四国歩き遍路日記07日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
人を傷つけるつもりで書いた日記などなかったはずですが、写真が一部見せちゃいけないやつだったりしたので削除するにいたりました。…ただ、ちょうど一年前の今日、出発したのを思い出しまして、せっかくだから記録は残そうと思った次第です。
あ、今日で1週間になりますが、この日記はすでに歩き遍路日記というよりも、お接待先での山修行日記になりつつありますので、八十八ヶ所巡礼の日記を希望の方は別の方の日記を探していただけると助かります。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記07日目のまえがき
今日で家を出発してからちょうど1週間。お孫さん達と遊びつつ、平和について考えるとか言う高尚な気持ちになった1日。1週間を振り返ってみると出発前には絶対に想像出来なかった状況にいる自分。
そして今日は僕が小さな頃から好きだった、アレの驚くべき事実が発覚したのです…。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。が…このブログ内では重くて閲覧できないレベルのサイズです。なので写真をメインに見たいあなたはFacebookの方へアルバムを作りましたのでそちらを御覧くださいませ。
突然、カマキリが僕を待ち構えていた…
最近は異常に食べているせいか、腹痛で目を覚ます。これがまた大変な葛藤との闘いで、トイレに行きたい気持ちと、痔が痛いのでトイレには行きたくない気持ちがバトルするのだが、流石に生理現象には勝てず、布団から飛び出してトイレに向かう。
そして数分間、痔との闘いを終えると、カマキリが扉に止まっていました。
うおー。
扉が開けられねー!
でかい図体のくせして、虫が怖い僕は、仕方なく寝ている母屋に戻る事を諦め、風景を眺める事にした。
天気はここに来て初めての快晴。遠くの山もよく見える。山は良いね。埼玉の家はだいぶ平たんな土地にあるので、外を見ても住宅しかない。しかし、ここでは起きてすぐそこに山があるのだ。
こういう自然に囲まれて生活するというのも、精神的にやすらぎを与えてくれる。
気持ちいいなぁ。さー、みんなで朝ごはんだ。その間にカマキリもどこかへ旅に出てくれるだろう…。
たぶん…。
徳島では山芋に出汁をかけて食べる。これはオススメだ!!
今日の朝ごはんはこれ。そう山かけ丼だ。…ん?山かけ丼だとマグロが乗っていないといけないのか。それなら山芋丼だ。
ここでは自分が食べられるだけ自分でご飯をよそうというのがルール。
ご飯が美味しすぎて堪らないので、僕はいつものように山盛りに盛ろうとすると、お孫さんに注意される。
「そんなに盛ったらいかんよー」
ん?なぜ?太るから?
どうやら山芋をご飯にかけた後、出汁(だし)を入れグルグル混ぜるみたいで、その時に大盛り過ぎるとこぼれてしまうんだそうだ。でじるがでじるん。
ほれ。こんな感じでぐるぐると混ぜると全体的にふわっとなる。なので、山盛りにはしちゃいかんのね。なるほどなるほど。
ズズズ…
ズズズ…
ズルズルズル!?
う、う、うまーーーーーーーーーーーっ!!!
いりこでとった出汁を入れ混ぜたご飯はズルズルズルっとお腹に入り、僕は3杯おかわりしてしまった。
むちゃくちゃ美味い。これはぜひ家に帰ったら家族に教えてあげよう!!
消化もよいらしい。いりこ出汁ってこっちの方の特徴よなー。スーパーに行って気がついたけど、埼玉だと「煮干し」って商品に書いてあるものが多いのに、こっちの方は圧倒的に「いりこ」って書いてあるものが多い。
食文化には地域性が一番出て楽しいね。でじる。うん。地域性がでじる。
ブログ初公開!野口の全身姿!!
