四国歩き遍路日記24日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
えーっと、前回の記事でちょうど3分の1を終え、今日から中盤戦になります。こうやって書いてみるとだんだん自分の文章の書き方が変わってきた気がします。
文章の書き方というか、修正前に書いていた内容をごっそり壊して、新しく構築して別の角度から日々を綴る日記に変化しているのです。
最近はここのブログで新しい記事を書くことが停滞気味ではありますが、この旅日記が新しい記事を書いている気分で書けるので、楽しいです。
あぁ。まだまだ先は長い気はするけれど、この旅日記終わったら淋しいなぁ…。その時が来たら、また旅に出たくなるかもしれぬ。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記24日目のまえがき
晴れている。ずっと続いて欲しいと思うけれども、今週末から台風らしい。
今日は天気が崩れる前に、こんにゃく芋掘り、先生の手伝い!そしてイノシシの親子発見!
それだけで終わればよかったのだが。
夜には空が澄んでいて、星を見ようと外に出た。まさかあんな事になるなんて。なんだったんだ、一体あれは。ガクガクブルブル震える夜に…。
→他の日の四国歩き遍路日記はこちらにまとまっています、合わせてどうぞ。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へ高画質のアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。
1番海苔と2番海苔
寒さにも慣れてきたのか、今日は布団からサッと出ることが出来た。外の空気はスッキリ冷たく冬特有のアレだ。
乾燥しているから肌とかにはあまり良くないのかもしれないけどさ、僕は意外と冬の空気が好きなんだよね。鼻から息を勢いよく吸い込む。すると頭も廻ってくる。
さて、今日の朝はこれだ。粕汁とご飯と卵焼きと残り物。それだけじゃ味気なかろうと、そそっと姉さんがビニール袋にいっぱい入った韓国海苔を持ってくる。
これね。昨日、この韓国海苔がラムーで売っていたのを発見した。あのスーパーは大容量なのに値段がそれなりに安いというものがたくさんある。
僕は韓国海苔の袋を開け、ご飯の上に乗っけた。すると、
「海苔には1番海苔と2番海苔があるのを知っているか?」と、先生が聞いてきた。
ん?1番2番?知りませぬ。
「海苔は網から最初に採れたのが1番海苔。これは口に入れた時にトロッと溶けるが、非常に高価。そして、1番海苔を採った後に置いておくとまた網からニョキニョキっと髪の毛のように生えてくる。それを採ったのが2番海苔。この海苔は硬く非常に安い。だからこういう安い海苔は2番海苔を使う」
で、出たー!先生ペディア!
食卓に海苔が出ただけでこんな知識を聞けるとは。僕がその知識に感嘆していると、先生は自分で「ワシはスマホやな」と言っていた。
もうそりゃー超高機能スマホですよ。iPhoneは検索した事を教えてくれるけれども、SenseiPhone、略してSeiPhone(セイフォン)は検索せずも知識が得られる。
1番海苔は主に高級寿司屋さんとかで使われているんだってさ。そして安いお寿司屋さんでは2番海苔。海苔巻き食べた時に、なかなか噛み切れない時とかあるでしょ?それは2番海苔なのだ!
全然意識した事なかったけど、今度お皿が回るお寿司屋さんに行った時にでも確認してみよう。
こんにゃく芋を掘る
今日はこんにゃく芋を掘るのだそうだ。すごいよね。自分の山にこんにゃく埋まっているんだぜ。
一体どこにこんにゃくが?…っていうか、僕はこんにゃく芋という物をそもそも見たことがない気がする。あのぷにぷにしたこんにゃくの素であるこんにゃく芋とはどんなものなのか。
芋っ子装備をしたあねさんはサササッと山を進む。僕は手伝うためについていく。
空は気持ち良く晴れている。鳥も飛ぶ飛ぶ。本当に自然に囲まれて生活しているって気がするなぁ。
↑これ、何かの間違いで上下逆さまの写真になっちゃったんだけど、湖に空が写っている気がしないかね。スマホでこのブログを読んでいるあなた。上下を逆さまにしてみよう(パソコンの場合は股の間から覗いてみよう)。
それがこの写真の本当の姿だ!
なにこれ?さきっちょ?
「野口くん、とりあえずこれ持って」
と、言われてあねさんから渡されたもの。
うーむ…。一体これがなんの道具なのか全くわからん。シャベルの先っちょが取れちまったものではないらしい。
大きさ的には人のお尻がしっかり隠れるぐらいだ。これに座って坂道を滑ったらさぞかし楽しいだろう。
あねさんはどんどん進んでいく。僕には全くどれがこんにゃくなのかわからない。ここは前にお孫さんと散歩した場所なのだが、ここのどこにこんにゃくが?完全にただの野原である。
目線をちょこっと上にあげるとあねさんは「これがこんにゃく芋」と指さした。さて、どれだかわかるかな?
