四国歩き遍路日記09日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
なぜお蔵入りしたのか、なぜ復刻を出そうと思ったのか、それは過去の記事に書きましたので、そろそろここの冒頭には書きません。とりあえず1年前の旅を振り返りつつ書いていく記事だと思って下さい。
旅先では書く暇がなかった所などは再構成して組み込まれていますので、過去の記事を読んでいたあなたはその時の記事を思い出しつつ、お楽しみ下さいませ。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記09日目のまえがき
歩き遍路9日目になりましたが、まぁ現在先に進まず停滞しています。今日で先生の家に泊めてもらうようになって1週間のようです。
もうそんなになるのか、と先生。まだそんなにしか経ってないのとあねさん。
時間というのは唯一みな平等に流れるものだと思っていますが、感じ方は人それぞれなんだな。僕はと言えば…。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをまとめてアップすることにしました。本日のアルバムはこちらです。
歩き遍路9日目の今日はなんだか池の水が濁っている…
今日の天気は晴れ。どうやら僕が一番に起きたらしい。先生たちが起きてくるまで特にやることもないので、ちょこっと散歩をすることにした。ここに来て1週間経ったわけだが、見慣れてきた風景になんとなく違和感がある。
うーん。なんだろう?
…うーむ。
あ。
あれだ。鯉を飼っている池が濁っているんだな。
この写真の左側の方にホースが挿してあるのだけれど、ここから水がジャブジャブ流れていた。後で先生に理由を聞いてみると、どうやらこうやって池の水を綺麗にするのだそうだ。
オーバーフロー?とかなんとかいう方法らしい。考えてみればこういう池って水を全部抜くことも出来ないわけだし、どうやって綺麗にするのか長年の謎だったが、なるほど。こういう知恵があるのか。ひとつ賢くなった。
しばらくして、みなが起きてきてご飯を食べようとすると、先生の友人の方が夫婦でいらっしゃった。この夫婦は植物に詳しく、山に珍しい植物を植えに来てくれたようだ。
栗おこわとぜんざいを持ってきてくださったので、大変美味しくいただく。写真を撮るのを忘れてしまったのが残念。
あばばい。あるでないで。
食事をしながら、徳島弁を教えてもらう。
「あばばいってなにかわかる?」
うーむ。わからん。芥川龍之介の作品で『あばばばば』というのがあるのは知っているが。あばばい?ララバイ?グッバイ、ららばい。そもそもララバイってなんやねん(ララバイとは子守歌の意)。
「眩しいって意味やで」
ほほー。あ、そー言えばこっちに来て会話の途中で、思わんで?と使われる事があるのですが、あれはどっちなんですか?思うんですか?思わないんですか?
「あー、それな。あれはそー思いませんか?って事だね。徳島弁であるでないでってのと一緒やな。あれは“あるじゃないですかー”ってことや」
ほー!勉強になります。
方言とは面白い。だいぶ聞き慣れてはきたが、先生と話をしている時に「思わんで?」と使われると、今でも少し賛同なのか否定なのかわからなくなる事がある。思うだろ?思わないだろ?言葉一つで会話の流れがガラっと変わる。
それから、先生たちは昔の話を色々と話してくださった。今は綺麗なランドセル使っているけど、昔は牛革の綺麗なランドセルを使えるのは金持ちで、たいていの家では豚革使っていたからブツブツがあったとか、それさえも買えない家では風呂敷だったとか。
僕は生まれた時から両方のおじいちゃんがいなかったので、こういう年配の方の会話というのに憧れていた。すごいよなぁ〜。人生50年なんて言われていたけど、50年前なんてまるで別世界だ。
自分が生きている時代が全てのように思ってしまうけれど、時代は変遷していっているんだよなぁ。僕も50年後ぐらいには、昔はこんなんだったんだよと、今の時代を懐かしむ時が来るのだろうか。
突然、ギャーッ!!と悲鳴が聞こえてヘルベチカ…
昔話を終えると、先生のお友達は訪問の目的である網掛けを行う。ここは山奥。植物を植えても、大きくなる前に鹿や猪に食べられてしまう。そのために草むらに網を張るのだ。
僕は先日発見した先生の所にあったパソコンをお借りして、ブログの制作を始めた。さてフォントはどうしようか。Helvetica、メイリオ、ヒラギノ角ゴシック…。
僕はちょっとしたフォントフェチである。フォントワークスのマティスPro EBというフォントに出会ってから、有料フォントを買い漁ったりしまくった。ブログを作るときもフォントから考えるのだ。フォントでそのブログの雰囲気が変わってくるからね!!
