四国歩き遍路日記22日目:星降る夜に、再スタートについて考え直す…

四国歩き遍路日記22日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。

今回、書いていて思ったのですが、ここらへんから、当時の自分もブログを溜め込んでいたようです。1日1記事。それを目標に旅に出たのですが、気がつけばブログ借金は増える増える。

1日の出来事を1日の終わりに書く事のなんと難しいことか。こうやって1年後に振り返って書いてみても、やはり1日1記事は難しくて、予定よりだいぶ遅れてしまっています。

まー、なんでこんな話をしたかと言えば、今日らへんから急に写真の枚数が増えたんですよね。僕は写真を見ながら記憶を思い出して文章を書くタイプなのです。

忘れないように必死で写真を取りまくっている。忘れる前に文章にすればいいのに、遅筆な自分。そんな自分が必死こいて旅先で書いた文章ですが、色々と記憶違いなどもあったり。

改めてこうやって再編集版を書くことで、自分自身がもう一度旅をしているようで楽しい気持ちになりつつ、その当時の自分では伝えられなかった事を伝わりやすい構成で書ける事がありがたや、ありがたや。

ではでは、再編集版よろしくどうぞ。

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四国歩き遍路日記22日目のまえがき

四国歩き遍路日記22日目-00

天気が悪い日々も過ぎ去り、昨日に続き、本日も晴れ。夜になれば三日月で月明かりも少なく、山の上は真っ暗だ。ケータイのライトを持っていなければ前も後ろもわからない。しかし、空を見上げれば、こんなにも星が綺麗なのだ!

様々な懐かしい場所を巡り、思いに浸る1日。僕は再スタートについて考え直すことになる…。

→他の日の四国歩き遍路日記はこちらにまとまっています、合わせてどうぞ。

※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へ高画質のアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。

四国歩き遍路日記22日目の写真アルバムはこちら

寝坊と手紙とおでん雑炊!

四国歩き遍路日記22日目-01

どうも最近は朝が弱い。目覚ましをかけているのだが、その時間に起きても、寒くて布団を出られず二度寝してしまう。うとうとしながら布団でモフモフしていると別の目覚ましが鳴る。

しまった!寝坊した!!と飛び起き、外に出る。澄んだ少し冷たい空気が肺の中染み込んでいく。うむ。目が覚めるわぁ〜。

四国歩き遍路日記22日目-02

おや?今日も雲が少ない。台風によって完全に雨雲は吹っ飛んでいったようだ。ご飯を食べる場所に行くとあねさんが起きていてご飯の準備をしていた。

僕はあねさんに便箋3枚をもらい、親に送る荷物に同封する手紙を書き始める。先生たちが実家に送ったらいいと、芋やみかんなどを箱に詰めてくれたので、それに添える手紙を書こうと思うのだ。

基本的に僕は文字を書くことは好きなのだが、こうして手書きで文字を書くと、パソコンとは違った文章になるのが面白い所。やっぱりペンとキーボードだと使う脳みそが違うのだろうか。

今じゃメールやLINEとかあるから、珍しくなったかもしれないけれど、ペンパルってあったよね。文通友達的なやつ。懐かしいなぁ。旅先から絵葉書出したりするのもあったなぁ。「書く」という文化も残さねば。

ま、僕は文字が上手じゃないから、後々読んだときになんて書いてあるんだ?なんて事が多々あるのだけれど、相手に読めない字を送ってしまってはいけないので、丁寧に書くことにしよう。

四国から埼玉へ。…親に書く手紙というのもなんとなく恥ずかしいものだ。

うーむ。何を書こう。とりあえずいつ再出発をするのだ?と心配しているだろうから、そのことについて昨日の出来事などを踏まえて書くことにしよう。

そうこうしていると先生が起きてきたので、朝ごはんを食べる。今日のご飯はおでん雑炊。消化にいいらしい。美味しい。

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構造改革!パソコンデスクと何かの台!

四国歩き遍路日記22日目-03

さてさて。前にパソコンの引越しをしたという話をしたと思う。それは文字通りパソコンだけを移動させた引越し。デスクトップパソコンをちゃぶ台のようなものに置いて、そこで正座して作業していたわけです。

しかし…。ちょっとだけなら良いのだけれど、正座のまま長時間パソコンするのはちょいキツい。それが雨の日に籠もってブログを書いてわかった感想だった。

という事で、まぁ、プリンターもおけるし、離れにあった机を大移動させようということになった。晴れたからね。ひとつひとつの小屋が離れているから雨には出来なかったのだよ。

だが移動させてからわかった。持ってきた机、パソコンのタワーとディスプレイを並べるにはちっとばかり小さい。ちくしょー。重い思いで運んだのに!パソコン机で囲んだのに!

