四国歩き遍路日記39日目。この旅の記録は以前、統合失調症の僕が歩きお遍路の旅をしながらその場で公開していた日記ですが、諸事情により公開を辞めてしまったものを再編集したものです。
2人の人間が同じものを見て、同じ感想を抱く。それは非常に稀なこと。なぜなら人には感性というものがあるからです。そして歩んできた人生が違うからです。
そしてそれはきっと自分一人の場合でも起こることなのでしょう。その時の心情、状況によって、同じものを見たとしても別の感想が浮かんでくる。
僕はこの旅の中で、いつも見ている風景が違って見えました。当たり前だと思うことが当たり前ではなくなったのです。そしてそれはこれを書き直している今現在の僕にも起きています。
あの時に感じた感想と違う感想が浮かんでくる。あの時はこう考えていたけれど、今では別の考え方をしている自分。それをミックスしつつ読みやすい旅日記というものが書けたらいいなと思います。
ではでは、再編集版よろしくどうぞ。
- 1 四国歩き遍路日記39日目のまえがき
- 2 先生が起きてくるまで
- 3 光陰矢のごとし
- 4 不死鳥のごとく蘇る鶏南蛮
- 5 鳴門金時を受け取りに行く日なので…
- 6 ものすごい音で薪作り
- 7 落ち葉が落ちるのも後数回
- 8 なんでもない紅葉かと思えば…
- 9 視界がぐにゃり。竹がぐにゃり。
- 10 四面楚歌
- 11 鹿との暮らし
- 12 タヌキとハクビシンと干し芋と例のアレ
- 13 雲ひとつない空とは
- 14 うどん生産量2位ってどこだか知ってる?
- 15 鳴門金時の受け取り
- 16 あいあい温泉はなぜにあいあい?
- 17 あいあい温泉のレビューみたいなもの。
- 18 温泉の後にドッと…
- 19 気功について聞こう
- 20 飛行機びゅーん!!
- 21 料理の並べ方
- 22 フェイジョア?
- 23 折り紙ボーヤ
- 24 四国歩き遍路日記39日目まとめ
四国歩き遍路日記39日目のまえがき
『四国歩き遍路日記39日目』になりました。サンキューの日。だんだん山の上に慣れてきて、やる事も身について来た。…とか思い始めてもここには新しい発見がいっぱい。
毎日毎日見ているはずの事も、気がつかなければそれは無いのと同じ事。目を開けば、どんな所でもどんな時でも何度でも勉強出来る。
それを教えてくれる場所が徳島なのです。今日はそんなような話を書こうと思ったのですが…
→他の日の四国歩き遍路日記はこちらにまとまっています、合わせてどうぞ。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へ高画質のアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。
先生が起きてくるまで
今日の天気は晴れ。以前見た天気予報では明日の予報は雨だったのだけど、今朝見てみたら晴れに変わっていた。ここでは天候によって仕事の予定が変わるから、天気予報をよく見るようになった。
家にこもっている時は、ぶっちゃけ雨だろうが晴れだろうが関係なかった。家から出ないのだから天気予報なんて見る必要もなかったのだ。
今日はあねさんがいない日なので、先生が起きてくる前に洗濯とご飯のスイッチ、お湯を沸かす事などをこなしておこう。
炊くお米は2合。水の調整は硬めだ。郷に入れば郷に従えとはいうが、お米の硬さなどはその家の特徴が出るものだから間違えてはならない。合に従えって事だ。
ご飯のタイマーをセットしつつお湯を沸かす。ここにはポットが5個ぐらいあるので沸かすのも大変。このポットが一日の仕事の所々で飲むコーヒーやお茶の供給源になる。
ポットに入っているお湯をヤカンに移し再沸騰。またもや野口くん用の馬のションベンと言われたら困るものね。
ヤカンがピーっと鳴くまで少し時間がある。洗濯機を回してあったので、脱水槽の方へ移し替える。そしてササッと戻って来ては、無数にあるゴミ箱の中のゴミを一つにまとめる。
新しい袋をゴミ箱にセットする。ゴミ箱の底の所に新しい袋を複数入れておくというのは、亡くなった先生の息子さんのアイディアらしい。僕もそれに習って袋がなくなったゴミ箱の底にスーパーの袋などを畳んで補給しておいた。
