四国歩き遍路日記36日目。この旅の記録は以前、統合失調症の僕が歩きお遍路の旅をしながらその場で公開していた日記ですが、諸事情により公開を辞めてしまったものを再編集したものです。
以前公開していた記事のストックもあと僅か。後半に行けば行くほどその内容がガラリと変わっている気もしますが、改めて昔自分が書いた文章を読んでみると、あー、確かにこれは書いちゃダメだったかもなぁ…なんて思う部分があるのです。
そんなこんなで今回の記事も以前の記事に比べて写真がごっそり減っている部分がありますが、なぜかそれでも以前のものより記事が長い!
昔の自分と今の自分の混じった四国歩き遍路日記36日目。どうぞお楽しみくださいませ。
四国歩き遍路日記36日目のまえがき
四国歩き遍路日記36日目。こんにゃく芋からこんにゃくを作る。その工程を横で見ながら芋の皮むき。
そして改めて思う。徳島の人は運転が荒い。そう、警察官さえもルールは無用。ビュンビュン走るは吉野川。
毎日同じ生活の繰り返しのように見える日々も、違う土地にいるというだけで全く別の世界に見えてくる。今日は改めて、僕は旅に出ているのだなぁと思わされる事が多い日でした…。
→他の日の四国歩き遍路日記はこちらにまとまっています、合わせてどうぞ。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へ高画質のアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。
二人っきりでトイレに
昨日はみんなが寝た後も、遅くまで先生のブログの記事を書いていた。先生が考え、あねさんが書き、僕がまとめあげる。それが今のところの新しく作ったブログの書き方だ。
先生の頭の中を理解し、言いたいことを外さずに優しい表現に書き換える。
なかなか楽しい作業ではあるが、時間がかかる。僕は自分のブログも書かなければならないので、時間を無駄には出来ない。そう思い、スマホでパチパチと書いていたのだが知らない間にうつぶせで寝てしまっていたようだ。
またもや手がしびれている。感覚の鈍い腕でなんとか時計を持ち上げると時計の針は8時を指していた。うわー!起きなきゃ!!…しかし腹が痛い。まずはトイレだ!
パタン。扉を開ける。
うわあああああ!!!!
ピョーンと何かが飛んだ。あれは!?…カマドウマだ。別名、便所コオロギ。まさに!の出現。
僕はピョンピョン飛び跳ねるカマドウマを尻目に用をたす。内心気が気ではなかった。虫はどうしても苦手だ。しかし腹が痛いのでトイレをせずに出ることも出来ない。密室に二人。
早く!はやーく!!
僕は出来る限り速く用を済まそうとしたのだが、焦れば焦るほどお腹の痛みは増すばかり。おでこから冷や汗が垂れる。聞こえるパチパチというカマドウマの跳ねる音。
こえぇ…。
暴れている猫は耳を抑えるとおとなしくなるらしい。それを思い出した僕は耳を手で抑え、目をつむった。完全なる暗闇。心が落ち着く。見るからいけないのだ。聞こえるからいけないのだ。考えるからいけないのだ。
シーン。
終わった。
気がつくとカマドウマは消えていた。一体どこに行ったんだろう。あ。そんな事言ってる場合じゃなかった。早く食卓へ!寝坊しているんだった!!
こんにゃく芋からこんにゃく
食卓にはすでに先生とあねさんが待っていた。一度呼びに来てくれていたようだ。僕がトイレに行ったタイミングだったのでわからなかったけれど。…しまった。待たせてしまった。
寝ることは罪だ。そう考える僕に先生は「別に眠い時は寝てたらええよ。気を使いすぎなくてえーけん」と優しく言ってくれた。
安心した僕はお茶碗にご飯を盛り付け、食べ始める。
トントントントン。
ん?何やらあねさんがまな板の上でデカい何かを切っている。
あー!これは!!