…韻ふんじゃった、Yo!

最近のパソコンはタワーが無くなった一体型が主流だけれど、ここで使っているのはちょっと前に一般的だったディスプレイとタワーが分離しているタイプなのだ。

そこで横にあった冷蔵庫をちょこっと横にずらしてスペースを作り、冷蔵庫横で使っていた台を利用してタワーを置こうということになった。プラスチック製のキャスター付き台。

うーむ。どうもしっくりこない。タワーの前面が塞がれてしまう。それにプラスチックで軽すぎて安定感がなく、フラフラだ。どうしたものか。そんな事を考えているとササっとあねさんは部屋の奥に引っ込んでいった。

そして持ってきた新しい台。

おお!あねさんがどこからか持ってきた台が机と同じ高さだ!まさにこれのために存在したと思える「何か」の台!

これだ!これで完璧!さすが!「何か」の台!

適材適所という言葉を実感した瞬間だった。

文章で書くとほんの数行ほどの出来事だけれど、実際僕らはこの作業を午前中すべてをかけて行った。巨大な冷蔵をずらしたりしたからね。言い出したのは僕だったのだが、思った以上に大事になってしまった。

しかし、重たい机と「何か」の台を設置したおかげで、これからはかなり快適にパソコンが使えるようになりそうだ。

なんとなく、僕が来たことで人の家を勝手に改変してしまっているような気がして申し訳なさもあるのだが、宝の持ち腐れよりも良かろう。

山の上こそ、パソコンなどのメリットを最大限活用するべきなのだ。うん。これは必要な改変なのだ。そう思うことにしよう。

苦手な鯛の煮付けとあねさんとDoCoMo

四国歩き遍路日記22日目-04

ふう。なかなかの重労働だったので、腹が減った。

今日のお昼はこれ。鯛の煮付け。正直な所、魚が苦手な僕の中で鯛は1番の天敵である。骨が多く、ウロコもある。そして何より魚の中で一番磯臭い気がする。腐っても鯛と言うが、腐ってなくても鯛はご遠慮願いたい所。

…だったのだが。

ここで食べるものは何でも美味い。何でだろ。鯛までも美味しいと感じた。ウロコも骨も全然気にならなかった。あねさんの料理の腕が良いのだろう。調理師免許を持っているし。

ここであねさんの話をちょこっとしよう。

ご飯を食べ終えると、快適になったパソコンで作業する事になった。ちなみに、ここではパソコンに直接ネット回線を引いてはおらず、携帯の電波を使ってインターネットをする。いわゆるテザリングである。

あ、よく言い間違えるけど、「デ」ザリングじゃないよ。tetherが馬などをつなぐ縄の事だから、その動詞系でテザリング。ケータイとパソコンをつなぐんだね。

まー、それでパソコンを使う時はね、あねさんの携帯を使いテザリングをしているのだよ。契約容量は5GB。昨日データ容量が足らなくなって追加で1GBを1000円で購入したが、これから本格的にインターネットをしていくとなると容量が全然足らない。

ケータイに比べてパソコンは基本的にデータ転送量が多くなるからね。パソコンをこの場所に引越して来たわけだし、今までスマホで行っていたものもパソコンで作業するようになると思う。パソコンはスマホに比べて入力に優れているので、作業効率があがるはず。

そこで契約容量を月20GBに増やそうという事になる。5GBと20GB。その金額差はなんと1000円である。途中で足らなくなって1GB購入するぐらいなら、月20GBにしようじゃないかという事だ。

