四国歩き遍路日記02日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
昨日、1日目を公開して思いましたが、1年前の記憶でも意外と鮮明に覚えているものですね。写真を見るたびに蘇る記憶。2日目の今日からこの旅が歩き遍路の旅から四国滞在の旅に変わっていくのですが、それを今日も語っていこうと思います。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
- 1 四国歩き遍路日記02日目のまえがき
- 2 歩き遍路2日目の朝は洗濯物生乾きで始まる…。
- 3 朝食の食パンをかじりながら、十楽寺を目指す
- 4 ち、ちがうんだ。僕が逢いたいのは…
- 5 階段が怖い8番札所、熊谷寺
- 6 ひたすら広大な大地を踏みしめて向かう、9番札所、法輪寺!
- 7 僕は身長187cmの大巨人なんですが…
- 8 熊谷寺の階段なんて…と思ってしまえる切幡寺!
- 9 仲間と歩くお遍路道
- 10 到着したよ、11番札所藤井寺!
- 11 鴨の湯で文化の違いを知る…
- 12 寝どころを確保し、今日の分の洗濯をしていると新たな出逢いが!
- 13 僕は遠慮なく…
- 14 注文の多い料理店
- 15 まさか、お大師さんにここで出逢うとは…
- 16 先生と語る
- 17 四国歩き遍路日記02日目のまとめ
四国歩き遍路日記02日目のまえがき
統合失調症が四国で旅治療を求めて四国遍路をするの巻2日目。今日も外国の方との交流が多く、日本語よりも英語で話す事の方が多いんじゃないか?と思いつつ、夜に素晴らしい出会いをしたのでありました。
徳島はあたたかい人でいっぱいだ。人生で初めてお泊り接待を受けたよ…。
この出会いが実はすごい変化を起こすことになるとはこの時の僕はまだ何も知らない。
あ、沢山写真撮ったのをアップすることにしました。が…このブログで紹介すると重くて閲覧できないレベルの数です。なので写真をメインに見たいあなたはFacebookの方へアルバムを作りましたのでそちらを御覧くださいませ。
よろしくお願ひ致します。
歩き遍路2日目の朝は洗濯物生乾きで始まる…。
昨日の夜に洗濯をし、テントの中に張ったロープにシャツやら靴下などを干していた洗濯物。朝起きても濡れている…。全く乾いている気配がない。
洗濯物はこのバッグで行っている。後にもう一度紹介するときが来るだろう。テントの中に張ったロープはネットで調べたら色々とおすすめがあって散々迷ったけれど、オーエのハンガーストップにした。
これ、テントの中に洗濯バサミで留めて、洗った物を干したんだけど、テントの中が湿気だらけになっただけで全然乾かないよ!
隣でテントを張らずに寝ていたハンガリー人のクリスは「おはよう。洗濯物を昨日洗ったんだけど、ドライ!」と僕の心を読んだかのように英語で笑顔で伝えてくる。
あぁ。外に洗濯物干しておけば良かったよ。そう思っている間にクリスは出発してしまう。うぉー。僕も早々にテントを畳んで出発せねば。
生乾きの服を袋に詰め、一晩泊めてくださった安楽寺に感謝の一礼後、出発する。
ちなみに現在の天気はくもり。背中に積んだRAVパワーのソーラーチャージャー、起動するかな…。昨日は充電バッチリの状態からのスタートだったので背負ってなかったけど、今日からはこれを背負って歩く。僕は家でセッティングしたようにリュックにセットする。
あ、これね。RAVパワーのソーラーチャージャー、今はもう一枚ソーラーパネルが増えたのが売ってるけど。これで充電しつつ歩けばスマホ依存のこの生活もやっていけると推測しておるのです。頑張れ太陽!