フフフ。
…僕は全然わかりませんでした!!何の成果も!!得られませんでした!!
ウォーリーをさがせ!
こんな感じのヘビみたいなやつの根元が目印なのだそうだ。
ん?
まだ遠くてわからんって?
これならどうじゃ!!
よく見るとさっきの写真の中にちらほらこの模様見えるでしょ?
…見えるのね。
しかし見えるのはこんにゃく「芋」ではなく、「茎」だ。
こんな単なる野原にしか見えなかった場所にこんにゃく「芋」が埋まっているとはまだ信じられぬ。芋っていうんだから、畑みたいな所に並んで植えてあるもんだと思っていたのだよ。
それなら掘ってみよう。軍手をはめたあねさんが手で茎が生えている所の土を掘っていくのだが…。
当然ながら、何も耕したりしているわけではない土は固いのなんのって。
多少の力ではびくともしない土に、あねさんは持っていたカマの柄の部分を使って掘り始めた。
ん?さっきのオレンジ色のシャベルみたいなのは使わんの?
僕はあねさんが掘っている横でオレンジ色のさっきちょを胸に抱えてそれを眺めているだけであった。
インスタよりもツイッター
ゴッソゴッソとカマの柄を使って掘っていたあねさんは、突然何かを思い出したように作業を止め、スマホを取り出した。最近始めたツイッター用に写真を撮っているのだ。
そうそう。こういうシーンがいかにも自然界に住んでます!って感じするもんね。
パソコンとかスマホとか機械に不慣れだった人にとって、こういう何気ない瞬間を写真に撮るという習慣はとっても大事だ。触る回数を増やさなきゃね。
インスタ?
なにそれ、美味しいの?
良いのです。ブログとの連動ならツイッターの方が便利なのだよ。インスタの事をまた説明すると処理能力を超えそうだからね。ブログだけでも手一杯な状態な感じだし、一歩ずつ一歩ずつ。
それにあねさんは、
「文章書くのが苦手な私でもツイッターなら出来そうやわー。一言でええんやろ?」
と言っていた。
適材適所。向き不向き。やっぱりブログってのは、今までパソコンとかスマホに触れてこなかった人にとって、ちょっとだけ敷居が高いのだなぁ…。
日本ひきこもり協会
ちょっと話が脱線してしまうが、あねさんがこんにゃく芋を掘り出すのを待つ間に、この間先生と話をした内容をここに書こう。
僕は、いずれ、日本ひきこもり協会を作りたいのです!
なんて事を先生に言ったら、それは良いことだって言われたからちょっと考えてみているのだ。
NHKへようこそ!って作品があったけども、あの中であった日本ひきこもり協会とは違うもの。あの作品では人をひきこもりに陥れる謎の巨大組織として存在していたけれどもね。
ひきこもり。現在、その言葉はどう考えても社会的にマイナスな意味で使われる。それがいずれはポジティブな意味で使われるようになってほしい。ひきこもりと呼ばれることが誇らしくなる事を願う協会。
そんなものを作りたい
明日から本気出す。そんな明日は…
僕はまぁ、言ってみれば社会に属して働くことが出来ない。何かのグループに属して誰かと一緒に作業していると幻聴が激しすぎて発狂してしまうのだ。色々な場所で働いてみてそれがわかった。
どうにも「今の僕」にはちょっと外で働くのは難しいらしい。もちろん、将来的にはどうかはわからないので頑張りたい所ではあるのだが。
しかし、それは将来の話であって、人間は現在を生きる為にお金が必要になる。
ひきこもりがなんで肩身が狭いのかと言えば、単なるうんこ製造機(食事中に失礼!)になってしまいがちだからだ。
ご飯を食べ、部屋にこもり、時間を過ごし、クソして寝る。それだけしか出来ない。浪費しか出来ず、生み出すものは廃棄物だけ。
なんとかしなければ。なんとかしなければ…なんとかしなければ!!