僕が前に掘ったこんにゃく芋だ。今日はこんにゃく芋からこんにゃくを作るのだそうだ。手作りこんにゃく。その過程が見えるのか!
その過程を写真で紹介出来たら良いのだけれど、これは企業秘密。あねさんが何年もかかって生み出した手法なのだそうだ。僕はその出来上がったこんにゃくの姿を想像し、早く食べてみたいものだと思った。
こんにゃく芋からこんにゃくを作る。考えてみれば当然の事なんだけれど、出来上がったこんにゃくをスーパーでしか見たことがない僕は、こんな芋からどうやってこんにゃくになるのか興味津々だ。
仕事を手伝いながら、時々のぞき見させてもらう事にしよう。
…それにしても「こんにゃく」って言葉がだんだんゲシュタルト崩壊してきた。こんにゃくって最初に名前をつけた人はどんな気持ちだったんだろう。
そんな事を考えながらご飯を食べ終えた僕は、ひとまず外へ行く。
人に自分の文章を見せるという事
僕は昨日、先生に頂いた棒で素振りをする。運動不足じゃいけないものね。本当ならば起きてすぐにやりたかったが、今日は寝坊したからご飯の後。食べた物がリバースしそうだったので、軽く振って引き上げる。
何やらブイーンという音が鳴っていたので、そちらの方を見ると先生がチェーンソーで大木を切っては、それをカマドに差し込んでいた。飛び出る薪。コンニャク作りのためにお湯をわかすそうだ。
期待が広がる。
僕が仕事を手伝おうと鳴門金時の皮むきの準備をしていると、先生は「パソコンの方の仕事をやっていていいよ」と言う。
そうだ。昨日書いた記事を公開しなければ。
僕はパソコンで最終チェックし、タブレットに公開寸前の下書きを表示させる。そして、それを先生に見せる。
先生の評価。94点。うん。かなり難しい内容だったけど良い点をもらえた。良かった良かった。人に何かを見せるのは緊張するけれど、自分が書いた文章を褒められるというのはすごく嬉しいものだ。
一番最初に先生のブログの文章を書いた時は実にドキドキものだった。
僕は友人にさえ自分のブログの事は内緒にしているのだが、それはやっぱり自分が書くものを知っている人に読まれるという事が恥ずかしい部分があるし、学校のテストなどとは違い、点数がつけられないもので自分の書いたものが正しいのかどうか不安だからだ。
なので、こうやって知り合いに読んでもらって点数をつけてもらえるとやっぱり安心する。それに先生は僕の天職はパソコンと書くことだと言ってくださっている事もあるので、ちょっとずつ書くことに対して自信がついてきたってもんだ。
褒められると嬉しいものね!!
さてさて、パソコンの方の仕事も一段落したことだし、芋でも剥くか。最近はこの芋の皮むきが楽しくて仕方がない。僕はどうやら同じ作業を淡々と続ける事が好きなようだ。
…が、その芋の皮むきで僕は泣きべそをかくことになる。
油断大敵
僕はパソコンを閉じ、芋の皮むきに移る。素晴らしい景色を見ながら縁側に腰を据える。シャコシャコシャコシャコ。ピーラーを使い、茶色い鳴門金時をきれいな金色に剥いていく。
スイースイー、チャポン。僕の手付きも慣れたものだ。次々と鳴門金時を手に取り、水の入ったバケツに剥いた芋を入れていく。
ブーン。
ん?何かが耳元で鳴った。
うわーーーーー!!!!!!!
突然スズメバチが飛んできた。僕は怖くなり頭を抱えて小さくなる。どっかいけどっかいけどっかいけ!!首の筋肉が痛い。自然の中で仕事が出来るのはいいけれど、そこには虫がつきまとう。
ビビって動かない僕。それを笑う先生は、すうーっと静かに手のひらを出した。
そしてそこにスズメバチが停まった。
!?