朝食の食パンをかじりながら、十楽寺を目指す
今日の朝ごはんは昨日、4キロほど歩いて着いたスーパー、マルナカで買った食パン一枚。ジャムなどない!買っておけばよかったかな…。でも荷物になるしな。次回、チューブタイプのジャムとかはちみつ売ってたら検討しよう。
考えてみれば、トイレ、出てないな。やはりお腹に何か入れなければ出すもんも出てこないんだなとか考えながら歩く。目指すは、すぐそこ十楽寺。1.2kmなんてスグソコ!サンクス♪だ。
朝顔も咲いてます。綺麗だなぁ。朝だなぁ。朝顔は夏の花のイメージあるけど、俳句の世界では秋の花なんだよね。ま、今10月だからさ、完全に秋だけどね。昔は8月も秋だったから秋の花、朝顔なんだね。
うどん。美味しそう…。開いていれば入っていた。確実に。まともなものを食べていないよ。歩くのに必死で食事をついつい忘れちゃうよ。…さっき食べた食パンはほら食事っていうよりガソリンって感じだよ。
ま、お金は節約していかないとね。まだまだ先は長いのだ。
そして、7時ちょうどに着いた7番札所十楽寺。7なのに10とはコレいかに。意外と近かったけど、道中で誰にもあわなかったし、へんろみちマーク全く見なかったな…。なんでだろ。
道あってるのかなと不安になりながら参拝する。ま、たどり着いて参拝出来ればなんでもいいんだけど、出来ればへんろみち歩きたいじゃんね。昨日のラスト迷子事件もあるし。
…とか思いつつ、次の熊谷寺を目指す。十楽寺を出る頃に昨日出会った、お遍路20回目の猛者が入れ替わりで十楽寺に入っていく所を目撃する。
ち、ちがうんだ。僕が逢いたいのは…
道は車道ばかりだけど、徐々に斜面を登ることが多くなる。ふぇー。マジで誰にも会わない。へんろみちはどこなんじゃろ。
車しか通らないよ。でも僕は地図みないよ。方向音痴だからね、地図が読めないんだよね!何となくでいいのだよ、道なんて。世界はすべて道で繋がっているのだし。
あ。接待所がある。無料休憩所と書いてあるし、誰か休んでいるかもしれぬ。ほほう。道はこっちであっていたのだな。
あ…あれ?
うおーーーーー!!!怖い。ここじゃないよ、絶対。ここの道誰も通らんから、接待所使われなくなっちまったんだよ、これ。うおぉぉぉ…。こりゃー退散せねば、すたこらさっさ。
途中見つけた内閣総理大臣の銅像を拝む。三木武夫。大学受験のときに名前覚えたなぁ…。でもごめんなさい。あなたではないのです。探しているのはあなたでは。
「もぉー!」三木武夫がそんな事を言っているような気がした。
ぷぇ…。8%の坂だ。自転車だと死ぬやつだ。登り坂なげー。道の角度の単位って面白いよね。8度じゃなくて8%だからね。なんに対しての8%何だろ。戸愚呂弟の100%中の120%とぉーーー!!が頭に浮かんでくるが、多分全く全然これっぽっちも関係ない。
なんて事言っているうちに坂もこなしてくる。
自転車の旅の時に気がついた。こういう坂は頑張ってはいけないのだ。身体に無理がかからない最小限の力で、ゆっくり自分のペースで進む事が大切なんだ。戸愚呂弟を考えながら坂を通り過ぎるぐらいがちょうどいい。
そして…
階段が怖い8番札所、熊谷寺
着きましたよ、熊谷寺!「くまたにじ」ね。埼玉県民はきっとこれを「くまがや」と読んでしまうであろうが。日本で一番暑い街、熊谷。でもここはくまたにじ。
しかしまぁ、なぜか道中誰にも抜かれてないのにすでに20回目の猛者が参拝しておる。僕の方が先に出発したよーな気が。
なぜだ…。
やはりあったのかしら、お遍路みち。首をひねりながら門を通る。
門をくぐってしばらく歩いたが本堂が見えてこない。
あ、あれ?なんか門くぐる前の階段長くね?
あ、あれ?門くぐっても階段長くね?
やっとてっぺん見えてきた。
じゃーん。本堂!