そんな話をしていたが、「わかった!DoCoMoショップ行ってくるけん!」と、あねさん。

待て待て。なぜDoCoMoショップに。ここは山奥。DoCoMoショップに行くにも山を降りねばならない。そんな事をせずとも手元のスマホで変更出来る。

「そんなわけないじゃろー!!」と、あねさん。

いやいや、出来ますよ。と僕。

そんな大事な事がポチポチするだけで出来るなんて信じられないのだそうだ。なので目の前で証明する事にした。

僕は姉さんの携帯を使って説明しながら容量変更の手続きをする。「え?これだけでええの?」とあねさん。

「DoCoMoショップ行かんでええの?」

信用してください。これだけです。

「はー、ホンマに私はスマホを使いこなせてないんやな。色々学んでいかなあかんなー」

自分の行動を信じず、DoCoMoショップの店員さんに全力の信頼を置いている所がちょっと可笑しく思えた。あねさんは面白い。

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アワーズ、OURS、阿波ーズ

四国歩き遍路日記22日目-05

ひと段落を終え、仕事に取り掛かる。今日の主な仕事は配達なのだそうだ。目的地はアワーズ。

アワーズ、アワーズと言葉で聞いていたのだが、僕はてっきりセブンイレブン的発想で”Hours”だと思っていた。時間を大切にするお店!的な。

しかし、見てみるとOURSだった。先生に聞くと、阿波とかけているのだそうだ。

「愛媛は松山、徳島は阿波、香川は讃岐、高知は土佐と、有名都市があるんじゃな」

と。

埼玉で言うと有名都市って、さいたま?浦和?大宮?はたまた与野?

さいたまって、政令指定都市なのに、有名都市かと言われるとそうじゃない気がする。アワーズみたいなお店もないしなぁ〜。たま〜ずなんてお店があったとしても、絶対、多摩か、二子玉川が思い浮かぶよな。…ふたつとも埼玉じゃない。

そう考えると埼玉って本当に地元愛みたいなの薄いな。いや、埼玉は好きだけどさ、埼玉に住んでいる人って結構地方出身者が多いからなぁ。地元密着系のショッピングモールなんて見なくなったな。

そういう所をみても、やっぱり地域差ってあるもんなんだな。埼玉にいる時は考えもしなかった。

車で通る潜水橋!

四国歩き遍路日記22日目-06

OURSの用事を済ませ、次の目的地へ向かう。そこで先生が「今日はせっかくだから違う道を通ってみようか」と提案。

交通の便だけを考えれば、新しく出来た主要道路を通った方が良いけど、その道が出来る前に主要道路だった所もせっかくだから知っておいても良いだろうと。

僕は2日目に潜水橋を歩いて渡った事を思い出した。あの橋を車で渡りたい。

「ほな渡ろうか」という事で車で通ってもらえる事になった。わーい。

四国歩き遍路日記22日目-07

車は一車両しか通れない。ドキドキしながら渡る。

四国歩き遍路日記22日目-08

横を見ると素晴らしすぎる景色!これはいい。たそがれられる。られられ言いにくいけども。黄昏られる。

美しいなぁ…。

が、そうゆっくりもしてられない。なぜなら…

四国歩き遍路日記22日目-09

遠くの方に車が待っているからだ。

四国歩き遍路日記22日目-10

うおお。むっちゃ並んでるじゃないか。心なしか横を通り過ぎ間、全員の顔が険しい顔をしている気がした。

四国歩き遍路日記22日目-11

潜水橋を渡り、土手を上がる時に見えた景色はなんとなく清々しい。やはりここはきれいだな。川の氾濫の為に作られたというけれど、水の中心を歩くのなんてモーセの海割りみたいな感じ。壮観だ。

ぜひ四国に来た時は、ここを通ってみてほしい。

コレコレ事件…

四国歩き遍路日記22日目-12

土手を走りながら横を見るとすごくくっきり山が見える。先生と最初に出逢った日に夜景の見える丘の上から説明してくれたのだが、あれが多分、阿讃山脈だろう。

空と山のバランスが良い感じだね!まるで絵のようだ。

四国歩き遍路日記22日目-13

綺麗だねー。自転車で走っても気持ちよさそうな土地だな。今度は遍路ではない時に、フェリーにチャリ積んで四国一周でもしてみようかな。

…でもあの山を越えるのは大変そうだ。

四国歩き遍路日記22日目-14

さて、そんな事を思いながら、のほほ〜んとしている時に事件は起こった。

先生は昔よく通った道を紹介してあげようと、主要道路から脇道に入るように指示する。

しかし、ここであねさんの天然発動。先生が指示した道に対して、

「コレ?コレ?この道?コレ?」

と何度も聞いてくる。DoCoMoショップへの信頼を少しばかり先生に与えてほしいものである。

先生はその度に何度も辛抱強く道を説明する。さすが先生と言わざるを得ない。日々の修練のおかげである。

しかし、姉さんは続ける。

「コレコレ?コレコレ?コレコレ…」

ぷちん。

「違うだろー!このハゲー!!」

先生の怒り爆発。

先生
先生
何度説明すればわかるんだ!その道だって言ってるだろ!!このハゲ!