お腹パンパンに朝食を食べ終えると、仕事を始める。先生は芋の皮むきをし、僕は皮をむく芋の選別をやらせてもらった。
お孫さん達はむき終わった芋を茹でるためのカマドに火をつける仕事を手伝い、煙と闘っていた。
あ。そーいえばこのブログで僕の全身が写るの初めてかもしれないな(笑)
あねさんが写真撮ってくれてた。金髪で長髪だった僕が、この旅に出るに当たって髪の毛を短くしたのだが、意外と金髪が残ってしまった。先生はよくこんな僕に話しかけてくれたものだ。
仕事を終えると元気いっぱいなお孫さん達と遊ぶ
さてさて。
僕に懐いていてくれた1番下のお孫さんは煙で目が痛くなったらしく、僕の元にやって来たので、一緒に芋の選別を手伝ってもらった。
「働くって楽しいなー」と、小さな軍手をつけて仕事をしていたのがえらく可愛かったな。
仕事がひと段落すると、僕が寝させてもらっている母屋で組み体操をしたり、トランプをして遊んだ。最近じゃ幼稚園や学校では組み体操って禁止になったんだよね。僕は小さい時から体が大きかったので、いっつも土台役だったのを思い出した。
でも、そんないっつも下をむいて組み体操をしていた事にいじけていた僕を、通っていた保育園の先生は軽々ヒョイと持ち上げて、組み体操の上の人の視線を見せてくれたのが嬉しかったのも思い出した。
それと子どもたちはトランプはババ抜きとスピードしか知らなかったので、七並べや大富豪、インディアン・ポーカーなどなどを教えてあげて一緒にやった。これは小学校の時にマジシャンに憧れてトランプでよく遊んでいたおかげだ。
それにしても何かにつけて、僕の膝の上に乗ってくる1番下のお孫さんをみて、親子ザルみたいだと先生の奥さんは笑っていた。
孫の可愛さの破壊力、おそるべし。
子供に好かれる体質で良かった。
お昼に秋刀魚を食べ、お散歩。そして山を降りる
お昼には秋刀魚を食べた。お孫さんが秋刀魚を残して早々に外へ出て行く。
秋刀魚たべられないのかな?と思っていると、「魚大好きだけど、にーちゃんと早く遊びたいけん」と言ってた。だいぶ気に入られたのだな(笑)
帰るまでの時間に手をつなぎながら山を探検。僕が知らないような植物の知識や虫の知識を沢山教えてくれた。
栗。
中身はほぼ入っていない。前に採ったんだそうだ。
そうこうしているうちに時間が過ぎていく。
お孫さんたちの帰る準備が出来たので、奥さんは子供達を連れ車に乗り込む。出発ギリギリまで手を離さぬお孫さんに心を奪われる。
嵐の後の静けさ。先生は、ふー、と一息つき、「やっとうるさいのが帰っていった」と笑っていた。
縁側に座り一息つくと、小鳥が1羽、静寂を待っていたかのように水浴びをしに来てた。
鳴門金時と敵を作らない話。
炊き上がった鳴門金時を干しに先生と干し場へ移動する。仕事を手伝いながら今日も講義を受ける。
「ワシはな、若い頃は結構人と衝突する事が多かったんよ。血の気が多いというかな」
ふむ。
「間違った事が嫌いじゃけん、違う事は違う。と、人とよう争っていたんよ」
基本的に、僕もそうだ。自分は正しい!と言い張って、人とぶつかって傷ついて終わる。
「でもな、歳を取るたびに、その力もなくなってしもうてな、人とぶつからないようにするようになった」
ふむふむ。
「向こうから人が歩いてきてな、昔のワシは道を譲らず人にぶつかってよう喧嘩してたんじゃが、それをな、人が見えた時にゆらーりと道を開け、譲るようにした」
ほほう。
「そしたらな、不思議とペコリと向こうも頭下げよるんよ。こりゃー不思議じゃなーと思ってな」
確かに。道を譲らなければ喧嘩になり、道を譲れば会釈される。自分の行動で人の行動が変わるのだ。
