四国歩き遍路日記14日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
写真というのは文字以上に情報を持っているもので、旅先のブログなどを書く時は大変重宝するものなのですが、実はこの写真、なかなかに危険なもの。
その昔、有名なアスリートが普通に庭先でくつろいでいる写真を撮って公表した所、そこにはその当時、植えちゃいけないお花が咲いていたらしく、それを見つけた視聴者が通報。
そのアスリートは罰せられる事になったなんてエピソードもあるぐらい、写真一枚の情報量というのは大きいものです。
というわけで、写真を一切載せずにブログを書きなさい。なんてアドバイスをもらった事もありましたが、やっぱり写真がないブログってつまらないと思うんだ。
なのでね、言葉で書くのはもちろんの事、この豪雨をたーっくさんの写真でお届けしますよー!!の回。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記14日目のまえがき
『四国歩き遍路日記14日目』になりました。旅に出てから2週間目。今日も外は大雨です。5日連続の雨。一体天候はどうしちまったんだか…。
これはお天道様が休めと言っているのかもしれないな。ゆっくりとスタートです。…が、しかし。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものを高画質でアップすることにしました。Facebookの方へアルバムを作りましたので、よろしければ御覧くださいませ。
今日は久しぶりに100枚超えました。
ししゃも1つで色々学べる
今日の朝はゆっくりめ。先生が起きてきたのは9時ちょっと前。二度寝してもうた、と笑う。こういう感じの時間の流れが心地良いなと思う。
朝ごはんはししゃもが出ました。先生はふと、
「ししゃもって、ほとんどが本物のししゃもじゃないの知っとる?」
と尋ねてきました。
僕は電波の良いところを探し、【ししゃも 偽物】とスマートフォンで検索。すると確かにそこには“樺太ししゃも”なるもののカラクリが書いてありました。
スーパーなどで売っているものは実のところ、ほとんどが“樺太ししゃも”なのです。
樺太ししゃもは本物のししゃもより大きく、沢山採れるのですが、本当の名前は“ケペリン”というそうです。
しかしケペリンという名前ではお客さんの食いつきが良くない。そこで“樺太ししゃも”と名付けて販売しているのです。
言ってみればカニカマとか言いながらカニじゃないみたいな事です。ししゃもという名前をつけていながら、彼らはししゃもではないのです!!タラバガニと言いながらヤドカリなのです!つまりは名前マジックなのです!!どやーっ!
もし【スケトウダラの赤色素かまぼこ】という名前だったら、もし【ケペリン】という名前だったら、もし【鱈を採る場所にいる大きいヤドカリ】という名前だったら、今ほど売れはしないでしょう!?
名前って本当に大事。
まーワシは美味かったら、なんでもいいんだけどな
そこでふと僕は思い出す。確かに僕の近くにも国産や外国産にやたらこだわり、国産は良いもの、外国産は悪いものだと考える人がいます。
もちろん外国産を食べて美味しくなかったら、そういう判断をしても良いのですが、食べもせず先入観で決めつけてしまう感覚があるのは確か。
人は数字や見た目で本質を見失う事がある。
先生は大きなお皿に残ったししゃもを見て、
「こうやって大きな皿に3匹あると、残り物って気がするけど、小さな皿に3匹盛ってあれば、ご馳走って気がするだろ?」
と、小さな皿にししゃもを移して見せました。た、確かにこっちのほうがご馳走感が増した!!
