の中って本当にすごい。
統合失調症ブログ四国遍路日記編08章:3番札所
3番札所、金泉寺を回ったあたりで、世界が変わる…
極楽寺の次に周るは金泉寺。やる手順も慣れてきて、周りが見えるようになってきた。
これ、お遍路さんがほぼ同じグループで周る感じなんだな。
1人1人でまわっていても、歩くスピードとかはそれほど大差ないから、ロケットエンピツ方式で次の札所でまた出会う。
だんだん顔なじみが出来てくる。
ん?
あれ?
周りにいる人ほぼ外国人じゃん。日本人だと思っていた人も台湾から来た人のよう。
僕の前と後ろは外国人のロケットエンピツなのだ。
さらに金泉寺から大日寺まで歩いているうちに、道が今までと全然違う事にも気がつく。
ん?
舗装道路ではない道が続き、ちょっと目を離すとあの目印を見失う。
これ。
そして、案の定、僕の前で行ったり来たりしている外国人の女性。
それを見かけた現地の方が優しく話しかけたが「日本語わからないみたいだから、あのお兄さんについて行きな!」と、僕を指差す。
え。えーーー!!!
英語得意じゃないよ!とりあえず言ってる英語はわかるのに、こっちが伝えたい事が英語に出来ない。
とか、なんとか言いつつ、知ってる単語並べて、時にはiPhoneさんの翻訳を使って会話する。
彼女はスイッツランドから来た方で、仕事を辞め、香港、神戸とツアーで周り、そのまま歩きお遍路も完走するつもりなのだそうだ。
遍路ってスイッツランドで有名なの?と聞くと、友達からもらった本に四国遍路の事が書いてあってハイキング好きだから調べ始めたら、ここに来ずにはいられなくなったらしい。
外国人の方のバイタリティ、行動力は驚くものがある。
彼女、風邪気味なのにお遍路決行してるんだぜ。カフがひどい、とオーバーリアクションで教えてくれながら、その咳は本物で心配になる程だった。
みんな色々な思いでお遍路してるんだなぁ。(なんだかんだで僕の英語力もいけるのだ。文法むちゃくちゃでも伝えたい想いさえあれば伝わる事を知った)
統合失調症ブログ四国遍路日記編09章:5番札所
5番札所、地蔵寺でお賽銭の小銭無くなる
野道を通り抜け上り下りでスイッツランド女性の咳を心配しながら大日寺に着いた後、僕はポケットに入っていたのど飴を餞別にその女性と別れた。
あ、スイッツランドって、何語なの?って聞いたら4つの言語があるらしく、何でもしゃべれる彼女は大日寺で出会ったカナダの女性グループと休憩しつつ、フランス語で話していた。
この国は一体…。パードゥン?!
再び1人旅を始めた僕は鈴の音を友に、隣にさっきまでいた人の影を淋しく思いつつ地蔵寺に向かった。
大日寺と地蔵寺はそれほど離れておらず、僕は大日寺で気がついた悩みを解消せずに地蔵寺についてしまった。
1つの寺につき、納経代300円。お賽銭2箇所。なかなか小銭が飛んでいく。
そして地蔵寺で財布を開くとそこには野口英世しか並んでいなかったのだ…。
お賽銭とは金欲を捨てるための行為。しかし。英世フライアウェイは厳しい…。野口悩む。悩む野口。
あ。
あっこに自販機あるやん。
