四国歩き遍路日記27日目。この旅の記録は以前旅をしながら公開していた日記を諸事情によりお蔵入りしまったものを再編集して公開したものです。
再編集するにあたって、前に書いたものを読み返しているのですが、自分でもよくわからないぐらいこの頃の僕は落ち込んでいます。そして落ち込む事にこれといった特定の理由が見当たらないのです。
心と身体はつながっている。それはよく言われる事ですが、心が弱くなったから体が弱るのか、体が弱っているから心が弱ったのか、どちらが先かわかりませんが、今回の僕は腹痛でダウンしました。
そんな腹痛の時に書いたものなので、読んでいて、「コイツ何言ってるんだ?」と思われる部分が多いかと思います。
その部分を消して公開しようかと思いましたが、そうなるとほとんど寝ているだけの一日になりますので、消さずに残しておくことにしました。共感できない文章が多いと思いますが、そんな一日もあるよねーと、温かい気持ちでどうぞお付き合いくださいませ。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記27日目のまえがき
ついにバチが当たりました。
ここに来て、暴食の日々。体重は7.5キロ増えるという暴挙。このまま行くと確実に体調を崩しかねないと思ってはいましたが、食べ物が美味しく止まらない。
そんな毎日を送っていたら…
→他の日の四国歩き遍路日記はこちらにまとまっています、合わせてどうぞ。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へ高画質のアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。
雨風の音で目が醒める…
雨戸を閉めて寝ていましたが、ものすごい音。最近は音楽を聴きながら眠るのですが、それでもなお聞こえてくる雨風。昨日に引き続き天候は悪いようです。
外に出ると霧がかっていて、遠くの山はほぼ見えない。映画『ミスト』という作品がありますが、まさにあんな感じのイヤーな霧が山全体を覆っています。
「これは仕事が出来んなぁ〜」と、先生がおっしゃるので、今日は山にこもってブログを進める予定です。
…腹が痛い。
トイレにでっかい蜘蛛出現!
僕は腹の痛みに耐えかね、トイレに駆け込んだ。そしてズボンをおろそうとした瞬間の事である。
ガサガサ…
うおーーー!!!デカい!デカすぎる蜘蛛(小学生の握りこぶしぐらいはありそうな大きさ)だ!
これはなんだ!大丈夫なのか!刺されたりしないのか!?
…なんて思うのが通常時の僕。しかし、その時の僕は違っていた。
そう。腹が痛い。僕のお腹は限界に達していました。
蜘蛛への恐怖よりも、腹痛の方が強いのだ。腹痛さん、マジパネェっす。恐怖なんてものは、体に余裕があるからこそ感じられるものなのだなぁ。痛みは恐怖に勝る。
ジャー。
用を済ませた後、その蜘蛛を見ると、静かに地を這っていた。
怖っ!!良かったな、刺されなくて!!