「それからワシには敵がいなくなったんよ。人から見ればどんなに悪く見える人でもワシはちゃんと相手を認め対応する」
相手を認める。ふむ。それがなかなか難しい。
「なんであんなやつと関わるん?とか聞かれたりな、先生、そのうち変な事に巻き込まれるでーとか言われたりするけどな、ワシはその人をみて、どんな人でもそれ相応に対応するんよ」
ふむ。偏見を持たずって難しい。
「世の中には差別する人がよーさんおるけー、ワシは差別じゃなく区別をするんじゃな」
区別かぁ。
「この人には2割、この人には6割、この人は8割と人との距離を測りながら接する。そうするとな、いざこざも起きんのよな」
それにはその人をちゃんと見る必要があるわけですね。
「でも0だったり10割では接しない。相手を認めなかったり、相手に依存したりするといざこざに巻き込まれるんやな」
あぁ。僕は基本的に0か10しかありません。友人にも極端だと言われます。
「だから、その人を認め、話をし、測りながら接する。そうするとな、人から差別を受け、人に対して攻撃的な人でも心を開いてくれるし、敵も作らん」
確かに。攻撃的な人に対して、偏見で不快感を持って接すると、相手もそれを読み取ったり、今までの経験と一緒だと思って、攻撃的な対応をしてくるかもしれない。
「常に中立。そうすると不思議とワシに攻撃してきたやつがおっても、なぜかワシの周りが怒ってくれて、ワシには怒る必要もなくなるんよな」
ほほう。
「まー、ワシは周りが怒るような出来事でも、お天道さんが修行の機会を与えてくれたんやなと考え、怒りも湧かんのだけどな」
その話を聞き、僕は自分の過去を振り返ってみる。確かに自分の主義主張を通そうと意地を張ると敵が出来、相手に怒りも湧いてきてしまう。
相手を認め、心の中に主義主張を持っていれば、世間に惑わされることもなく、世間に怒りもなく、平穏に暮らしていけるような気がした。
敵をつくらない。
これからはそういう生き方が出来るようにしていこう。
(その次の日、干していた鳴門金時の大半がハクビシンに食べられてしまい、先生はハクビシンを目の敵にしていた…笑)
温泉入りに香川県。温泉とヒーロー。
仕事を終えた先生と僕は車に乗り、温泉に向かった。今日は気晴らしに県をまたいで見よか?と香川県まで軽トラックで連れて行ってくれた。
長いドライブの間、先生と話をしていると、学生運動をしていた時代の話を聞いた。
赤の時代。
先生は平和主義者。特に決まった信仰を持つわけでもないし、推している政党もない。その時その時で間違ったものは間違っていると思い、正しい部分を取り入れる。
僕は資本主義や共産主義、社会主義などを学び、1番幸せに近く皆が平等に生きていけるのはマルクスの考えた共産主義プラスアルファーだと思っている。
まー、人間の本能がある限り、実現しないんだけどさ。資本主義の向上心を取り入れた共産主義みたいなものが良いと思うんだ。
アブラハム・ハロルド・マズローの欲求五段階説に六段目の欲求があったように、競争し、成長し、ある程度行ったら分け与える。そーゆー社会が1番いいんじゃないかな。
…とか何とか話しているうちに、好きな色は赤だとか、昔からヒーローでも赤が好きだったとか仮面ライダーが好きだとかの話になった。
そしたら、先生の口からすごい言葉が。
あの俳優さんおるじゃろ。あれ、ワシの幼馴染なんよ。
!?!?
ま、マジですかー!(ある事情から名前は出さない事にしとく)
僕はこのお遍路に出る前に父にテレビ番組を録画した物を見せてもらった。そこでは確かにその俳優さんは四国で生まれ、小さい頃からお遍路と近い所で過ごしていたと言っていた。
僕が小さい頃に憧れていた人。その人が幼馴染ですと!?