今回お遍路をスタートしてみて、本当にこの四国という国はお遍路さんに優しいんだなと思ったのは自販機の値段である。
飲み物が比較的安いだけでなく、お賽銭を生み出しやすいように、価格設定がバリエーション豊富で選べるのだ
ま、お賽銭は事前に別個で準備しておけよって感じだけどね。
銀行で野口を5円に換えてくれは良かったよ…。銭形平次バリに穴あき銭持っておけば良かったよ…。
統合失調症ブログ四国遍路日記編10章:6番札所
6番札所、安楽寺にたどり着けない…
地蔵寺のお賽銭問題も解決し、事前に色々な人から聞いて今日の野宿は安楽寺の門でさせてもらおうと決めていた僕。
あと1寺で今日はおしまいか、楽勝だな!とお遍路をナメ始めていた。
地蔵寺の出口で売っていた昔懐かしいみかん飴も舐めていた。
みかんっていうか、ラムネのみかん味の味だなこれ。とコロコロ舐めていた。
お遍路は面白い。地図がほとんど読めない僕でも、矢印の方向に歩いていけばゴールにたどり着けるのだ。
実際ここまでは地図をほとんど開くことなく、まわれていた。
そしてお遍路とは空海さんと歩く旅のごとく、あれ?本当にこの道でいいのかな?と心配になるころにちょうどよく、
こんなんとか、
こんなん英語のとか、
こんなんシールが僕らを次の札所まで導いてくれるのだ。見守られている。
あと0.9km。ふふふ。今日のゴールまで0.9km。楽勝じゃないか。
今日これまで、歩きながら音楽を聴く機会なかったけど、イヤホンで音楽聴いちゃおう。
みかん飴と音楽でポップでロックな気分になった僕は疲れを忘れ、阿波踊りよろしく小躍りしながら進んでいく。
そして異変に気がつく。あれ…。地蔵寺から誰1人他のお遍路さんに会ってない。しかも0.9km以降、へんろ道マークを見ていない。
雨も降ってきた。くそう。なんなんだよ。ちくしょう。僕はイヤホンを外し、Google Mapsで自分の居場所を調べるとそこには。
「織田信長本陣。長篠の合戦跡」
とあった。
そして僕は目が覚めた。
そこはバスの中。
…なんて、そんな冗談言っている場合ではない。織田信長本陣とも書いてない。なんも書いていない。とにかく情報がない。マジなんもない。
Google Mapsに安楽寺を指定すると到着まで4km。
なんだよあのトンガリ!もうブタゴリラだよ!キテレツ斎さまー!ここに「天狗の抜け穴」作ってくだされ!
あぁ、でも安楽寺にも天狗の抜け穴がないと移動出来ないのか。どこでもドア欲しいよ。ドラえも〜ん。
お遍路を舐めちゃいけない。ちゃんと地図を見ながら行こう!舐めていいのはみかん飴だけ!!
安楽寺に着いた僕は、参拝を終え、お寺の人に野宿をさせて欲しいとお願いする。
「門の2階が雨風しのげますよ」と、教えていただける。
そそくさそそくさ。
この安楽寺は予約をすると宿場としてお金払って泊まれる豪華な寺だが、門の2階なら予約なしで泊めてくれるのだ。
こんな感じの階段登ると…
こんな、
でっかい鐘の部屋がある。
よし、ここにテントを張ろう。僕はリュックからテント道具一式を取り出し設置した。
いっちょ出来上がり。場所狭っ!ってか、こうみるとテントでけー!