その思いは誰もが持っていると思う。明日から本気出す。でもその明日がやってこない。
何をしたらいいかわからないのだ。本気を出したくても、そのフィールドがなければ本気になれない。そもそも外に出られないという縛りはなかなかに強烈な劣勢的状況だ。
これが三国志なら、諸葛亮でさえ頭を抱える案件だ。
しかも外に出られないという事自体が理解されないことが多い。
外に出て働けよ
きっとそれは正論なんだと思う。でも正論が必ずしも正解ではない時、場合、人たちがいることも、この歳になってわかってきたことである。正しくなくてもみんなと違ってもいいじゃないか。
「外に出て働けないといか言っているやつは甘いんだよ」
何度も言われた事のある言葉。それに対しては、もう本当になんかすいません。甘いとは思うのですが何度もチャレンジした結果、別の方法の方が「今は」いいのでは?と思い至ったのです。
と、そんな感じで僕みたいに悩む人達への選択肢として、ネットで稼ぐってひとつの道だと思うのだ。
もし、ひきこもりの人がお金を稼げるようになれば、時間の浪費、お金の浪費しか出来ない自分への情けなさがちょっとは軽くなるのではないか。
ひきこもりを家族に持つ人達の悩みも少しは軽くなるのでは?
ひきこもる=仕事をしている。という構図が出来てしまえば、ひきこもる事が誇らしくなるでしょう!ひきこもり、ひきこもり。みんな先生の所に相談しに来る人達はどうやったら部屋から引っ張り出せるかを聞きに来る。
そこで逆転の発想。引っ張り出すのではなく、逆に缶詰状態にしてしまって、ガッツリお金が稼げるようになったら、そのお金を使うために外に出るでしょう!
ブログで稼ぐ方法って良いと思うんですよ。僕もこうやって旅が出来ているのって、ブログがあるからですし。
ひきこもりって時間がたくさん使える事がメリットなんで、人が調べたいと思っている事とかを時間かけて調べてあげて、記事にするのも充分、社会貢献じゃないっすか!?
…と、そんな思いを先生に話しまして
たとえば先生の所に相談しに行きたいと思っているけれど、行くことが出来ない状況にいる人が僕のブログの中にある先生の言葉や、先生のブログの言葉で悩み事が軽くなったりしたとして、それは言ってみればカウンセラーの人たちの代わりという事が言えないだろうか。
カウンセラーの人がお金をもらうのは人の悩みを軽くするから。それなら人の悩みが軽くなったりするブログが収益をあげてもいいのでは?
悩み解消というと大きな話になっちゃうかもしれないけど、アドバイスをするってのも社会貢献になるのではなかろうか。人が検索するのは何かを知りたいからで、どれを買おうか迷っていたら、その商品についての使い心地などを書いたブログはその人にアドバイスが出来る。
リアルの世界の電気屋さんの店員などと同じことをブログで行えるなら、そこでお金をもらってもいいのではなかろうか。だからひきこもりの諸君、ブログ収入もひとつの道として考えてみないかね?
ブログ運営も仕事のひとつになるのだ。
…という話ではあるのだが、やはり頭の中のアイディアは形にしてみなければわからない事もある。
文章書くだけで誰でもお金稼げますよ、なんて思ってたけれど、もうそこに壁があった。
文章書くだけ。
これが存外に難しいのだな。
うーむ。どうしたもんかのう…。
芋ほれワンワン
さて、ぐだぐだと長い講釈をたれているうちにあねさんはツイッターに写真とちょっとの文章を投稿し、こんにゃく芋を掘り出していた。
こんにゃく芋だー!!
まじで野原みたいなナンテことない場所にこんにゃく芋埋まっていたよ!
こんな感じ!
結構茎自体は柔らかくて、途中で抜けてしまう時もあるからそれは土の中から探して堀り出さねばならぬ。
こんにゃく芋の茎からネバー!っとした泡が出てくる。これがこんにゃくのアクになるのかな。植物って不思議!!
僕もこんにゃく芋掘りを手伝う。なかなか楽しい。しかし、僕が掘り終えた場所でもあねさんはさらに見つけて芋を掘る。
昨日、クッキー!クッキー!と、言っていた人と同じとは思えないぐらいの芋掘り名人。
ちなみに、オレンジ色のさきっちょの使い方はこうであった。なるほど、確かに座りながらどんどんこんにゃく芋を掘っていくと、この形で引きずりながら作業した方が運びやすい。
流石だぜ、オレンジ色のさきっちょ!
ムカゴやー!!
あねさんが急に叫ぶ。何事かと思ってみると木に蔓が巻きついてそこにポツポツジャガイモの小さいようなものがついている。
これ食べてみ?あねさんは一粒採って渡してくれた。
食べてみる。シャコシャコ。ネバー。ほほう。梨みたいな噛み応え。味は山芋みたいな。ネバーっと少しだけする。
これは面白い。
むかごは“珠芽”と書くのだそうだ。植物の栄養繁殖器官のひとつと、スマホで調べると書いてあった。
なんか特定の植物の事を指すわけではなく、色々な植物に出来るのだそうだけれど、食材にされるむかごは一般にはヤマノイモ・ナガイモなど山芋類なんだってさ。
だからか。僕が食べたのはきっと山芋のむかごなんだな。
よく見るとそこら中にむかごがある。
あねさんはむかごを根こそぎ採ってきた。むかごをご飯と一緒に炊き込むのだそうだけれど、美味しそうだよね。
こんにゃく芋の収穫はこれだ!