僕はそれから先生の話に夢中になり、気がついたら家についていた。
人間が抱くテレビに映っている人のイメージって、現実とすごいかけ離れているものなんだなぁ(笑)まさかあの人が小さい頃は…。
あ、そーいえば温泉はベッセルという所に来たよ。
海沿いの温泉で昼間にきたら淡路島とかが綺麗に見えるのだそうだ。露天風呂から先生が丁寧に説明してくれた。
温泉の値段は忘れたけどかなり広い場所だった。
帰りしなに食べた丸亀製麺の醤油おろしうどん。相変わらず美味い。
これを食べながら、僕が憧れたヒーローである幼馴染の小さい頃の話を沢山してくれた。
お腹一杯で小屋に戻る。
平和について考える
小屋に着くと、あねさんが帰ってきてました。持っているものはポポーという果物と昨日行った施設が作っているというお菓子。
ポポーという果物を見た時、僕はアケビかな?とか思ったのだけれど、食べてみるとアケビとは違う甘い香りで、なかなか美味しい。
ポポーの写真をここに載せようと思って写真撮ってあったんだけど、写しちゃまずいものが写っていたので残念…。
Amazonでも売ってるけど、こんな感じの果物だよ。別名アケビガキって名前らしいから、やっぱりアケビの仲間なんだろうなぁ。アケビは僕の家にも植えてあるので知っていたのです。
そんなお菓子などを食べながら今日も夜の講義をする。
昨日行った所は障害を持った人達が自立できるように支援する施設。
なんかさ、アベノミクスで経済が上向きになったとか言うけどさ、それは数字の上だけで、実際に働いている人達は実感がないと言うのが実情なんじゃないかと思うんだ。
稼いでいるのは上の方にいる一部の人間だけ。まー、それが資本主義なんだけど、それで本当に世の中が平和になるんだろうか。
平和。
平等な和っか。
地球上にいる人間全てが手をつなぎ大きな和を作るとしたら、背の低い人や高い人、それぞれが相手の事を想って、肩の高さを合わせると思うんだ。
そうじゃなきゃ綺麗な和にならない。もちろん人それぞれ個性があり、色々な人がいても良いと思うけどさ、その差によって自分が正しいだとか、お前は違うとか戦争を始めちゃったら意味がない。
なんで人間は歴史から学ぶことが出来ないんだろうね。
ま、歴史では共産主義は失敗してるんだけど。
でも、そろそろ1つの島に2つの国が治める所があったっていいと思うし(領土問題)、核の保有数を競って国が貧しくなるよりも、武器を全部捨ててガンジーのような無抵抗主義で相手と接する国があってもいいと思うんだ。
人間の心を信じて、武器を持たない国のあり方だってあっても良いよな〜。丸腰、全裸で立っている人を撃ち殺す事で幸せを手に入れようとするような国があったら、それは人間じゃないから諦めるしかない。
武力によって手に入れたものは必ず武力によって滅びる。
栄枯盛衰。
相手を想い、違いを認め、平和に生きていく。そんな世界が僕が生きているうちにやってきて欲しいな。あぁ、口ではいくらでも言えるよな。畜生。
破壊と再生があるから経済が回るって考えもあるし、戦争と平和ってのはいくら考えても答えは出ないものなんだろうか…。難しいね。でも僕は正義も悪も両方幸せになってほしいなって思うんだよな。
勧善懲悪って感じで善悪にわけちゃうから争うんだよな。みんな幸せになりたいから行動するんだよね。だったら、悪だと言われる人も幸せにならねば善と言われる人の平和はやってこないんじゃなかしら。
ふう。全部救いたい、世界。
四国歩き遍路日記07日目まとめ
いやー、今日も、うどんのように長く、コシのある濃い1日だった。徳島での生活は驚くことばかり。
ここに来たのも何かの縁。
学べる事を沢山吸収していこう。そして、吸収するだけじゃなく、自分で考え、それを人に手渡せるような人間になりたい。
ではでは『四国歩き遍路日記07日目』でした。
あ。最初の方でも言いましたが、このブログでは重さ対策として写真の画質を落として掲載していますし、一部しか紹介出来ません。ここで紹介しきれなかった写真はFacebookにアップしておくので、よかったら御覧くださいませ。