チャリの旅の時のテントだからね。チャリ入れられるようにちょっと大きいのにしたんだよね。
もしかしたら、もうちょっと小さいやつのほうが荷物が軽くなったかもしれん…。
でもいいよ、ARAIテントのエアライズ2。組み立てがチョッパヤだからね。
僕のテント
統合失調症ブログ四国遍路日記編11章:不信感
四国遍路で始めて味わう不信感
腹が減った。
そーいえば、歩き遍路1日目に口にしたものは、母が作ってくれた唐揚げ入りおにぎりを夜行バスで食べたのと、さっきのみかん飴だけである。
これはさすがに腹が減ったと、テントに荷物をしまい夕食を買いに行く。
が、当然ながらなんもない。コンビニもクッソ遠い。コンビニまで歩くぐらいなら、もうほとんど変わらないだろうと4.5km歩いてスーパーに行った。
…と、実は1年前は4.5kmを歩く決意をした詳しい理由を書かなかった。
実は僕はここで胡散臭い人に付きまとわれていたのである。
お遍路と言えばお接待文化があるのはご存知でしょう。そう。みんな四国の人は親切なのだ。
しかし!中にはお遍路さんを利用して悪さをする人もいる事を忘れてはならなかったのだ。その事を1年越しにここに書いておこうと思う。
安楽寺についたとき、僕は声をかけられた。「どう疲れた?」と。お遍路の装束を着たおっちゃんだった。
一応トレーニングをしては来たが、やっぱり13kgの荷物を持って歩くのはきついのと、最後に迷子になってしまったのもあって結構ヘトヘトだった僕は素直に疲れましたと答えた。
するとおっちゃんは、「そこに座りな?」と言って指示をした。
これはマッサージでもしてくれるのかしら?そんなお接待もあるんじゃのうと思った僕はなんの疑いもなく座り、靴を脱いだ。
そしてそのおっちゃんは忍者のように印を組み、なにやら怪しいポーズを取り始めた。そしてニンニンという感じで人差し指と中指を伸ばし、足をチョンと触った。たったそれだけである。
ま、マッサージじゃないっ!!
「どう?歩いてごらん?」などと自信満々に言うおっちゃん。
え?マジで?マジでこれで疲れ取れるの!?なんて半信半疑の僕だったが、靴を履いてちょこちょこ歩いてみた。するとどうだろう。
…全く疲れが取れていないのだ。
そりゃーそうだ。だって、チョンって触っただけなんだもの。
が、しかし。おっちゃんは疲れとれただろ?疲れとれただろ?と昔のドラクエの村人のループ質問のようにハイと答えないと済まないオーラを出してきた。
こりゃー、もうなんか面倒くさくなってきたので、僕はハイ。疲れとれましたと答えたところ、妙な御札を渡された。そして「住所教えて?住所教えて?」と聞いてきた。
…こわい。このおっちゃん白装束を着ているが、お遍路さんではないらしかった。お遍路さんの警戒心をとこうと白装束を着ている怪しいキャッチのおっちゃんだった。
と、まぁ、こんな事があったもんだから、僕は怖くなり、早くどっか行ってくれないかなって想いを込めて4.5キロ先のスーパーに行くことに決めたのである。
ちなみに、住所は適当にデタラメのものを書いてやりすごした。名前も偽名である。多田野舞太郎(ただのぶたろう)と名乗っておいた。
さて。
やっとたどり着いたスーパー、マルナカ。
徳島では有名なスーパーだ。こっちでいうとイオン的な?
…実際、イオンが買収したらしいのだけれど、地元の人にとって、マルナカという名前に馴染みがあったので、残しているのだと後に銭湯で会ったおっちゃんが教えてくれた。
スーパーの数が圧倒的に少ない事を物語る集結する車の数。
今回僕が買ったのは…。
徳島らーめん!…と、見えにくいけどお好み焼き串!
