四国歩き遍路日記13日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
考えてみれば、こう一つの所に滞在して生活していれば、何かしらのトラブルに巻き込まれたり、人間関係で悩んだりすることは、ごくごく普通の事なんですよね。
部屋から出ずに、ほとんど人と関わる事なく生活している僕は、その事を知らず、ひとつの失敗をこの世の終わりのように捉えてしまって、一気に全ての日記を消してしまったわけですが。
でもこうやって改めて、ひとつひとつの記事を読み直しながら書いていると、自分の行動によって、誰かを傷つけたりする事は嫌だけれど、それを恐れて何もしないでいることの方がもっともっと嫌だな。もしかしたら1人を傷つけてしまったとしても、10人を救う事が出来るかもしれないな。なんて事を考えるのです。
完璧主義者である僕はそのたった一人でも傷つけてしまうことをひどく恐れるわけですが、人間生きていれば知らぬうちに誰かを傷つけたり誰かの迷惑になっているのかもしれないわけで、それが駄目であれば、生きるのを辞めるしかありません。そんな事は僕には出来ない。
なので、もちろん人を傷つけないように気をつけるのはもちろんですが、傷つけてしまったのであれば「ごめんなさい」と謝る覚悟で、誰かを救える文章が書けたらいいなと思います。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記13日目のまえがき
『四国歩き遍路日記13日目』です。雨がすごくて、なんとなく憂鬱。そんな心を洗い流してくれるような出来事が沢山ある徳島での生活。
アメニモマケズ、ここの人たちは楽しく生きているのです。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。
鳴門金時をパンに塗りたくってみる
今日は朝から大雨。「4日連続の雨で、何かがおかしい」と先生は言う。“3日と続く雨は無し”と昔の人が言っていたのに、最近は異常気象が多いのだそうだ。
まー、そんな雨音に起こされた僕は、とりあえず洗濯をする事にした。前も書いたが、3日分しか着るもの持ってきてないからね、雨でもなんでも洗わねばならないのさ。
途中、先生のお孫さんが起きてきて、早々に僕にひっつく。おはようございます。一緒に洗濯機の前でグルグル回る渦を眺める。
するとなんだか腹が減ってきた。僕は食パンをもらい、調理過程で出た鳴門金時の残り滓を濾したものをパンに塗りたくって焼いてみた。本来これはどうにも出来ずに捨ててしまうらしい。
トースターで焼く。僕はなんとなく舟和の芋ようかんを想像した。
これね。浅草に行った時はいっつも買って一人でムシャムシャ食べとる。あれも言ってみればサツマイモのお菓子なわけで、同じサツマイモならこれだってあの味がするのではないか?と思ったのだ。
でけた。
食べてみる…。
う、う、ウマーッ!芋あんパンだ!鳴門金時の甘みがぶわーっと、口の中に広がる。舟和の芋ようかんにはなかなか遠い味ではあるのだが、甘すぎず良い食パントッピングだと思う。この上につぶあんとか載せてもいいかもしれない。
捨てちゃうのはもったいないなぁ…。生クリームとか入れて混ぜたらお菓子に使えそうだし。
何か活用出来たらいいな。こんなに美味しいのだもの。…でもまぁ、そんな事言っていたら糖尿病になりそうだな。毎日毎日全部自分の胃袋に入れていたら大変だ。なんとか商品化出来ればいいのだが。
午前中はお孫さん達と遊ぶ。カマキリの恐怖…
朝ごはん(鳴門金時あんぱんとは別)を食べ終え、お孫さん達と遊ぶ。
ご飯を食べている時に、「なー、おかわりするん?」と急かしてくるぐらい遊びたいのだ。
僕は洗濯ものを早々に部屋の中に干す。
ん?
う、うおー。部屋の中にカマキリが…。
「なんで虫嫌いなん?」と笑われる。
いや、慣れては来ているんだよ。それでもやはり不意打ちはビックリする。
笑っているお孫さんと紙飛行機を飛ばして遊んでいるとカマキリはどこかに消えてしまっていた。
…また驚かしてくれるなよ、頼むから。
パワフルな孫、サワガニ登場
お孫さんが大雨の中カニを見つける。僕は雨に打たれながらそれを見に行く。カニや、カニがいるんや!!
カニは驚いて逃げる。子供は雨なんてへっちゃらだ。自然をそのままに受け入れるのだ。濡れたら困るなんて考えたりしない。
大人になると色々と学ぶ事もあるけれど、それによって何かを失う事もあるんだな、と感じた。
お孫さん達が帰る時間になる。僕を気に入ってくれる1番下のお孫さんの捨て台詞はこうだった。
「なー、明日うちにくるん?」
いたく気に入られたものだ。車に乗ったお孫さんは窓を開け、タッチ。と、最後の最後まで僕にべったりだった。かわいいなぁ、こんちくしょう。
仕事の手伝い、生活の知恵。やらねばわからぬ事
お孫さんたちが帰った後、先生の手伝いをする。「カゴを運んでおいて」と言われたので、僕は力持ち自慢として、両手で1つのカゴを持ちその上にカゴを重ね4つ同時に運ぼうとした。
サザエさんのサブちゃんもビックリであろう。4つ持ちだよ!?