あ…。左にまだ登る所をあるんだ。
登りますぜ!こんちくしょう。高所恐怖症なんじゃよ、わしゃ…。
おおお。顔なじみの人おるで。彼の後、参拝を済ませて、登ってきた階段を降りる。
高所恐怖症は登るより降りる方が怖いのじゃ。
手すりをたぐりながら、そろ〜りそろ〜り降りるとボコン!!とでかい音が聞こえバランスを崩す。
うひょー!石の階段がズレた!死ぬ!これは死んでまう!これが俗に言われる遍路ころがしというやつか!(違う)
手すりを掴む腕に鬼のような力を入れ、へっぴり腰で階段を下りきる。
そんなこんなで、次は法輪寺!今度は絶対、へんろみちマークを見失わないように頑張るぜぇー!(スギちゃん)
よし。へっぴり腰だった自分もワイルドさを取り戻したことだし、次行こ、次。
ひたすら広大な大地を踏みしめて向かう、9番札所、法輪寺!
へんろみちマークを見失わない…とか言ったけど、今回は大丈夫そうだ。だってひたすら長い道を歩くんだもの。すごいよ、ほとんど車通らないから道路、独占だよ!
なんかさ、道路のど真ん中歩くと踊りたくなる気分になるよね。普段車がびゅんびゅん通っているから真ん中なんていられないもんね。おひょひょひょ。
…と、そんな事をしている場合ではなかった。さっきの熊谷寺で、顔なじみのお遍路さんもちらほら見えて来たので、彼らの背中を見失わないようにせねば。
…かと言って、追いつかないようにもしないとね。やっぱりなんかさ、お遍路って一人で歩きたいんだよね。歩く時はこう、空海さんを身に感じながら歩くっていうかさ、自分と向き合って歩くって言う感じでさ。
ということで、前の人との距離を調節しながら進む、進む、進む!人との距離感って大事ですよね〜。
じゃーん!9番札所、法輪寺。
お参りを済まし、次の寺に向かう前に法輪寺を出てすぐの場所にあった売店で大福を買う。
この大福、5個入り400円だったんだけど、売店のおばちゃんがひとりでそんなに食わんやろ、と言い、新品のものから2つ抜き取り3個200円で売ってくれた。
なんと柔軟な商売。その2つは一体どうするんだろ。
僕は身長187cmの大巨人なんですが…
先程僕は、歩く時は一人で歩きたいと言いました。はい。言いました。が。
大福を片手に杖をついて歩いていると、後ろからすぐに鈴の音が聞こえてくる。
振り返ると、そこにはサングラスをかけた、かなり長身の外国の人がいた。
コンニチウワと話しかけられたので、ハローと返し、僕は手に持っていた大福はいかがと勧める。
ノー、アリガート。とにこやかに断った彼はオーストラリア人のタランさん。
オーストラリアだよ?気になるっしょ!?オーストラリアの人がお遍路してるんだよ!?そりゃー、一人で歩くよりも、彼と会話を咲かせながら歩いた方が今後の人生に必要なのだと判断したんです。柔軟でしょう。そう。僕はさっきの大福から学んだのです。
先程までの僕とは違うよ!大福のぐちだよ!
彼と英語で色々会話してみると、どうやらポリスマンらしい。お母さんがガンになったから願いを込めて88ヶ所すべて周る予定なんだそうで、背中にはテントが付いていた。色々な理由で遍路を回る人がいる。
おお。同志よ。僕も野宿派なんですよ。彼は今日泊まる無料の場所を教えてくれた。出会いって素敵。今日はこれで寝る場所には困らなくなった。ありがとう。
それと色々とつたない英語で会話してみると、あなたの英語は上手ですね、と褒めてくれた。イイ人。
彼はしきりにアイキャントスピークジャパニーズ、ニホンゴワカリマセンと言ってたけど、彼の方が日本語上手なんじゃないか?と思ってしまうほど、日本語の単語を理解してくれる。
「アイライクチキン」と、僕。「Toriniku!Oh!アイキャントスピークジャパニーズ」わかっとるやないか(笑)
そんな会話をしながら歩いていると、前には昨日一緒に泊まったハンガリーのクリスが。
うぅ…。2人に挟まれると僕がむちゃくちゃ小さく思えてきた。187cmって言ったら結構日本じゃでかいよね?…よね?