購入後、店内のレンジでチンしていると、店員さんが走ってきて、「温めるなら温いものは別がいいと思って」と袋を持ってきてくれた。
や、優しい。しかも、徳島訛り、素晴らしい。
うふふ。
僕は熱々になった徳島らーめんとお好み焼き串を持って外のベンチに座った。
統合失調症ブログ四国遍路日記編12章:おじい
おじいちゃんの話を聴きながら夕食
そこには歯が一本だけ残っている初老のおじいちゃんが同席しており、「お兄さん外国の人?」と聞かれる。
普段は引きこもりなのに話しかけられやすい体質の僕。
いや、これ髪の毛染めてるんですよ。日本人ですよ。と金髪を指差しながら言うと、
「お遍路しとるんか。わしゃ60歳から100人以上の人をガイドしとるんや。88箇所なんで88箇所か知っとる?」
とクイズが始まった。そして僕が考える時間2秒。
初老のおじいちゃんは僕の答えを待つまでもなく、
「煩悩の数。お遍路には88箇所と別格20箇所というのがあって合わせて煩悩の数になるんや」
と、いう話を皮切りに、
「あとは男性の厄と女性の厄、子供の厄全部足してみ?88なんや。あとはお米食うやろ?分解してみ?88や。わしゃ勉強してんねん。御参りするだけでもええけど仏教知っとくとええねん」
「弘法大師が大学2年で留学し、帰ってきてから真言宗作ったんや。88箇所で一番重要なのは73番出釈迦寺や。あそこで弘法大師さんは自殺しよって助かったんや」
などなど溢れんばかりのありがたいお話を聞かせてくれました。同じ話を8回程繰り返すのも多分何か意味があるのだろうと、じっくり耳を傾け聞いているとあたりは真っ暗。
徳島らーめんとお好み焼き串はすっかり冷めてしまいましたが、僕はそれよりも頭の栄養になる話を聞けたもんだと、感謝の念を述べ歯が一本だけのおじいちゃんと別れました。
なんとなく周りの人はそのおじいちゃんを避けていたようだけど、人は見た目で判断してはならぬ。どんな人も人生の先生になるのだ。
統合失調症ブログ四国遍路日記編13章:外国人
濃い1日の終わりはハンガリー人
テントに戻り着替えていると今日1日で白衣の紐が切れてしまっていました。
まじかよ!たった一日で、もう破けちゃったのかよ!…なんて事を僕は言わない。なぜならば!!
えへへー。お裁縫道具を持ってきているからなのでした。
学校で家庭科真面目に受けててよかったー。マメの水抜きの為に持ってきた裁縫セットが普通の役割で役に立つなんて。
スーパーで買ってきた明日のご飯を眺めつつ、今日着た服を洗濯しようとテント内に紐をぶらさげる。
暗い…。
部屋が暗いのは仕方ないかと洗濯して帰ってくるとなんと明かりがついている!
同じ場所で寝泊まりすることになったハンガリーの青年が電気をつけてくれたのだ。
彼の手元には般若心経が書かれた漢字ドリルが。
日本語の勉強してるんですか?とカタコトの英語で聞くと、韓国語と日本語の勉強しつつ、宗教について勉強しているのだという。
ハンガリー語を話すハンガリアンの彼は英語で般若心経を日本人の僕にレクチャーしてくれた。
ここは一体なんの国だ…。
そう思ったが、もちろん、ここは四国。彼との会話はすごく楽しく会話は言語ではなく伝えたいと思った気持ちなんだと再び悟る。
「日本人である事を誇りにおもってください。ヨーロッパの人は日本人が大好きです」みたいな事を言ってくれていたと思う。
引きこもりが歩き遍路に行った旅ブログ1まとめ
長い一日
長い!!とにかくこれでも端折った方だけど、長くなってしまった。
それはチャリの孤独な旅と違い、歩き遍路が人との関わりの旅だからだと思います。
お接待文化というものがあるけど、人に想いを託す。それは人との繋がりそのもの。
人と関わるの苦手だなぁ…と思う僕もこういう世界なら、ちょっとは人と話してみても面白いなと感じた1日目でした。
ま、お遍路の格好に変装したおっちゃんに話しかけられて、しつこく付きまとわれて変なグループに勧誘されたりもしたけどさ、そんな出来事はどこでも一緒。
良い人もいれば悪い人もいる。でも良い人の人の方が多そうな四国。ここならちょっとは統合失調症と闘えそうだ。
ではでは『旅ブログ:統合失調症で引きこもりが四国遍路を歩きに行った日記1』でした。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!
野口明人
あ。最初の方でも言いましたが、このブログでは一部の写真しか紹介出来なかったけれど、結局今日は400枚近く写真撮りました。
Facebookにアップしておくので、よかったら御覧くださいませ。イイネもらえたら嬉しいけども、かなり自由に撮りまくったので、全体的に雑な写真!