腹痛が去った後の僕の心に、思い出したかのようにデカ蜘蛛への恐怖心が襲いかかる。よくもまぁ、こんなデカイ蜘蛛と密室に二人でいられたものだ。僕は急いでトイレを後にした。
まぁ、刺すのかどうかすらわからんけども。蜘蛛は噛む?刺す?溶かす?一体どれなんだろ。
でもまぁ、朝見る蜘蛛は縁起が良いなんて教えられてきたし、良しとしよう。あれよな。朝蜘蛛は福を連れてくるとか言うよね。待ち人来る的な。夜の蜘蛛は盗人を連れてきちゃうから駄目だけど、朝は良い。
これ、気になって調べてみたらさ、陰陽論に基づくものなんだってさ。バランスが重要とされる陰陽。朝は陽。蜘蛛は陰。陽と陰が両方あるからバランスが良い。夜の蜘蛛は陰陰になってしまうから、偏りが生じる。
なんかこの話から、先生がいっつも言っている表と裏の話に通じるものがある気がしてきた。どんなものでも裏と表がある。両方を知っている事が大事的な。表だけ見ても駄目。裏だけ見ても駄目。
なるほどなぁ〜。日常の中で、先生の話の意味を理解出来るなんて、トイレの蜘蛛には感謝せねばならないな。
本日の朝ごはんは、ちくわと沢庵と卵料理
トイレから戻った僕の目の前にはすでにご飯が用意されていた。
しかし。ここに来てからの僕は毎日3杯ほど食べるのだけれど、どうもお腹の調子がよろしくない。お茶碗に1杯だけ食べてごちそうさまをした。
1杯だけってそれが普通なんだけども。もうこの感覚がズレてきてるよなぁ…。
ご飯を食べた後に、先生のブログの記事を考えていると、何やらお腹が変な事に気がつく。
お腹の下のところが張っている気がする。トイレに行くとずっとくだしている。
何度もお腹が痛くなり、トイレに駆け込む。
なんだこれ。
これはヤバいと思い…
さすがにおかしい。お腹が痛くなりトイレに行く。すると水だけが出る。これの繰り返しで何回トイレに行っただろう。
ブログの記事を1つ書き終えた所で限界がおとずれる。僕はあねさんにちょっと横になりますと告げ、母屋に戻る。
ううう。とお腹を抱えながら横になる。いてえ。。。朝蜘蛛は縁起が良いんじゃなかったのかよぉ…。
何の罪もない、朝の蜘蛛を思い出し、僕はシクシクと恨みつらみを唱えていた。もしかしたら、昨日の焼き肉が旨すぎたのかもしれない。食べ慣れていない物を食べるとお腹がびっくりしてしまうなんて事もよく聞くし。
あーぁ。ついにバチがあたったんだ。暴食の罪だな。七つの大罪のひとつだからな。ううう。僕は自分のここ最近の食生活を思い返し、情けない気分になっていた。
すると、先生が薬を持ってきてくださる。あぁ。人の優しさの沁みることよ。その薬を飲み込み、温かいお布団で眠る。すやー。
目が醒めるとなにやら…
お昼過ぎに眠ったはずだが、目が覚めると外は暗くなっていた。
雨も上がり、光が差している。これは何かの啓示か。お腹の痛みはすっかりおさまる。不思議なものだ。あれだけ痛かったものが全くどこかへ消えてしまった。
はて。痛みというものはどこからやってきて、どこへ消えていくのだろう。何のために体は痛みを感じるのだろう。
僕は布団に戻り、考える。きっとこれは日々の生活を反省しなければならないぞ、と体が救難信号を出しているのかもしれない。人間って痛い思いしないと反省しないもんな。
どれだけ危険だとしても、自分は大丈夫だろ、って考えちゃうもんな。そう考えると「痛み」は誰にでもあるものだし、お前は特別なんかじゃないんだ。気をつけて生活しなきゃいけないんだって教えてくれるのが「痛み」なのかもしれない。
でもそうなると、痛いの痛いの飛んでけ〜っていうおまじないは、痛みなんていらないよー、君は特別なのだからっていう一種の願いなのか?しかし、飛んでいった痛みは一体どこへ消えていくのだ?