「人間は物事の本質を見るのではなく、周りの情報や状況で物事を判断しがちなんじゃな」
あぁ。前に聞いた月の話もそうだったけど、人間ってのは相対的評価を下している事をついつい忘れてしまうものだなぁ。
月がなぜ大きく見えたり小さく見えたりするのかの講義はこちら。うむ。目の情報ってすごいよね。それでいて、真実を見ているって思い込んじゃうんだもんね。目と鼻は本当に騙されやすい器官なんだぜ。
人間の学習能力の話
「先生って本当に色々なものを覚えているんですね」と、親子丼をつまみながら言うと、記憶の方法の話になる。
「記憶は1つのもので覚えるのではなく、2つのものをお互いに関連づけてどちらからでも思い出せるように覚えるんよ」と言いながら、カエルが旗を持っているイメージを連想させ、フロッグとフラッグを連結させた。
英単語の暗記とかに活躍しそうな記憶法だ。
僕は初めて知ったのだが、先生は昔、教師をしていた事もあったのだそうだ。本当に色々な職業をやっている人だ。かなり僕の生き方の理想を突き進んできたのだと実感する。
人間は電気で出来ている
人間の神経の伝達には電気が使われる。その電気のターミナルのようなものが俗に言うツボであり、ツボを探す時は電気を読み取る機械で行うんだってさ。
先生は自分の事を“電気コード”だと言う。どんなに高価な家電製品でもこの電気コードがなければ動かない。
この小屋には立派なマッサージチェアがあるが、値段は70万円するんだそうだ。でも、電気コードがないからただの椅子。
「人間も電気コードをなくし、動けなくなっている人がよーさんおる。だからワシがそのコードになって電気を通してやるんじゃけん。そしたらまた動くようになるんよな」
ほー。なるほど。わかりやすい。
そうしたら、僕はどんな存在なのだろう。
うーん。
針灸みたいなもんかな。やりたい事があるのに手段がわからない。そういう人に手段を伝える。そしたら、止まっていた血流などがぶわーっと動き出し、活発に動き始める。
針灸。…である必要ないか。僕も先生みたいに、頑張りたいけど頑張らない人の何かの力になれるような生き方をしたい。
人は財を成すと必ず政治家を生み出す
ところで、政治とお金について気がついた事があった。なぜ政治家にはお金持ちが多いのか。なぜ政治とお金は切り離せないのか。僕は昔からお金に関する事に対して、嫌悪感を抱く事が多いので、先生に質問をすることは結構お金の事が多い気がする。
そして先生の話を聞いて納得するのだけれど、今回はその一つを紹介しよう。
人が一代で財を成すと、その財を失いたくない、誰かに奪われたくないと考えるのが普通だろう。大金を稼いでいる人の家の塀はたいていすごく高く出来ている。奪われるのが怖いのだ。
ではどうしたらいいのか。
自分に都合の良い法律を作ってしまえばいいのだ。
至極単純な流れではあるが、これが世の中に沢山いる政治家の思考回路だと思う。だから政治家にはお金持ちが多い。
もちろん、正義感を持ってやっている人も沢山いるとは思うけどさ。なんかすっと胸の中に落ちていった道順だった。財を成して、財を守る為にルールを作る。ふむ。なるほどなぁ。
じゃあとりあえず投票に困ったら、政治家の資産公開でなるべく高い人は辞めておこう…的な発想になるのだけれど、考えてみればさ、逆に子供の頃にお金を全く持っていなくて、政治家になってガッポリ見返したるでー!!っていう人もいるんじゃないかしら。
そしたらさ、そういう人に都合の良い法律が出来て、今現在貧乏の人でも大金を稼げる道筋に光を照らしてあげる事ができるんじゃなかろうか?
なんだろね。政治家がゴールだから駄目なんじゃなかろうか。大金稼いだり、成功した人が政治家になって世界を回す。そしたらそういう人の都合の良い世界になる。でもなぁ…。政治家って投票によって選ばれるからなぁ。大金稼いだり、成功したりした人じゃないと支持得られないしなぁ。
これから見返してやるんじゃい!!こんなクソみたいな世界変えたるわ!!って人は、そこまでに良い人生を送れなかったから世界を変えたいと思うのであって、そういう人って、失敗した過去があるわけで、そういう所に目を向けがちな国民は彼に投票しないよなぁ…。
…うーむ。じゃあやっぱり結局、金持ちの金持ちによる金持ちのための政治って構図はある程度は崩れないのかぁ。時間かかりそうだ。
人々には聞こえの良い事を言って、その実、自分の身を守っている。ま、両方達成されるならそれが一番良いことだ。人々を守る事が自分の財を守る事にもなるって感じで。
でもお金の魅力って魔性だよな〜。世の中の事件や悲劇はほとんどが、経済性を取った結果、起きた事だもんな。お金がこの世から消えたらいいなぁ〜とは思うけど、そしたらお金に変わる他の媒体が出てくるんだろうな。
なんて事を先生にグチグチとこぼす。
「お金自体には善も悪もない。使う人間に善悪があるんじゃ。だからお金を毛嫌いしてはいけない。お金は使いようによっては沢山の人間を救うことも出来るのじゃ」
ふむ。うーむ。うーーーーむ。。。
経済と安全を天秤にかける。
使いようによってというのはどういう事なのでしょうか。どうしたら沢山の人間を救えるのでしょう。
すると旅客機にはパラシュートを乗せずに、戦闘機に脱出機を乗せる話をしてくださいました。両者の違いがわかるでしょうか?