井の中の蛙大海を知らず。
自分がチビだと感じたのなんて初めてだよ。オホホホ。
彼らと英語で話しながらひたすら歩くと見えて来た門。
熊谷寺の階段なんて…と思ってしまえる切幡寺!
門をくぐると…
石階段が。文字には「是より三三三段」と書いてある。
333段!?ほえー。そんなに登るのかいな。
ふえ…。100段近く登ってきてもまだまだ続く階段、階段、階段。カリン塔かよ…。超聖水はただの水。この階段が僕を強くする!!
う、後ろを振り返ってはならぬ。振り返れば高所恐怖症の僕が現れてしまう。
うおー!ついにてっぺんの光が。カリンさまや、カリンさまにやっとあえるんやー!
じゃーん!10番札所、切幡寺!
この切幡寺、とにかく景色がすごくイイ!カリンさまはいなかったけれど、絶景が僕を待っていた。
そして、こんなに高い所まで登ったのかと、後から気がつく実感。
見渡せる景色。
芝生が気持ちイイ。
しばらくそこで景色を眺めていると、顔見知りのお遍路さん達が集結してくる。そして写真を撮ろうとなったが、そこにちょうどいいものがあった。
カーブミラーね。昨日寝床を一緒にしたハンガリーのクリスと、英語ペラッペラな女性と一緒に撮影しましたよっと。顔隠しているけどさ、ほれやっぱり僕は日本人の中じゃデカイのだよ。クリスがでかすぎるんだよな。
さて。そして、次なる寺へ出発。
仲間と歩くお遍路道
気がつけば、3人だったお遍路さんも5人に増える。次に向かう藤井寺は本日最後のお寺の予定。
距離は9.3キロほど。
綺麗な道が続く。藤井寺までは、今までの中では1番長い距離だけど、その分素敵な景色も沢山ある。
細く続く一本道。
歩く歩幅は人それぞれ。一緒にいたお遍路さん達の距離も徐々に広がっていく。
僕は途中からぐんぐん力を歩いて、前にいたクリスを抜いたんだけれど、その時、彼は一言こういった。
「ソーラーパワーマン!」
えへへ。そうです。僕は背中にしょっているソーラーパネルが原動力なのさ☆
うぉー!!潜水橋!吉野川は川の満ち欠けがあるから、満ちた時に木などが手すりに引っかかって止まらないように、手すり自体がないのだそうだ。
ここは四国遍路をしようと調べているときに綺麗だなーと感動し、一番行きたいところだったのだ。
川が綺麗だー!朝には曇っていた空も今では真っ青のブルーだぜ!青はいいよね。好きな色ですよ。そうそう。川が青いのは空が青いからだ!
こんな感じの橋だよ。雑誌の表紙に使えそうでしょ!?うふふ。
吉野川沿いを歩く道も爽やかです。こんな道があったら、毎日散歩コースに最適だ。僕がいっつも歩いていた芝川はこんなに道が舗装されていないんだよなぁ…。
僕の影。お遍路さんっぽいよね!雑誌の表紙に使ってもいいよ☆
道中、歩いていたおばちゃんに「こんにちは!」と挨拶すると、「天気いいね」と会話が始まり、色々とお話させてもらったら、まだまだ先は長いからお接待させてもらいます。と、飲み物やおせんべい、塩分の入った飴などを持たせてくださった。
本当にあたたかい。埼玉の方じゃ、人が多くてすれ違いの人に挨拶する事もないけど、こっちではすれ違う人も少ないから、その度ににっこり笑顔でご挨拶。
あぁ、人って挨拶からコミュニケーションはじまるんだなとしみじみ実感。人のありがたみを知る。
ありがたやありがたや。有り難いとはよく考えられた言葉ですな。
藤井寺まであと少しとなると登り道が増えていき…
細い道も増える。
藤井寺まであと少し。
到着したよ、11番札所藤井寺!