一瞬、その場が凍りついたが、このハゲー!という言葉にその場が和む。ありがとう、豊田真由子さん。あなたはとても素晴らしい言葉を生み出してくれた。ありがたやありがたや。

先生が昔通った遍路道

四国歩き遍路日記22日目-15

どこか懐かしい雰囲気のある道。先生は昔はこの道しかなかったんじゃ、懐かしいなぁ〜としみじみ語る。

四国歩き遍路日記22日目-16

僕は20日前に通った遍路道を逆走している事に気がつく。あぁ。なんか懐かしさを覚えたのは、無意識にこの道を覚えていたんだなぁ。もう20日前か。

四国歩き遍路日記22日目-17

初日に通った第一札所の霊山寺の門。そろそろ再開について真剣に考えないとなぁ…と思いつつ人の役に立ってから旅立ちたいと心の中で思った。

先生の実家に行き、お米の精米を頼まれる

四国歩き遍路日記22日目-18

遍路道を抜け、先生のご実家に着く。そこで奥さんから精米行ってきてーと頼まれたので、あねさんを残し、先生と精米をしに出かけた。

四国歩き遍路日記22日目-19

なっとくしま!

最近はお米の袋もどんどん小さい物が出てきていると言う。

30kgのお米袋だと重くて持てない人が沢山増えたからだ。

四国歩き遍路日記22日目-20

そのうち人間が重たいものを全く持たなくなる時代が来るかもしれませんね…。と将来を予測する。昔の人は重いものを持っていたらしいよー。

「そーかもしれんなー」と先生。なんとなく寂しい夕暮れ。

再開の日、再び

四国歩き遍路日記22日目-21

今日のご飯はおでんとナス!これはご飯がススム!!奥さんはおでん食べたばっかりだったなら、教えといてー!と立腹なさっていたけど、美味しいものは美味しい。ご飯を食べ終えた後、奥さんとあねさんにお遍路出発はいつするの?と聞かれた。

前回も再出発について考えたのはこの食卓での事だった。

僕としては45日で周ろうとしていた所、初日にこれはゆっくり歩こうと60日ペースに変更し、そして先生に出会う事で年内までに帰ればいいかと思うようになった。

その話をすると年内に帰るとなるともうすぐに出発しなきゃねと言われる。うーむ。そうなのか。

先生は僕に、

「まだあんたは人生が長いけん、焦らんでいいよ。このお遍路の旅も人生からみたら本当に一瞬の出来事じゃ」

と言った。

確かにそうだ。先生と僕は2倍以上離れている。お遍路で使う日々は僕の人生の何千分の一だろう。

それなら、自分の納得のいくような旅にしたい。時間を決めるのではなく、目標を決めるのだ。

僕は昨日、人の役に立って自信を手に入れるのがこの旅の意味なのではないかと、なんか知らないけど実感のようなものが湧いてきた。

とりあえず、今は僕に出来ることをやって、もがこう。自分に出来るのは自分に出来ることだけ。それ以上でもそれ以下でもない。

僕がやった事が僕に出来る全てになる。

とにかく今思いつく事をやってみよう。それを毎日続けていれば、きっと結果はついてくるはず。

四国歩き遍路日記22日目まとめ

四国歩き遍路日記22日目-22

ご実家を後にし、山を登る。星がとても綺麗だった。このブログで非常に残念なのは山の上で見える星を紹介出来ないことだ。

カメラに映らない。

ここで見える星は埼玉で見る星の数より圧倒的に多くて、近い。手が届きそうだ。そこで僕は考える。

目に届く星の光は何万光年も前のもの。今そこに見える星は、もしかしたら、もうすでにないのかもしれない。

「この世はすべて幻」

ここの小屋に来た人が言った言葉だそうだ。なんとなく理解出来る。今、こうして目の前に見えるものはすぐに消えてしまう。

それなら今、見えるうちだけでも大切にしよう。

そんな事を思う『四国歩き遍路日記22日目』でした。

今日はここでは紹介しなかった写真が沢山ありますので、よろしければアルバムの方を御覧ください。

四国歩き遍路日記22日目の写真アルバムはこちら

→他の日の四国歩き遍路日記はこちら

にゃんこ先生
にゃんこ先生
山に戻る途中で野うさぎがいたにゃ!!
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四国歩き遍路日記22日目-11
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