しかし。
「ワシの生活の知恵教えよう。カゴをこうやって3つにして片手で持つ。それを両手で行えば一気に6つのカゴが運べるんよ」
おおお!!!これは大発見だ。かごをあわせ貝のようにして、その中に縦にしたカゴを入れれば3つを片手で運べるのだ。縦に4つ持ちで運ぶよりも目の前は塞がれないし、1.5倍の効率の良さ!
カゴの持ち方1つでも学ぶ事がありますな。
それとさ、農家には色々と補助金が出るみたいでさ、草を刈るとお金をもらえるという事を初めて知った。
やはりどんな事でもやってみなければ知る事が出来ない事がたくさんある。
皮むきを手伝わせてもらえた
今日は初めて鳴門金時の皮むきをさせてもらえた。ただの皮むきだと思っていたが、これがなかなかむずかしい。
普通に薄く皮をむくだけじゃダメなのだ。芋のヒゲの所を深く削らねばすぐに黒くなる。
剥いた鳴門金時を水に漬けて置くとアク抜きが出来るらしいのだが、うまく剥けていないと黒い点が浮かび上がってくる。
先生が剥いたものはほとんど黒くならない。熟練の技。芋の皮むきっておもしれー!
薄くかかる靄の中、外に降る雨を眺めて、一日中皮をむいておりました。僕はこういう単純作業が大好きです。何時間でもやってられる。気がつけば日も暮れる時間になったので今日の仕事はオシマイ!
バケツ一杯分のサツマイモの皮を剥いたぜ。
食べられないうどん。福福ラーメン再び!
安くてうまいうどん屋さん。昨日も今日もやっていなかった。日曜日だったけど、営業時間が11時〜16時だったのだ。
ほんの少し間に合わなかった。
よし、それじゃー福福ラーメンだ!と方向転換。やっほい!
うどんは食べてみたかったけど、あそこのラーメンむちゃくちゃ美味いから嬉しいですよ。
食べたのは650円の大盛りラーメン。前回は普通盛りだったけど100円足して大盛りにしてもらった。
見よ!このスープ!!
見よ!!このチャーシューとメンマを!!
見よッ!!!このたっぷりの麺を!!これで650円ってお得だろー!!都内のラーメンは900円ぐらいするもんね!
味は前回同様にすこぶる美味い!
ぜひ、徳島に来た時は、この福福のらーめんを一度お試しあれ!何度食べても美味いもんは美味い!
本日のお風呂はふいご温泉
ラーメンを食べ終え、大雨の中、車を走らせる。着いた場所は、ふいご温泉。大人550円。ここにあるのは大きな風呂と水風呂、うたせ湯。そして、サウナ。
人がよーけ(沢山)入っとる。おじいちゃんがいっぱい。しかし、とにかくサウナが狭く、行列が出来る。4人ぐらいでいっぱいになるので、待つ人で溢れるのだ。
僕のポリシーとして、全ての風呂に入りたいと思っているので、サウナにも入りたい。
人が空くまで、大きなお風呂と水風呂、打たせ湯を楽しむ。しかし、時間を潰すにも限界があるなぁ〜と思っていると、外に出られる扉を見つける。
お!露天風呂あるじゃん!
扉を開けるとそこには椅子が3個置かれただけの空間があった。…お風呂ないのかよ!
でもまぁ、川の流れの音が聞こえるし、マイナスイオンが出てそう。一応椅子に座り大雨にうたれていると、サウナがあいた。
いそいそとサウナに入ったが、せ、せまー…。目の前すぐに壁があり、こんまりと縮こまって、雨に打たれた体をサウナで温める。
ふいご温泉はこんな効能があるらしいですよっと。痔という文字が見当たらない…。ムキーッ!!
あ、ヒステリーに効くんだ。ゆっくり浸かっておかねば。ふう。
ブログの俳句を考える
お風呂を終え、スーパーによった後、山を登り小屋に帰る。先生はお風呂に入っている間、新しく僕が作ったブログで披露する俳句を考えていたようだ。
自然界での現象などを踏まえて、人間社会で生きる人たちの悩みを解消しようという試み。
それを短い俳句で行ったら楽しいのではないか、というアイディアなのです。
先生は人前に出る事は好きではないけど、これは良いなと喜んでくださった。
僕も人の役に立つのだな。
あ、そーいえばここでは沢山の人間社会に迷ってしまった人たちが訪れ、心を癒して去っていく。
その人達がここで暮らしていた時に使っていたお箸を壁に飾って大事にとってあったのには感動した。あねさんが考えたんだそうだ。前はその箸たちの写真を載せていたけれど、そこには個人情報とか載っているので、ご勘弁。
箸でかけ橋を作る。素敵だなぁ〜。
夜の12時半で今日はお開き。
四国歩き遍路日記13日目まとめ
今日は先生が考えた俳句の1つを披露して終わる事にしよう。
雨粒を、頭の上で、知る歳ぞ
歳をとり頭が薄くなる。それを雨粒で感じた。
アンチエイジングが流行っていたり、白髪染めをしたり、歳をとる事を恐れる人もいるけどさ、こんな感じで考えられたらなんとなく風流だよね。歳を取る事を喜べる人間になりたい。
ではでは『四国歩き遍路日記13日目』でした。