ふう。長い道を歩きたどり着いた藤井寺。
空を見上げると、飛行機雲もお祝いしてくれているよう。
…でも、飛行機雲の見える次の日って雨になりやすいよね(笑)
みんなで参拝。今までで一緒に歩いてきたけど、それぞれの宿や寝どころに散り散りになっていく。
ここで一旦打ち切りという人もおり、別れを惜しんで挨拶。ありがとうございます。またどこかで会いましょう。
ちなみに…
明日以降向かうお遍路転がしの入り口の異質さにビビる。やはり本物は違う。あんな階段なんでもなかったんや。
…ま、この道を通る事はなかったのだけれどね。
鴨の湯で文化の違いを知る…
みんなそれぞれ散り散りになっていったが、僕はハンガリー人のクリスとともに無料で泊めてくれるという温泉に向かう。オーストラリア人のタランが教えてくれた所。
1.2キロほど歩くと鴨の湯を発見。クリスとともにまずは温泉に入る。
前に韓国の温泉に入ったことがあるというクリス。お風呂から上がっても一向にタオルで身体を拭こうとしない。
クリスが「タオルはどこにあるの?」と聞いてくる。
どうやら、韓国の温泉ではタオルが山積みにされており、自由に使っていいそうで、その文化が日本にもあるのだと思っていたそう。なので、タオルを持ってきてないのだ。「インジャパン、ブリングタオル」と、説明。
店員さんに説明すると、おろおろして、扇風機で乾かそうとしているクリスに親切にも無料でタオルをくれた。
それをみた他のお客さんが、わしにも今度ひいきしてや、ここのタオル買わんといかんで。と、笑って去って行った(笑)
寝どころを確保し、今日の分の洗濯をしていると新たな出逢いが!
免許証を見せて名前を書くと無料で使わせてくださる小屋。僕の白装束のおしりの所が茶色くなっているけど、うんこ漏らしたわけじゃないんだからね!
ジーパン履いて歩いているんだけどさ、革のベルトが色落ちしちゃったみたいなんだよね、汗で。もうこれは洗っても色が落ちないよ…。いやー、失敗失敗。革のベルトは気をつけましょう。使うなら布ベルトがいいよ。
…てか、ジーパンじゃないほうがいいよ。僕はジーパン大好きジーパンマニアなのでジーパンにこだわるけれどさ。歩いているうちにいい色落ちするんではないか?と期待して新品のジーパンをおろしてきたのです。
ちなみに、この場所を教えてくれたオーストラリアのタランは藤井寺に行かずに先に到着しているようだった。すでに右側に寝袋を敷いて場所を確保しておる。
ここはお店の人に言えば自転車も貸してくれるので、多分きっとタランはスーパーに夕飯でも買いに行っているのだろう。お風呂にもいなかったし。
いやー、しかしこの小屋、大男3人で寝るにはちっとばかし窮屈か…。
夜にお客さんがいなくなったらここら辺でテントを張らせてもらおうかなと模索。
とりあえず洗濯せねば。朝に見せた洗濯バッグをやっと紹介出来るよー!