すごい…。
「敵を知れば怖くない」との事。スズメバチはおとなしく先生の手のひらをうろちょろした後、ブーンと再び空に消えていった。
そして昔、先生がオオスズメバチの巣を撤去する仕事をした話を聞いた。
キンチョールをガムテープで固定し、巣の近くで噴射し続けさせる。そして、巣に岩を投げる。するとビックリしたオオスズメバチ達は一斉に飛び上がり、キンチョールの噴射口に飛んでいく。
オオスズメバチはしばらくフラフラに飛んだ後、ポトリと落ちる。
先生はそのオオスズメバチを箒で履くだけ。うーむ。すごい。流れるような技。
しかし、この話には余談があり、箒で掃いている最中、フラフラになったオオスズメバチが一匹、髪の毛に落ちた。絡んだようになったオオスズメバチに先生の横頭は刺され、気絶するような痛みが走る。
熱湯をかけられたような感じがしたらしい。数日間晴れ上がり、喉元までも圧迫した。
先生の教訓。油断大敵。
僕はその話を頭の中で繰り返し、スズメバチやオオスズメバチがブンブン飛んでくるたびにビビりながら鳴門金時の皮を剥いたのだった。その目にはすでに涙が溜まっていた。
こ、これはカマドの煙にやられただけなんだからね!!
カルボナーラ
お昼ご飯を食べる。今日は僕のリクエストでカルボナーラ。考えてみれば、ここでは一度もパスタが出てきていない。僕は昔一人暮らしをしていた時に、三食すべてパスタを食べていたぐらい、パスタが大好きだ。
マヨネーズをたっぷりかけたスパゲッティサラダをおかずに、茹でたパスタにドレッシングをかけただけのペペロンチーノ。そしてフライパンに油をひいて、そこにパスタを転がせてからりと揚げる。それに塩を振って、カリカリッと夕食後におやつとして食べるスティックパスタ。そんな生活を送っていたあの頃。
気がつけば人生で一番太っていた。パスタって探せば大量に安く購入出来るし、簡単に調理が出来て、バリエーションも豊富。だから一人暮らしの強い味方だったのだ。
それで僕はパスタをリクエストしたのだけれど、あねさんは「パスタ料理って簡単でエエな。お皿一枚で済むし」と言ってた。
確かに日本料理屋をやっていたあねさんから見ればお皿の数は少ないし、調理工程は少なく、食材も少なくて済む。
簡単といいつつ、あねさんが作ったそのカルボナーラはとても美味しく、自分で作ったと言うベーコンがすごくいいアクセントになってた。さらりと自分でベーコンを作る所がまたすごい。
パスタ、また作って欲しいなぁ…。
灰とこんにゃく
僕が食べ終えたものを洗い終わって芋の皮むきに戻ると、すでにコンニャクは形になっていた。み、見逃した!あねさんがこんにゃく芋を茹でたり剥いたり潰したりして、それをこんにゃくにしている間に僕はスズメバチにギャーギャー騒いでいたのだ。
く、くそう。スズメバチめ!!
残念がる僕に先生は、『灰』の講義を始める。
こんにゃくの製作にはどうやらその『灰』を使うみたいだ。灰。僕はそれを『役に立たない終わりのもの』だと認識していた。物が燃え尽きて出来るものだし。しかし、どうやらそれは完全なる間違いのようだ。
先生はスマホで調べてみ?と指示する。Wikipediaで灰の項目を熟読する僕。
古より有用な化学物質として広く用いられてきた。また、象徴としても世界の様々な文化、伝承に登場する。
引用:「灰 – Wikipedia」
灰は昔から非常に有用なものらしい。純粋な灰は高く売買されているようだ。
宗教的な儀式にもよく使われるし、聖書にも灰が出てくる。
善と悪。真っ白の灰。人間は死んだ後、灰に焼かれる。真っ白な灰に。「もしかしたら人間は死んだ後、善人になるのかもしれないな」と、先生が言う。た、確かに!すげー!なんかすごく納得した。真っ暗の遺灰って見た事ないもんな。
パキッと壊れる
灰の講義を聴きつつ、僕は芋の皮むきを続けていた。シャコシャコシャコシャコ。パキッ。
ん?
あぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!
ピーラーがぁぁあああ!!
なんてこったい。大事な仕事道具を壊してしまった。力を入れすぎたのかもしれない。取っ手のところに存在していたかわいいキャラの目が見事に真っ二つに割れていた。慣れた頃にこそ、油断大敵。
す、すいません。
「かまわんかまわん、あっこに別のやつがあるからそれ使えばええけん」
僕は先生が指さした場所に行き、新しいピーラーを手にとった。そして再び芋の皮むきを続ける。
スイースイー。パキッ。
え!?
ま、またかよーーーー!!!!!
僕は一日に二つも壊してしまったピーラーを見つめ、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。もう新しいピーラーを使う事はせず、その割れたピーラーの割れた部分を研ぎ、短くなったピーラーを使う事にした。
「まあ、そのピーラーは100均で買ったものだから気にせんでええ。しかし色々なピーラーを使ってみたけれど、100均のピーラーが一番良く切れるんやから、本当に最近の100均はすごいでな」
先生はそんな感じで笑っていた。
確かにこのピーラーはよく切れる。僕はその短くなったピーラーを親指と人差し指、中指の三本でつまみ、芋の側面に滑らせた。スイースイー。短くなってもよく切れる。
あれ?なんか前より剥きやすいのでは?
僕は余計な力を入れずに切れるようになったその壊れたピーラーを自分専用のピーラーとして使うことに決めた。失敗は成功の母。二つ壊してしまったのは非常に申し訳ないけれど、これからの芋の皮むきの効率はもっともっと上がりそうだ。
匂いの枝
ピーラーを二つ壊してしまったからというわけではないけれど、僕は芋の皮むきからカマドの門番にシフトチェンジした。
この竹筒の穴から息を吹き込んで、まだ燃えていない薪をすべて燃やしきるのだ。
あ!そう言えば、あれをちょっと燃やしてみよう。僕はふと思いついた。
数日前、尾根に登った時に拾ってきたクロモジと思われる香木だ。香木。これはそのまま嗅いでもいい匂いがするが、燃やすとどんな匂いになるのか興味が出てきたのだ。
ポイっとな。
メラメラ。
ん?あんまり匂いしないな。燃えが足りないのかな…。
僕は勢いよく息を吹き込む。フーッフーッ!!
うーむ。匂いがしない。
これなら、あの枝をポキっと折って匂いを嗅いだ方がいい香りがする。でもさ、こういうのってお香みたいに燃やして使うものじゃないのかしら?
すると先生が、もうひとつ枝をポキっと折ってカマドの火に投げ入れた。
メラメラ。
あ!いい香りがする!!
そうか。葉っぱがついていなければいけなかったのか。その枝は葉っぱが燃える時、一瞬だけいい香りを残し、再び無臭に戻っていった。やはりこの枝は燃やして使うよりも折って匂いを嗅ぐ方がいいようだ。
それとどうやら、匂い成分というものは飛んでいってしまうものらしい。尾根に登った時よりも匂いが弱くなった。植物も生きているんだなぁ。
そんな事を考えながら、薪が燃えきるまで竹をフーフーしていた僕。
お給料
僕がフーフーし、薪もすべて燃え尽きる頃、あねさんのこんにゃく作りも終わったらしい。バッチリ透き通るようなこんにゃくが袋詰されていた。この後の予定だけれど、どうやらそのこんにゃくを届けに山を降りるらしい。
小屋の片付けをし、14時半頃山を出発する。その時先生は1つの封筒を僕に渡した。
え?え?えー!?中には給料が入っていた。いやいやいや、僕はタダでここに泊めさせてもらって、ご飯を食べさせてもらっているだけでもありがたいのに給料までも頂くわけには…。
押し問答のようなやり取りが続いたが、僕はありがたくいただく事にした。善意は断ってはいけない。この給料分以上の仕事を、もっともっと働こう!