旅客機にはパラシュートを積まない。なぜならパラシュートは場所を取ります。パラシュートを積載するという事は、それだけ多くの人を乗せられなくなるという事です。
パラシュートなんて、何百回、何千回のフライトで一度使うかどうかのもの。その一回にかけるよりも、毎回数百人分多くの人を運んだ方が経済的には潤うのです。
経済性と人の命を比較して、経済を取る。
しかし、戦闘機には脱出装置を乗せます。これは別に人の命が大切だからというわけではありません。一流の戦闘機パイロットを生み出すにはごっついお金と時間がかかるのです。
それが途中で死んでしまわれたら、また新しく戦闘機乗りを育てなくちゃいけなくなるわけで、経済的に大損害になる。
つまりはどちらも経済性を考えた上での判断なのです。違いなどないのです。
原発事故に関してもそう。原子力発電には冷却するための水が大量に必要になる。内地に作っては水を運ぶのにお金がごっついかかる。だからそのお金を節約するために、海沿いに作る。
真水ではなく海水を使えば、水を運び出す費用がいらなくなるから経済的に得。津波による原発事故なんて起こるかどうわからない事を危惧するより、それが起こるまでに稼げる金額を優先させる。経済と安全。過去に起きた全ての事件は、この天秤で経済が勝った時に起こるものなのです。
こんな話を聞けばお金に対する嫌悪感は増すばかり。
そこまでして稼いだお金は一体何に使うのでしょうか。
先生は言います。「お金は冷蔵庫」だと。
ん?
その話はまた後日。
雨の日の山道は危険だ!これを見よ!!
と、まぁ今日は雨なのでゆっくりと部屋の中で講義を受けたという話でした。んで、軽く仕事をした後、お風呂に入る為に下界へ。いつもはもう少し暗くなってから山を降りるんだけど、今日はちょっと早めの下山。
…なんか山道がスプラッシュ○ウンテンなんだが。水がジャージャー流れているよ。。。
道なのに。
あ!!!
鹿だ!!
雨にも負けず、テコテコと歩いていった。ここは本当に日本なのだろうか…。サバイバルやー!ゲームの世界なんやー!!
落ちていた大木を処理する
遭遇したのは鹿だけではない。大木でさえ、車の進行を妨げる。
うおー。通れねー!!
とドキドキしていた僕。しかし先生とあねさんはなんも焦るところがない。
「ワシがチェーンソーを車に積んどる理由がわかるだろ?」
と先生と僕は車を降りて雨の中、大木を二人で持ち上げ、脇道にのけた。
うるぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!
ドガーッシュ!!
ふう。水を吸ってなかなか重かったぜ…。靴もビショビショになってもうたし。
僕が住んでいる所では雨が続いたって、野菜の値段があがるぐらいで、特に生活に困るという実感はありませんが、こういう山などに住んでいる人にとっては大きな事なのだと実感しました。
「貴重な体験が出来ましたね、野口くん」と車に戻った先生は言った。
い、生きた心地がしない…
大木をどかした後も、山道は続く。山の上から雨に流され、集まってきた落ち葉が道路全体を覆う地帯に入る。うおおお!!道が見えねー!!
…ちなみに車で騒いでいるのは僕だけ。先生達は慣れた感じで静かに運転している。
ううう。
今日、お風呂入らなくていいので帰りたい…。
ううう。こわっ。
ながーく走って三頭トンネル、香川県
ようやく山を下り終えた。しかし、雨で周りはモヤだらけ。山の形で道を判断するという先生の頭ナビも、こうも山が隠れてしまっては調子が悪いようだ。
ほら。なんか天竺みたいだよね。三蔵法師の先生と、孫悟空のあねさんと、猪八戒(ブタ)の僕。沙悟浄は先生が兼ねる(頭が薄くなってきたと言うから)。
霧がかる山を登り…
三頭トンネル。
2キロ近くある長いトンネルを抜けると、
そこは温泉だった。
平賀源内がなんちゃらっていうみかど温泉。それにしてもトンネルの写真、近未来的だな。普通にiPhoneで写真撮ったんだけどさ、SFの世界のような写真になっているよね。加工とか何もしてないんだが。
トンネルで写真を撮るとこんな現象になる事を初めて知った。
みかど温泉の紹介
店舗内はなかなか広い。
絶賛の湯!平賀源内先生!!
知っているかい?平賀源内と言えば、エレキテル(静電気発生機)の発明家と紹介される事が多々あるけれど、彼はエレキテルを発明したわけではなく、エレキテルの装置を修理しただけなのだよ。それよりも土用丑の日にうなぎを食べる習慣を提案した人だって方が僕の中では印象深いのだがね。ま、最後は酔っ払って人殺して捕まって死んじゃった人だけどね。鬼才であることは間違いない!!