このバッグ、スクラバウォッシュバッグって言うんだけど、水を入れて洗剤入れて、空気を抜いてモミモミすると洗濯出来るすごいバッグなんじゃ。これちょっと髙いけど、コインランドリーを毎回利用すると考えた時の料金を考えてこのバッグを選んだ。
昨日の生乾きの失敗を活かして、洗い終わった洗濯物は外に干す。
干しつつ、タランがドローン飛ばして遊んでるのを見たり、クリスがパンにバターと豆を挟んで食べているのを見て過ごしていた。
すると、タバコを吸った70歳ぐらいの仙人みたいな、おじいちゃんが話しかけてきた。(そうだった。先生との出会いはこんな感じだったのだ。仙人みたいな人だなーって思ったのを覚えている)
そして、今日はどこ泊まるんや?と、聞いてきたので、ここの小屋借りたんですよー、と答えると狭いなと笑い、家来るか?とサラサラ〜と、お泊まりのお接待のお誘い。
うおおお!初めてじゃ。お泊まりお接待。2日目にしてさっそく。
しかも、話を聞く所によると、明日の遍路ころがしの焼山寺のすぐそばなのだとか。
ぐぬぬぬ。心揺れる。
僕、心揺れる。さっき見たおどろおどろしい入り口が脳裏に浮かぶ。
でもな〜。なんとなくズルい気がするんだよな。ワープ使うの。
…と、迷っていると、おじいちゃんはタランに誘いの提案を向けた。
タランは、なんだかんだで明日友達と合流して別の所泊まる約束してるからダメなのだと断る。
クリスに提案の矛先を向ける。しかし、クリスも渋った顔で行きたい寺があるからごめんなさいと断った。
うーむ。こいつら嘘つきよったな。さっき聞いていた予定と違うやないか。やっぱりお泊りは抵抗があるのだろう。文化的に。うん。まぁ仕方がないことだ。
僕はさて、どうしよう。
お接待を断るのも失礼な気がする。お接待をしてくれた人の分もお参りする文化なのだと聞いたことがある。
しかも小屋の広さ的に3人より2人になった方がタランもクリスも快適だろうし。
そこでひらめく。
お手数なんですが…。
「別にええよ」と即答。「ただな、家は築200年以上やけん。江戸時代からある家でボロやで」
!?
うぉー!!興味ある!むっちゃ興味ある!是非行きたい。
僕はクリスとタランに別れを告げ、ビショビショの洗濯物を袋に詰め、お連れの女性が待つ軽ワゴンに乗せていただきました。
これが自分の人生を変える出会いになることとは知らずに…。
僕は遠慮なく…
まず、夕飯をご馳走になってしまいました。何が好きなん?と聞かれ、うどんです!と答えると、丸亀製麺に連れて行ってくださいました。
「なんでも好きなの食べ?」と言ってくださる。
僕は遠慮なく、一番好きな冷やしおろしうどんを注文。いつもなら「中」を頼むけれど、「特盛でいいすか?」と、食パンと大福だけの腹が答える。
「かまわんかまわん」と、笑顔でおじいちゃん。
腹一杯になった僕。ごちそうさまでした。と、再び軽ワゴンに乗る。
車は山へ向かう。
…今後何度も登ることになる山なのだが、最初はすごくドキドキしていたのを覚えている。
注文の多い料理店
坂を登り始め、道にはちらほら木の枝が落ちているのも見える。写真を撮りたかったけど、なんか出会ってそうそう写真を撮るのも失礼かと思い、そこはやめておいた。なので想像してください。
真っ暗な道。見えるのは車のライトが当たる小さな範囲だけ。時折パキパキと枝を踏む音が車の中に響く。…こ、怖い。
いやー、今まで歩いて移動していたから夜は歩かなかったけど、街灯がまったくないのだ。そうそう。チャリの旅でも思った事。埼玉とかだったら夜10時に歩いてもぶっちゃけ怖くない。
なぜならどこもかしこも街灯があるからだ。真っ暗な場所を探す方が難しくて、しし座流星群のときなんて星が見えなくて困ったものだった。
…が、ここは四国。そして今から向かうは山の上。ピカピカに光る山なんて観たことないでしょ?つまりは山の中には街灯なんてないのだ。
グラグラっと車は揺れ、それに全く動じないかのように、猛スピードで駆け上がる。軽ワゴンの軽くも激しいエンジン音がまた恐怖を駆り立ててくる。
「ここら辺はな、1日に1台か2台ぐらいしか交通量ないんや。ここであんた殺して捨てても誰も見つけにこんちゅう話やな(笑)」