働いて返そう!
ピローン♪
コンニャクを届けに行く途中、産地に鳴門金時の干し芋を配達する。その時ピローンとあねさんの携帯が鳴った。ネットで干し芋が売れた時の音である。
あねさんは車を停め、携帯を見る。そして僕がこの間注文したプリンターを取り出し印刷。僕はあねさんの指示で干し芋のシール貼りを手伝った。
それをゆうパックに詰め込み、郵便局に依頼。車で移動中でもネットで物が売れてしまうのだから、本当に便利だと先生は言っていた。
「商品を多めに積んでいた私、エラいで?」とあねさん。褒めて褒めてと言うと、「それぐらい当たり前に出来なければ困る、山の上にいくら干し芋があっても売れないのだから」とあねさんには厳しい先生。
とりあえず、僕はあねさんを褒めた。アメとムチだなコレは。そして、プリンターが早速役に立ったようで良かった良かった!
徳島での運転
そういえば、よくよく名古屋走りなんて言われるように、その県民性が顕著に現れるのが車の運転である。こうやって毎日車に乗って外の景色を眺めているのだけれど、時々ヒヤッとする事がある。
それは徳島の人の運転が埼玉とは全然違うのだ。その事を話すきっかけになった出来事をまずは紹介しよう。
郵便局にゆうパックを届けた後の事である。
突然あねさんが、あーーーー!!!!と唸りだした。先生の厳しさに、ついにあねさんの頭のネジが飛んでしまったのかと心配になったが、事態をすぐに把握した。
年寄りのおじいちゃんが運転している車がバックし、他の車にぶつかっていたのだ。中学生が運転する自転車もそれに巻き込まれていたが、運転していたおじいちゃんは何事もなかったかのように、バックを前進に切り替え逃げ去って行った。
えええ…。僕は唖然とした。幸い、中学生はなんともなく立ち上がって自転車を漕ぎ始めたから良かったのだけれど。
徳島の人は僕が思う以上に運転が荒い。しかし、僕がヒヤッとする出来事とはこういう特殊な事例ではなく、黄色い車線でも平気で追い越していく車が多いことだ。
一車線で走っていると、後ろからものすごい勢いで車が追い越していく。これはきっと埼玉の方ではあまり見られない現象であろう。こんな感じで抜き去られたら喧嘩になりそうだし。
しかしそれだけではない。
警察車両だって停止線を全く守らない。県民性ってのはやっぱり違うものだね。僕の地元の方なら、停止線越えたかどうかをチェックして信号無視のキップを切るために待機している警察の人がチラホラいるものね。
教習所でもかなり厳しく言われる。停止線を少しでもはみ出した時点で信号無視と。まぁ、車の数が多いし、バスもビュンビュン走っているからね。停止線を飛び出すとバスが曲がれなくなったりもするから厳しいのだろう。
同じ国でも住んでいる土地が違うと人が違う。そういう事がこういう所でも実感出来るのでした。
あねさんは、「コレだから人が多い時間に街を車で走るのは嫌なんだ、山にこもろう、山に!」とプンスカしていた。
徳島に初めてかかった橋
さてさて。そんな事故を見ながらも車は先へ進んでいく。
先生が生まれる前か生まれたすぐ後に出来たと言う橋を渡る。今では複数の橋がかかっているが、昔はこの橋を爆破されたら徳島の経済は壊滅してしまうと言われていたぐらい重要な橋だったようだ。
70年ぐらい経っているとは思えない頑丈な橋だな。だいぶ重そうだけど、役割は充分果たしている。
ここから見える景色は最高だ。水面に反射する夕日を眺めて僕はたそがれた。
パンひとつの修行