ちなみに、今、あなたが読んでいるこのブログのフォントは端末により変わるかも知れないけど、“Noto Sans”というフォントだよ!能登サンズ。チーム名みたい。
しかし、しばらくすると外から悲鳴が聞こえた気がした。
あぁ。統合失調症の症状か。ここでも幻聴が聞こえてしまうのか。自分の部屋でパソコンに向かっている時も声が聞こえたと思って、部屋を出て呼んだかどうか確認すると、誰も呼んでいないと言われる事しばしば。
僕は集中して再びパソコンの作業に戻ると今度は「野口クーン」と聞こえてきた。なんじゃろ。パソコンが何かしらの波動を発しているのだろうか。
「野口くん、ちょっとおいでー」と、今度は確実に聞こえたので、声のする方へ走っていくと、先生が何やら長い木の枝を持って草むらに入っていった。幻聴ではなかったのか。うむ。
なんて事を考えていると先生がガサゴソと何かをしていた。
マ、マムシだー!!!
先生は慣れた手つきで木の枝をえいっ!と一突き。成仏してな、と木の枝に刺さったマムシをこちらに投げてくる。
うひょー!マムシ初めてみた!こわー!
マムシはピクリともしなかったので、近づいて写真撮影。人間はこれを滋養強壮で食べるのか。最初に食べようとした人すごいな。毒があるんだってさ。
きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。1万円するんだぜ。それで。(タッチの達也風に)
先程の悲鳴は、姉さんの声だったらしい。鹿よけの網をかけているとマムシ発見!キャーッ!!の流れ。僕はマムシを見て、なんとなくフォントはHelveticaにしようと思った。
ちなみに、ヘルベチカとはラテン語でスイスという意味。マムシとは全く関係ない。
仕事を終え、一風呂浴びに御所の郷
先生のご友人達が仕事を終えて帰り、僕も引き続きブログをこしらえる。ここでの時間はとにかく過ぎるのが早い。
気がつくと外は真っ暗だ。パソコンを閉じ、車に乗って温泉に連れて行ってもらう。ここの山の家にもお風呂があるのだが、そこにはめったにお風呂に入らないのだ。
なぜかと聞いた所、ここで社会復帰支援の受け入れをやっていた頃、山の上にこもって活動をするよりも、一日一度でも山の下に降りた方が気分転換のリフレッシュになるし、メリハリのある生活になるのだと言う。
着いた場所は御所の郷。お遍路で通りかかった事がある場所だ。あれね、二日目に三木武夫の銅像を発見した所。
やっぱり車ってすごいよね。2日歩いた所が1時間ちょっとで着いてしまう。
男湯なのに、ヴィーナス!!
お風呂の中は、なかなか綺麗。楽しいジェットバスがあり、ダイエット風呂的なものまであった。
太り始めた僕はちゃっかりジェットの力でお腹をボコボコ刺激して楽しんだ。効果がありますよーに。
お風呂上がりのビン牛乳も用意されている。腰に手を当てて飲むのは夢だよね!
そー言えば毎回違う場所に連れて行ってくれるのはなんでだろ?と思って聞いてみると、せっかくだから色んな場所の方が楽しいだろうと思って、という心遣いをしてくれていた。
ありがとうございます。本当にありがたい。普通にしていると見逃してしまう事も多々あるのだが、注意してみると先生は本当に細かいところまで気遣いが出来るすごい人だ。見習わねば。
ママとネズミ
温泉後、スーパーに寄る。今日は「ママのお店」という所に連れて行ってもらった。毎回この横を通るたびに何のお店なんだろ?って思っていたけど、普通のスーパーだった。なんとなく真夜中のスナック臭がする名前だよね!
ママの店!
ここで今夜の講義中に食べるものを買って、山を登る。
そーいえば、先程リフレッシュのために一日に一回は山を降りるという事を言ったけれど、山の上り下りだけでも1時間近くかかる。ここに来てから何度も上り下りしているけれど、その1時間は僕にとって楽しみの時間だ。
なぜか?
野生動物に遭遇するから!!
サファリパークに行かずとも、多種多様の動物たちに出会える事が出来る。
さて、今日はどんな動物に出会えるだろうか。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
おわかりだろうか!?この写真の左側のガードレールの下にちょこんと何かがいる!!
車にビックリして、逃げていく。トコトコトコ…。
あ!!木の茂みに逃げてしまった。
一体何だったのだろうか。たぬき?イノシシ?
こんな感じで山の上り下りは僕にとってもリフレッシュになる良い時間なのだ。
そして小屋に帰ると玄関にネズミがいた。
とっとことっとこ。
うおーーー。ネズミだー!かわいいー!終電逃した渋谷や新宿で見た事はあったけど、こんなに間近で見れるなんて。写真撮れなかったけど…。
ここには自然がいっぱい。
夜の講義は天才バカボンは究極の禅問答だというものだった。西から陽が昇っても、それでいいのだ。
その極致に到達出来たなら、すごく生きやすい人生になるかもしれない。何かがあっても「それでいいのだ」と唱える事で全部がOK!
歩き遍路9日目のまとめ
今日はマムシを見たりたぬきかイノシシかを見たり、ネズミを見たり、自分の生活圏では体験出来ない事に触れ合えた。
これはもっと自分の世界を広げなさいと誰かが教えてくれているのかもしれない。
僕の世界はまだ小さい。その事に気がついた1日でした。
ではでは『四国歩き遍路日記09日目』の出来事でした。