休憩所もほぼ貸切状態。まあ、外は大雨だしさ。
お土産も沢山置いてある。
ここは大人550円のようだ。四国のお風呂の相場は400円〜600円ぐらいなのだね。うちの近くにあるお風呂屋さんは800円ぐらいするんだよなぁ…。やっぱり関東って何をするにも物価が高いよなぁ〜。
サウナで本を読む小太りの青年。そのタイトルは…
さてさて。先生と一緒に温泉につかる。先生は熱いのが得意だ。僕は耐えきれず、先に出てしまうのだけれど、どんなに熱くてもながーーーーーーく浸かっている先生、すごい。
これって、鍛錬次第でなんとかなるもんなんだろうか。僕はすぐにのぼせちゃいそうになるのだけれど。
水風呂が大好きなのでいっつもそっちの方を長く入って安らいでいるのだよ。ちなみに、ここは川のすぐ横の温泉なので、水風呂の水は川から汲んできているみたい。水が雨で濁って少し黄色かった。
先生はサウナに入っていく。僕もある程度全ての温泉に入った後、サウナに向かった。
そこは5人ほどが座れる椅子があり、温度をみると106度…。
うおー。沸騰してまう!!!
…とか、心の中で思っていると、ふと気になった小太りの青年がいた。
サウナの中で本を読んでいるのだ。本燃えないのか?いや、ここは乾燥しているから本には良いのか。
それにしてもサウナの中でも読みたくなる本。タイトルが気になる…。
うーむ。
うーむ。
ぷかあー。いかんのぼせてしまう。とりあえずまだ先生は出る気配がないけど、サウナを出よう。
僕は立ち上がりざま、青年の持つ本のタイトルを盗み見た。
ヒップホップ・ジェネレーション!!
Hey!笑ってしまったYo!でもYo!ベストセラーだぜ、メーン!
みかど温泉の他の写真は結構多く撮ったので、よければ参考にしてくださいませ。休日に一日かけてのんびりしたくなるような広くて綺麗な温泉でした。これで550円は安い!!
うどん屋は空振りが多い…
そんなこんなで温泉から出ましたがお腹が空いてきました。今日こそは!!と、うどん屋に向かいましたが、またもやっていない…。なんでやねん。うどん、大好きなのになー。追いかけると逃げられる。正に恋愛のよう。ちくしょー。
そんな僕の心をなごませてくれるこんな文字。
かつおと昆布をベースに出汁と長ねぎ、にんじん、油あげを盛り込み、とろみのあるカレーを牛丼にかけました。
みつを。
って感じの言葉につられ、すき家でカレー南蛮牛丼大盛り610円を食べました。いつもは豚丼に紅生姜とフレンチドレッシングをかけるやつを食べるんだけどね。この言葉がね、僕を揺さぶってきたんですよ。
うむ。考えてみれば、お肉多めのカレー丼だわ。カレーにお肉って入ってるもんね。いや、逆に言えば、ルー少なめのカレーだわ。ああ。いつものやつにすれば良かった。カレーは好きなんだけど、やっぱりあれを食べなければなんか物足りない。
ふう。次こそはうどん屋、やっていてくれ!!
四国歩き遍路日記14日目まとめ
帰りにデイリーマートに寄って、本日の夜の講義のお菓子を調達する。ここには単品の金長まんじゅうがなかったな。残念…。
もうね、雨の夜の山道はどんなホラーアトラクションより怖いからね!!
小屋に到着後、一息つく。そして昼間に引き続き、講義という名の雑談が始まる。頭を使うと糖分が欲しくなるので、先生が作ったニホンミツバチのハチミツをパンに塗って食べた。
これ、本当に美味しい。甘さがギュッと詰まって甘さを感じるのに、食べ終わると甘さが全く残らない。さっぱり!
なんではちみつってあんなに値段が違うんだろ?って疑問に思っていたんだけど、安く売られている蜂蜜には水飴が沢山入っている事を初めて知ったよ。
なるほどなー。
さてさて、今日は大雨でしたが、学ぶ事が沢山ある日でした。
先生は僕が作ったブログを喜んでくださり、生きがいが出来たと言ってくれた。
僕は古きをたずね新しきを知り、先生は新しきを知り生きがいを得る。
人間は相互作用。持ちつ持たれつ。僕にも何かできる事があるのだなと嬉しくなる事がポツリポツリと増えてきた。
そんな『四国歩き遍路日記14日目』でした。