…ん?なんか考えがループしているな。
ほぼ半日寝てしまった。
おかゆと鳴門金時とパン
体の調子もだいぶ良くなってきたので、僕はムクリと起き上がり先生たちが仕事をする部屋に顔を出した。
すると「大丈夫か?」と心配してくださり、先生はあねさんにおかゆを作ってあげろと指示をする。
梅のおかゆ。僕はゆっくりとそれを食べ、お腹の調子を探る。
うむ。大丈夫だ。張っている感じが無くなった。
そして横を見る。
…しかし、ダメだ。今はダメだ。我慢我慢。美味そう。我慢。美味そう。我慢…。
人間は喉元過ぎれば熱さを忘れる生き物だ。あれだけお腹が痛かったのに、お腹の痛みがなくなると、またもや暴食しようとしてしまうのだから。
今日も専務がやってくる
僕が鳴門金時の料理と押し問答をしていると電話がかかってくる。「目からウロコが落ちたようで興奮して眠れなかった」と、専務の声。
専務は今日も会いたいとの事。雨がやんだので、山の上まで来るらしい。僕の話にそんな価値を見出してくれるとは。
1時間後フラフラになった専務と昨日と同じ服装の社員さんがやって来た。昨日の焼肉屋の後に、会社に戻り、専務と社員くんは二人で僕の話したアイディアについて語り合ったそうだ。
そんな感じで夜更かしをしたのもあり、小屋にたどり着くまでだいぶ迷子になってしまったのもあり、ここに着いた頃の専務の顔は真っ青だった。
「ちょっと横になるぞ」と、専務はなんて事ないただの床にバタンキュー。布団で眠った方がいいのでは?という声にも、「ここで大丈夫」と眠った。
専務が眠ってしまっては、話も進まず、することもないので、僕と社員くんは2人で天然の鮎を食べた。
「結局、食うんかい!」
という声がどこかから聴こえて来そうだが、やはり、この土地の魚は美味い。魚嫌いの僕が言うのだから間違いない。嫌いな魚でさえも美味しいと感じてしまうわけだから、暴食になるのも仕方がないではないか。
全くもって、僕は腹痛にこりてないようである。
…しかし、揚げ物はちょっと辞めておいた。
社員くんのご飯の横で
昨日も書いたが社員くんは若く見える。実年齢を聞くと44歳なのだそうだ。全くそんな歳に見えない童顔だ。僕は完全に年下だと思っていたし、そういうつもりで偉そうに語っていた。
それなのに10歳以上も年上なのか。この見た目は反則だろう…。
彼がご飯を食べていると、先生が「ここにやってくる人はみんな大飯食らいだ。君も食べなさい」と言う。
ここのご飯はとにかく美味しい。社員くんもモグモグ食べ続ける。
あ。茶碗が小さい。
「沢山食べたかね?」と先生。「はい!2杯食べました!」と社員くん。
「君は標準の胃袋なんだね」と先生。
あねさんが気を使って茶碗のサイズを小さくしていたのを見抜いていたようだ。
僕はその横でちんまりとしたおにぎりをかじる。あぁ。お腹がビックリしないようにせねば。こんなに大量のご馳走が眼の前にあるというのに、魚とおにぎりだけとは。お坊さまのようだ。
ポクポク。
専務と社員くんに熱く語る
チーン。
駄目だ。一度食べ始めると止まらないものだ。おにぎりで辞めておけばいいのに、お腹が減って来てしまった。
温かい飲み物ならば、さぞお腹にも優しいであろうと、僕はあねさんにお味噌汁をもらいそれをすする。そうしていると専務がムクリと起き上がった。
専務が復活したので、社員くんと専務の話を聞く。そしてこれからどうやって行きたいのかを聞き、「あくまでも僕の方法は、会社向けではなく、社会で働けない引きこもりの為に考え出したものなので」と、釘を打ってから話を進めた。
ペラペラペラペラ。
本当によくしゃべる口だ。話をしながら、もうひとりの僕が自分を蔑む。
そーいえば、だいぶ昔に僕が書いたビジネス書6冊がネット上に保存していたのを思い出したので、それを社員くんのケータイに入れて読めるようにした。それを読めば大方のイメージはつかめるだろう。
昔に書いたものが役に立つ事があるとは。何事もとっておくものだね。いつ必要になるかわからん。それに今した話はきっとすぐに忘れてしまうだろうから、本という媒体はありがたい。