今日のこんにゃく芋掘り終了。これだけ採れた。「いずれこんにゃく作る所見せてあげるわ〜」と言ってた。楽しみだ。
掘った芋を乾かす。こうした方が保存が効くんだって。土の中にいたものが土の外に出たら乾かした方が長持ちするってのはなんだか不思議なものだな。
これにて今日のこんにゃく芋掘りのお仕事完了。いい経験をした。普通に生活していたら、こんにゃく芋掘りをせずに一生を終えていたもんな。
白滝輪ゴム戦争勃発
今日のお昼は昨日食べた鍋の残りを使ったうどんです。
アツアツの鍋を食卓に並べようとした所、なべ敷きに一筋の紐のようなものが。
「あったかい鍋置くけん、その白滝どけて」
と先生。
事件はその一言から始まった。
と、紐を拾い上げ、にょいーんと伸ばす。
「ほんまじゃー、こりゃ輪ゴムじゃ」と、先生。
これで一件落着だ、と思ったがそこからあねさんの反撃が始まる。
あらら。物事が一回り大きくなってしまった。これは戦争に発展するぞ。
先生も負けじと反論。
うおーー。たった一本の輪ゴムが引き金になってるー。
ここで、僕は、
と偉そうにも口を挟んでみる。
しかし、あねさんの猛攻は止まらない。
うーむ。世界の構図がこんな所にもチラリと見える。人間関係とは難しいものだ。
午後は先生の手伝い
まぁ、こんなやりとりは日常茶飯事のようで、何事もなかったかのように普通の関係性に戻る。
僕ならば、もうそこの土地にはいられないなと、逃げ出すだろう。1度の喧嘩で関係性が崩れる。そういうもんだと思っていた。
あぁ。こういう関係性いいな。僕ももう少し人間を信用してみてもいいのかもしれない。
とりあえず僕は、先生の所のブログ作成の方が一旦区切りがついたので先生の仕事を手伝う。
あねさんがその時の姿を写真に撮ってくれていた様子。こんな感じでポカポカする場所で仕事を手伝ったよ。作務衣が似合うようになってきたかな。
鳥も飛んでくる。ちょうどど真ん中に撮ったんだけど、写真じゃ小さくてわからないか(笑)
いずれ、あの鳥もちゃんと写真に撮ってみせよう。
スズメバチも飛ぶし、虫もブンブン飛んでくる。まだビックリしてバッと動いてしまうけど、先生は全く動じない。
虫にはガッと動くのが逆に危ない。相手を知れば怖くない。先生はそれを何度も唱えるように僕に教える。
僕は先生の真似をする。先生は一年中裸足だ。その方が健康に良いのだそうだ。
この寒空の下、僕も貸していただいたサンダルを裸足で履き、心の鍛錬を行う。
寒くなんてないんだからね!!
また日が沈む
今日は木曜日。あねさんが1週間に1度の実家に帰って手伝いをする日だ。先生と僕は軽トラに乗り、お風呂とご飯を食べに山を降りる。
毎日山を降りて登ってたくさんの動物に逢う。今日は山を降りている途中タヌキに出会った。写真撮れなかったけど、しっぽがポコポコ可愛く逃げて行った。
吉野川沿いをずっと走る。夕陽が沈み、哀愁漂う。今日も1日終わりだなぁ〜と感じる。毎日が充実していて時間が過ぎるのが早い早い。光陰矢の如しだなぁ。
吉野川温泉400円!体重計に乗ったら…
ここに来るのは3度目か。吉野川温泉。最初は「ロイヤルゾーンってなんやねん。なんで追加料金払わなきゃサウナ入れないんじゃ」とブーブー言っていたけど、色々お風呂屋に入ってきて、400円でこれは安いとわかった。
ジェットバスがすごいんだよね。
先生もお孫さんと来る時はここのお風呂が定番なのだそうだ。
お風呂屋上がりに体重計に乗ったら7.5キロ増えてた…。もうヤバい。体重がヤバい。お遍路再開したら落ちるのか?本当に。
餃子の王将で注文したもの
今日の夕飯は餃子の王将だ。実家にいる時もあまり入った事がなく、なんか新鮮。
餃子の王将はチェーン店なのに店長がある程度経営を自由にする事が出来るのだそうで、ここは繁盛していた。
昔、違う店長の時、値段を上げ、料理の量を減らして経営を回した事があったそうだが、一気にお客が減ったらしい。民衆は正直だ。
食べたものは天津飯440円と餃子220円。天津飯とチャオズ。なんか数日前にここのブログでネタにしたような気が…。
それとラーメンを先生とはんぶんこした。…また太ってしまう(笑)
お腹いっぱい。ごちそうさまでした。
イノシシの親子だー!!!
