四国歩き遍路日記15日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
ようやく15日という所でしょうか。今あらためて日にちを数えてみると、僕は69日間旅に出ていたようなのでまだ4分の1も書き終えていないのです。まぁ、先は長いですが一つ一つチェックしながら記事を書くのも、一種の脳内トリップのようで楽しくなってきました。
旅先では気が付かずに同じ話を何度も書いてあったりする部分もあるので、それを読みやすいように構成し直すというのも、なんとなく自分の性格にあっているような気がします。
今度こそはお蔵入りさせないぞ!!
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記15日目のまえがき
四国歩き遍路日記15日目になりました。天気は相変わらず良くない日が続きますが、今日はにくの日だそうです。29日じゃないのに、なぜにくの日?と思っていた謎が今日解ける。
そして僕はお遍路再開について考える…
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをまとめてアップすることにしました。Facebookの方で高画質の写真アルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。このブログで紹介しきれない写真もありますので。
縁側にはカニ、カスピ海、葛根湯
朝起きるとなにやら、鼻水が止まらない。外は今日も大雨。縁側に出ると、サワガニがぴょこぴょこ歩いていた。
今日で雨も6日目か。洗濯物も乾きやしない。
急に気温を下がってきた。肌寒い。先生とあねさんは僕を気遣い、洋服を出してきてくれた。先生の息子さんが着ていた洋服らしい。だいぶ大柄な人だったのだなぁと想像する。
息子さんの服を着ても良いのだろうかと少し気が引けたが、使ってもらった方がいいとのことなので遠慮なく着る事にした。本当は洋服を見るだけでも息子さんの事を思い出しちゃうだろうに。
全部燃やしてしまうつもりだったらしいが、ものには罪はないととっておくことにしたのだそうだ。人にはいろいろな想いがある。想いと思いが戦う。それでも物を大切にするという信念を曲げなかった先生は立派だ。
いかん。…完全に風邪じゃ。鼻水が止まらない事を告げると、葛根湯をくれた。これを飲んだら鼻水がピタリと止まった。初めて飲んだけど葛根湯って、すげー!
朝ごはんを食べた後、昨日の夜に姉さんが作っていたカスピ海ヨーグルトを食べた。バナナとニホンミツバチのハチミツを入れると、ものすごく美味しかった。これで痔も治るやもしれん。
雨の中、仕事も少ないので色々な話を聞いた。
先生と部屋で鳥のように舞う
先生は鳴門金時の皮むき、あねさんはブログの記事の執筆、僕はサイト作り、とそれぞれが自分の仕事を行う。
先生は俳句を思いつくと、僕らのいる方にやって来てはそれを詠む。
度々、こちらに来たら忘れてもうた…と鳴門金時の皮むきに戻っていく。
そして思い出してはこちらにそれを伝えに来る。僕は忘れないようにすぐにメモを取る。
その中で先生は唐突にこんな事を言った。
「蒙古相撲って知ってるか?」
モンゴル相撲ですか?
「そうや。あれなー、相撲を取る前にこーやって、鳥のように手を広げて片足ずつリズムを取る。ワシはあれ、儀式かと思っとったんよ。しかし実際にやってみたらわかる。あれは準備運動なんやな。やってみよ」
先生と僕は部屋の中で手を広げ、パタパタと踊る。あねさんはそれを見て笑いながら写真を撮っていた。
「これをやると肩がこらないんやな。よく考えられたもんやな。実際にやってみなきゃわからん事もあるもんやな」
外から誰かが見ていたら、ついにあそこのやつらは気が狂ってしもうたんやと思われていたかもしれない…。
生命力が強い植物は食べても栄養が高い。
「こうも雨が長く降ると、作物に影響が出るかもしれないな」と、先生は言った。
そこから作物の話になる。
外の環境に強い作物は総じて人間にとっても栄養価が高い。
かぼちゃやニンニクなどがそれらしい。
ほほう、といたく感心した。ここでの生活は外国に来たようなものだ。触れるもの全てが学びの対象になる。
さぬき麺市場で3玉分のうどんを…
今日は早々に小屋での仕事を切り上げて、先生の実家に向かう。
ここの所ずっと、うどん屋に行ってもお休みに当たることばかりだったので、先生が必ずやっているうどん屋に連れて行ってくれた。
徳島でよく見かけるスーパー、マルナカに併設されているさぬき麺市場。
入り口にあるメニューを見てもらえばわかるように、ここのうどんはとにかく安い!!
え?このぐらいの料金なら普通だって?
醤油うどん大400円。とり天100円。ここの小は普通のうどん屋の中。中が大。大が特大と、基準がズレているのだ。つまりは他のお店の大盛りのサイズを普通サイズの料金で堪能できてしまう。
しかもうどんにはコシがあり、程よく柔らかい。うどん大好きの僕を、ウマ〜〜!!とうならせるうどん屋だった。
安くて美味い。これはイイ!
大切なことだからもう一度言います。
これはイイッ!!
大根おろしも揚げ玉もかけ放題!これ重要!おろし醤油うどんの味のコアとなるのは揚げ玉。その揚げ玉が自由にかけられるお店はまあまあある。
しかし、揚げ玉ばかりかけても味がぼやける。味を引き締めてくれる大根おろし。それでさえもかけ放題なのだ!!太っ腹だぜ、さぬき麺市場!
これだけの量を…
瞬殺!!