コンニャクも渡し終え、先生のご実家に行く。今日もご飯をご馳走になるのだ。
しかし、家に着くなりお孫さん2人が喧嘩していた。パンを食べたとかなんとかでギャーと泣き喚いていた。
あまりにも喧嘩が続くので、パンひとつでなんだー!と、先生のカミナリが落ちる。お孫さん2人撃沈。
僕はその光景を見ながら、統合失調症の幻聴と戦っていた。胸がギューっと苦しくなる。
修行。修行。修行。これは修行なんだ。
ぼくは心で何度も修行と唱え、パニックになりそうなのを抑える。修行。修行。これはいい言葉だ。なんとなく心が落ち着く。
夕飯の時間がきた。タチウオの天ぷらうまーー!!何コレ!本当に魚なのか!うまー!!食べ物は正義。
おそらく僕が今まで食べてきた魚の中で一番美味い!魚が苦手な僕でも箸が進んでしまうほどの美味しさだった。タチウオの美味さに僕の幻聴はどこかへ消えていった。
ふう。
僕の精神を襲ってくるなにかはきっと数秒から数分なのだ。ドン!っとやってくるそいつに負けてはならない。数分の我慢だ。数分やり過ごせば普通に生活出来る。
修行、修行。
僕はパニックになりそうな自分の精神に打ち勝った事を喜んでウマウマと食事を楽しんだ。
僕の昔の動画
先生の実家を後にし、帰り際、実家にもご飯を食べに来ていた先生の息子(末っ子)さんの家に立ち寄る。何やら大きな発泡スチロールを持っていってほしいとの事。
一人暮らしをしている末っ子さんの家にお邪魔して大きな発泡スチロールを車に詰め込んだあと、僕らは僕がお笑いをやっていた頃の動画をYouTubeで見る事になった。
前に先生にこんな事やっていたんですよーと紹介した物を先生が覚えていたのだ。先生の息子さんはプレステ3でYouTubeを再生した。
ユーチューバーなんて言葉が流行るもっとずっと昔、僕らはYouTubeで面白いと思う事をやって発信していた。あの頃は相方の言っている事がいまいちよくわかっていなかったけれど、昨今のユーチューバーの盛り上がりを見て、あー。こういうことだったのかとわかるようになった。
時代が早すぎたな…。
なんて事を思いながら僕は自分がアフロヘアーで赤ふんどしを履いて写っているその動画を見ていたが、その姿を見て先生は笑ってくれていた。
…ただ、昔の僕はムチャクチャ太っていて、自分を見ているのが気持ち悪かった。うん。あの頃にはもう戻らないようにせねば。パスタを食べていた頃のことである。気をつけよう。
四国歩き遍路日記36日目まとめ
山の上に戻ってから、昨日話に出た東京OLちゃんの話をちょこちょこしながら、僕はネットショップの製作を進めた。
仕事をどこでしていても、商品が売れる。これはまさに人数が少ないお店や、個人事業でやっている人の救いになるのでは。
とりあえずは、パソコンに弱い人でも運営は出来るのか、それが知りたい。
ブログの収益化はある程度、文章力に依存するところがある。
ネットショップももちろんそこは皆無ではないのだが、写真と端的な文章ならば、文章力に依存するほどではない。
これならば、ある程度敷居が下がるのでは。…まぁ、売る商品どうするんだ?という新たな問題が発生するが。
やはりまだまだ全国ひきこもり協会の設立は難しそうだ。
みんなと一緒に働く事が出来ない人が自信を持って生きていける方法。とりあえず自分の生活費だけでも生み出せる方法。なんとかならないもんかなぁ〜。
そんな事を思いながら、寝る前にトイレに向かうと朝のトイレで出会ったであろうカマドウマがひきこもりを脱出していたのでした。
そんな『四国歩き遍路日記36日目』の夜。