夕食でお腹を満たした後、山へ帰る。毎日登る山だが、毎日出会う動物が違っていて面白い。
山の上は空気が澄んでいてとにかく綺麗だ。
見下ろす街並みもこんなに綺麗に見える。写真でうまく撮れないのが残念。やっぱり旅にはスマホよりもちょっといいカメラを持っていく方がいいかもしれない。
それにしても毎回アベックを見かけるのも納得だ。ここはロマンティックな気持ちになるね。ロマンティックあげるよって感じだよね。またもドラゴンボールネタで失礼。
さらに山を登ると何やらトコトコ2匹の小さな生き物が歩いている。
イノシシじゃー!!イノシシの親子じゃー!!
車のエンジンを止め、そろそろ逃げて行った方向に手持ちライトを当てるとフゴフゴいいながら親イノシシとともに山の中に消えて行くのが聞こえた。
これほどはっきりと写真に収めたのははじめてじゃ。なんだかいい気分。
帰り道は毎日が楽しい。
四国歩き遍路日記24日目のまとめ
山の上の小屋に戻ると、机には本が置いてあった。最近あねさんが読んでいる本だそうだ。僕はそれを手に取り、ペラペラとめくって時間を過ごす。
すると、先生は大きく四角い鍋を持ってきた。大きさはおそらく1m50cmぐらいある長方形の鍋だ。それも人からいただいたものなのだそうだ。毎度同じことを言っている気がするが、本当に先生の人徳はすごいな。僕には全く無いものだ。
ちなみにその鍋は、おでんの鍋なのだそうだが、もうお腹はパンパンだ。これ以上は食えぬ。
そんな事思っていると、先生は数日かけてコトコト作っていた桃ジャムの瓶詰めを並べ始める。
あー。煮沸するのか!食い意地が張った考えをしてしまった。おでんじゃないよね。そーだよね。あはは。
桃ジャムの煮沸が終わるまで、先生と2人、子供が死んでしまった時の苦しさや若い時の行動、先生がやってきたアルバイトについて話した。
今は少しずつ、子供の死について受け止められるようになってきた。色々あったが少しずつ。
うん。
そして先生のやってきたバイトの話が面白く、笑っていると、突然やってきた腹痛。
今日はこの辺で寝るかと切り上げる。
僕はお休みなさいと先生に挨拶し、トイレにこもる。あーすっきり。今の僕も言ってみればうんこ製造機ではあるが、充実している。これは旅に出たから得られた充実感。
僕はシミジミと電気のない暗闇の中、空を見上げる。本当に星が綺麗だ。
恐怖の足音
しかし、トイレのある場所は少々木が多く、星を見るには視野が狭い。もっと何にも邪魔されずに満天の星空を僕は見たい気分だった。こんなに星が多く、近いのだもの。
そんな時に、こんにゃく芋掘りの時に見つけた小屋の事を思い出す。山の上には先生がここに来て生活する人の為に建てた小屋があちこちにある。
共同作業を行いながら社会復帰を目指すための治療ではあるが、そういう人たちもやはりプライベートが必要だろうと、先生が何十年もかけて少しずつ家を建てているのだ。
もうね、魔法使いの域だよね。
あの場所なら木もなく空が見渡せるかもしれない。少々距離はあるが綺麗な星を見上げるためだ。少し歩いてみよう。
僕はiPhoneでライトを照らし、森の中へ進んでいく。
その時、ザッザッザッと何かの足音が聞こえた。
…カサカサ、カサカサ。
ザッザッザッ!!!
ザッザッザッザッザッザッ!!
ヤバい!!コッチにやってくる。なんだ!?ドロボウか!?動物か!?
ダッダッダッダ!!!!
コッチに走ってくる!
僕は踵を返し、ダッシュで逃げた。そうだ。星なんてなかったんだ。そういう事にしよう!
僕は母屋に戻り、ナンマンダブナンマンダブ、コッチへやってきませんようにと布団の中でギュッと目を瞑って唱える。
そうこうしているうちにスピーっと、眠った僕なのでした。
結論。山はまだ1人では怖い。
そんな『四国歩き遍路日記24日目』の1日。