見事完食し、まだ食べれそうだと言った僕に先生とあねさんはビックリしていた。
ここに来てから胃袋デカくなってしまったな(笑)
あ、それとそば屋をやっていた事もある先生は100パーセントのそば粉からは乾麺は作れないという豆知識を教えてくれた。
ほほー。物知り。
今日は17日だけど、おにくの日
お腹いっぱいになった僕たちは車を走らせる。その車の中でこんな話を聞いた。
先生は今日、息子さんの夢を見たという。前回息子さんの夢を見たのが49日。
仏教では7の数字を大切にする。7×7で49日。今日は息子さんが亡くなってから7ヶ月。
「全然気がつかなかったけど、不思議な事があるもんだな〜」、と先生は車の中で呟いていた。僕はそれを聞いて感慨深い気持ちになる。
先生のご自宅では、息子さんがお肉が大好きだったという事で、毎月17日はおにくの日として、みんなでお肉を食べるのだそうだ。
前にお孫さんが、17日をおにくの日と言っていたのを聞いて、はて?肉は29日ではないのかな?と疑問に思っていた事の謎が解けた。
先生はお肉屋さんで分厚いステーキ肉を買った。
まさか四国遍路の旅でこんなに立派なステーキを食べられるとは…
先生の自宅に着く。息子さんの遺影に手を合わせ、お孫さんが帰るのを待つ。しばらくすると制服を来たお孫さんが帰ってくる。
こっちの方では小学生から制服着るのだと初めて知った。
お孫さん達がすべて帰って来たのでお食事開始!
ドバーン!これはテーブルのほんの片隅。食べ物がたくさん!遠慮なく食べる。食べることで喜んでくれる人がいるのだ。だから沢山食べる!!
お遍路再開について
食事が終わり、僕のお遍路再開について話をした。
「もし今年中にお遍路を結願したいのであれば、今すぐに準備して飛び出していかなければ間に合わなくなるよー」と言われた。
ただ、今飛び出して行くとなると、僕がやろうとしているブログやネットショップサイトの構築が中途半端で終わる。
それは結局、自分に自信をつける事を放棄することになってしまい、僕が旅に出た意味がない。僕はこの旅で自分の存在意義を見つけたいのだ。自分に自信を持ちたいのだ。
先生は言う。
「お遍路は形が重要なのではない。手を合わせたり、順序を守ること、そういう事ははっきり言うとどうでもいい。写真撮って周るだけでもいい。そこから自分が何を見出すかなんじゃ」
と。
「それに野口くんがお遍路周ることなんて忘れとったし(笑)」
と。
僕ははじめ、45日ぐらいでお遍路回ろうと考えていた。距離から1日に歩ける距離を割るとその数字だったから。
しかし、実際に歩き始めると、もっと色々な体験に触れたいと思って、60日ぐらいで回ろうかなという気になった。
そして先生に出会い、この人からたくさん吸収したいと思うようになり滞在を決意した。年内までに回ればいいかと。どんどん予定が伸び伸びになっている。
でも今、僕が思うのは、締め切りを決めて行動するよりも、何かを達成することの方が自分にとって大切なことだという事。
なので、まぁ、確定申告までに戻ればいいかな。と思ってます。僕を待ってくださる方々、こんな感じですので少々お待ちを。旅に出させてくれてありがとうね。
それに時間に縛られないっていうのが、僕の選んだ仕事の強みだと思うし。会社で働いているとこうはいかないもんね!
吉野川温泉で一風呂、小屋で勉強会
先生のご自宅を後にし、向かった先は吉野川温泉。ここは大人400円。二回目の訪問である。
前は有料でロイヤルゾーンみたいなのがあるだの、風呂桶が少ないだの小言を言ってしまったが、確かにお湯は温かく、サウナがなくてもこれで400円なら満足出来るお風呂屋さんだと思えた。
ドリームバスっていうボコボコすごいやつで寝っ転がりながらお風呂に入れるってのもあるし。まぁ、ドライヤーが有料なのも、髪の毛短いからOK!
お風呂上がりに少しテレビを見て小屋に帰った。途中、タヌキに出会ったが、焦ってカメラを撮ったら写っていたのは僕の顔。
背面カメラと前面カメラの切り替えボタン押してたーーー!!
小屋に戻るとブログの話で盛り上がる。生きがい。楽しそうに考える先生とあねさんの姿を見て僕は少し嬉しくなるでした。
あ。カンタロウミミズっていうでっかいミミズがいるんだってさ。画像で調べてみたらマジでデカくてビックリした。
四国歩き遍路日記15日目まとめ
お遍路再開について語っている時に、「実は焦っておったんよー」とあねさんが言ってた。
僕はブログの書き方やサイトの運営方法をあねさんに教えている。
それをマスターせん事には野口くんが出発出来ない。それでうわあああとなっていたと言う。
僕はそこでふと考えた。やはり、人の事を考えてくれる人達ばかりだなと。
そこで、ちゃんと僕の考えている事を伝え、焦る必要がない。ゆったりと旅をして、パワーアップしたい。焦ってする行動はあまり良い結果を生まないので焦らなくて大丈夫ですと話した。
人との中で生活するのも悪くない。何度もここの生活で実感する事。
僕も人からそう思ってもらえるような居心地の良さを提供出来る人間になりたい。
ではでは『四国歩き遍路日記15日目』でした。