当然ながら、僕は四国遍路中なので、そんな本は手元に持ってきていない。が、電子書籍ならネット上に保存しておけばいつでも取り出せる。なんて素晴らしい時代だろう。
それでも半分以上のデータはHDDの故障により失ってしまったのだけれど。今みたいにクラウドが一般的であったらそんな事なかっただろうに。本当に今は便利な世の中になったものだ。そしてそこに至るまでの黎明期を体験した身としては、もう少しだけ早くこの時代が来ていたら…なんて考える。
とりあえず、僕は机においてあったひとつのペンを持ち上げて社員くんに質問をした。
「10分以内にこのペンを僕に売れますか?」
夜空を見上げて、一句詠む
専務たちは3時間ほど滞在したのち山を降りていった。
僕が出した問題に必死になって答えようとしていた社員くん。ペンの良さなどを事細かに語っていたけれど、やはりそのペンを僕は買いたいと思わなかった。だって、その場にあったただのペンだもの。
10分経ったのち、僕が用意していた模範解答を披露すると、まさに目からウロコが落ちていたようだった。売り込むのはペンではない。メリットであり、未来だ。そして必要性だ。
…なーんてね。
あぁ。またもや偉そうに語ってしまった。間違えてはいけない。僕はただ知っているだけなんだ。知っているか知らないか。ただそれだけの違いなんだ。僕が偉くなったわけではない。勘違いするな。あぁ。あぁああああ。
ついさっきまでの自分の言動や行動に対する後悔の念が襲ってきていた。僕の中にはいくつもの声がする。
なんで僕はいっつもこうなんだ。目立ってはいけない。偉そうにしてはいけない。人に迷惑がかかってしまう。駄目だ駄目だ。油断しているとまたヘマをするぞ。調子に乗るな。期待をするな。
そんな感じでぐるぐると回る頭でそわそわしていると、
「空の雲がきれいに晴れてお月様がよく見えるけん、二階登って見てきたらええ」と、先生がおっしゃった。
僕は気持ちを切り替えカメラを持ち、二階に登る。
おおお。。。
星がすごい。
星の数が本当に多い。これ、写真に撮れないのが惜しい。
僕は空を見上げて、先ほどのぐるぐるとは違う種類の感傷的な気持ちに浸った。そして静寂の中に響く爆発音。
そんな句が頭に浮かんだ。屁が臭い。臭すぎて笑えてくる。
僕のおならは宇宙だ。全ての悩みがどうでもいい気がした。おならが出たという事はお腹の調子が戻って来たという事だ。精神的にも身体的にも健康的だ。
おなら1つで笑えるのは幸せだなと思った。
部屋に戻りモバイルプリンタを購入する
EPSON A4モバイルインクジェットプリンター PX-S05B ブラック 無線 スマートフォンプリント Wi-Fi Direct
おならの匂いも消え、肌寒く感じてきたので僕は部屋に戻った。
そこで、今日話した内容やこれからの事を話す。
僕はふとTポイントの有効期限が迫っている事に気がついた。ここに来て1ヶ月。ネットで買い物をしていなかったが、遍路の準備に買った商品のTポイントが相当貯まっていた。
ここのお店にも産業革命を起こそう。
あねさんにそう提案する。僕のTポイントはここの家賃代わりに使ってもらいたい。
配送先を印刷出来るようになれば、車でどこからでもすぐに郵便を出せるようになる。ネットで注文があってメールが届いたら、その場で印刷し、それを商品に貼って宅配に出す。これで即日配送が可能になる。
今までは、一日の終わりにパソコンの前に座り、その日にあった注文のラベルを印刷。それを商品に貼り、次の日に宅急便に依頼するという形だった。
つまりは家にあった事務所を車の中に作ってしまうのだ。移動する事務所。ノマドワーカーってやつですな。まさに遊牧民(nomad)!
そして、あねさんと話し合いエプソンのPX-S05Bと言うモバイルプリンタを注文した。
徐々にお店が変革し始めている。
四国歩き遍路日記27日目まとめ
今日はお腹の痛みに苦しんだ1日だったけども、そのおかげでぐっすり眠れたし、なんとなくスッキリした気がする。
何回トイレに行っただろう。アレだけ下したのも久しぶりだった。
しかし、あんなにトイレに行ったのに、痔が悪化していない。
うんうん。僕のお尻も強くなっているのだな。
そんな事を思う『四国歩き遍路日記27日目』。