僕の恐怖心を読み取ったのか、おじいちゃんはこんな事をカラカラと乾いた笑い声とともに言う。
え…。ぶるぶる。
「とりあえず、降りいや」
いやいやいや。僕は、マジで「いやいやいや」と声に出していた。
「ええから早う降りてみ」
おじいちゃんはガチャっとドアを開けて降りた。僕もそれにならって車から降りる。
「うお!!!むっちゃ綺麗じゃないっすか!」
そこは展望台だった。
町を見晴らし、おじいちゃんは四国の土地を説明してくれた。あっちが阿讃山脈いうん。あれが吉野川。あの山越えると香川や。
丁寧に説明してくれ、感動する僕。ちょっとばかし本当に殺されるかと思ってしまいましたよ。あれは冗談や(笑)
一同、笑う。
まさか、お大師さんにここで出逢うとは…
えー、ここからは実は前には写真を公開していたのですが、個人のプライベートに触れることなので、個人を特定出来る写真は載せないようにしました。
なので、もし以前に読んで知っているという方は個人の記憶の中でお楽しみいただき、今回初めて読んだというあなたは四国には本当に素晴らしい人がいるんだなと想像しながら読んでくださると助かります。
さて。
車に戻り、再び猛スピードで山を登っていく。次第に落ちている木の枝の数も増え、舗装されている道でもなくなった。
周りを見ると森。トトロの森のような景色。そして、家に着くと素晴らしく広い部屋が用意されている。
「ここはな、下界でうまく暮らせんような子供や大人がここで生活して心が健康になるために買った場所なんよ」
ううう。統合失調症と診断された僕は、まさに神様が巡り会わせてくれたような人に出逢った気がした。
おじいちゃんはここで、壊れてしまった色々な物を直したり、ある人にとってはゴミになってしまうようなものを手間暇かけて使えるようにして世間に戻してあげたりしているらしい。
「マイナスをプラスにするんが好きなんやな」
周りを見ると沢山の小屋があった。そこはここに集まった沢山の人が一人一人プライベートな時間を過ごせるように建てた小さな家なのだそうだ。
過去にここに来て元気になって下界に帰って行った人は言う。
「こんな所にお大師(空海)さまがいたんですね」
先生と語る
暖かいお布団を用意していただき、手厚いお接待を受け、内心感動し続けている僕におじいちゃんは自分がどんな人なのか、色々と語ってくださいました。
学生運動に参加していたり、億万長者になったり、獣医になったり。様々な経験がある様子。
本当にこの方の話はスーッと心に入っていく。わかりやすいし、胸に染みる。なんだか目頭が熱くなる。
僕はその話を聞くうちに、なぜ自分がお遍路を回っているかを打ち明けました。
「そーか。あんたは全然そういう風に見えなんだが、やっぱりお天道様が巡り合わせてくださったんだな」
僕にはこの言葉の意味がその時はわかってはいませんでしたが、本当にお天道様が巡り合わせてくださったとしか思えない不思議な出会いなのでした。
どんな事にも意味がある。
僕と先生は気がつけば夜中の1時半まで語っていました。
四国歩き遍路日記02日目のまとめ
お遍路とは杖をつき笠をかぶり、弘法大師さまと一緒に88ヶ所のお寺を回る旅なのだと思っていましたが、もしかしたら違うのかもしれない。
出逢う人、全てが弘法大師さま。ここでは埼玉で暮らしていては出逢えないような人に出逢う。
優しい人はもちろん埼玉にもいるけれど、なんだか違う。住む土地住む土地それぞれによって、その土地柄が人に出る。
僕はその発見に感動しながら、暖かい布団で眠るのでした。
P.S.山の中の家は電波が通らないため、音信不通です。もしかしたら、遍路ころがしでくたばったのか?と心配になった方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、僕は元気です。
ではでは四国歩き遍路日記02日目でした。
あ。最初の方でも言いましたが、このブログでは一部の写真しか紹介出来なかったけれど、結局今日も300〜400枚近く写真撮りました。Facebookにアップしておくので、よかったら御覧くださいませ。イイネもらえたら嬉しいけども、かなり自由に撮りまくったので、全体的に雑な写真!