少し床のホコリが気になったので床を軽くほうきで掃いて、机の上を水拭き。
うーむ。あとは…あ!あれを忘れていた。危ない危ない。
先生がいつも座る席の所に急須と湯飲み、お茶っぱをスタンバイ。先生は右利きなので、湯呑、急須、お茶っ葉の順番に並べる。相手の1手2手先を読む野口くん。ムフーッ。
ヤカンが何度目かのピーッと唸り声をあげた。よし。これですべてのポットのお湯はアツアツだ。
僕がそれらの作業をすべて終える頃、先生が起きて来た。
しかし、まだご飯が炊けないので炊けるまでの7分間に昨日拾った木の枝を片付ける事にしよう。僕は先生がポットから急須にお湯を注ぐのを見た後に外に出た。
光陰矢のごとし
木の枝を移していく。トゲがある枝もあるので気をつけて運ぶ。しばらくすると先生もやってきたので、2人で分担してせっせと運ぶ。なかなかの重労働。
これで良し。よーし、ご飯だ。ご飯の前に仕事を1つ片付けた。ここでの生活は時間の経過が早い。時間の合間合間に自分のブログも書かねば。…ネットに繋がらないけど。
あねさんが実家に戻っている時はほとんど圏外だ。僕の契約している会社はどうやらここではほとんど電波を拾わないらしい。なのでパソコンにしても自分のブログのアップロードにしても、あねさんの携帯の電波をテザリングして送っている。
それか、山を降りてドライブしている時に助手席で景色を見ながらブログをアップロードするか、銭湯でお風呂に入っている間にロッカーの中でアップロードするか。
つまりは時間を有効活用せねば、どんどん日記の日にちも過ぎていってしまうのである。ちなみに、もうおわかりかと思うけれど、仕事の合間合間にこのブログの記事用に写真をパシャパシャ撮っている。
こんな感じで自分の生活行動を記録してみるとよくわかる。一日に出来る事というのは本当に限られているものだ。休みの日にまとめてやろう!なんて思っていても、案外仕事が進まない事が多々あるあなたはぜひ、一日決めた日を使って自分の行動をカメラなどでパシャパシャ記録してみてほしい。
時間はこの世で唯一平等なもの。何かをしていても時間は過ぎるし、何かをしていなくても時間は過ぎる。何かをやった時間は他の何かが出来なかった時間。
自分の行動はどのぐらいの時間がかかるのかを把握し、24時間の割合を自分で考え、優先順位をつけて行動する。それが日々の生活を充実させるために出来るただ一つの方法だ。
…なーんて偉そうに書いてみたけれど、先生の受け売りである。先生は人がひとつの仕事をやっている時に2つも3つも仕事をこなす。その姿をみて、盗もうと思った行動習慣の紹介でした。
不死鳥のごとく蘇る鶏南蛮
朝ごはんはコレ。昨日、スーパーで買っておいた鶏南蛮。先生はこの鶏南蛮を見て、豆知識を披露した。
スーパーにある鶏の生肉。これがもし売れ残った場合は、惣菜コーナーの唐揚げになる。
その時点で、えー!?鳥の唐揚げ用に鶏肉を用意してるんじゃないの!?って感じだったが、物を捨ててしまうよりいいかもしれない。
しかし、その唐揚げが売れ残った場合。油で揚げたものは、カラッとしなくなる。そこでこの唐揚げを甘辛く煮るのだ。それがこの鳥南蛮。
なんと再々利用したものだとは…。スーパーってすごいなー。
そして、その鳥南蛮が売れ残った場合、半額シールを貼って、原価だけでも取り戻そうとする。マイナスをゼロに戻せれば、またそこから再スタート出来る。
スーパーって、なんとスーパーな事をするんだ!と、僕は思った。
鳴門金時を受け取りに行く日なので…
ご飯を食べ終え、仕事の続きをする。軽トラックの荷台を掃除し、コンテナを積む。片手でコンテナを3つ持つ方法もここで学んだものだ。僕は1度に6個のコンテナを運べる。
両手で山積みにしたコンテナでは頑張っても4つ持つのが限界だろう。つまりは1.5倍効率よく仕事が出来るという事。むふふ。僕も仕事の出来る人間になった気分だ。
軽トラックの荷台を見ると、昨日たくさんの木の枝を運んできたので、土や葉っぱなどでだいぶ汚れていた。僕はトラックの荷台の上に飛び乗り、箒でササッとそれらを掃き出した。
そしてそこに運んできたコンテナをテトリスのように考えながら積み込んでいく。
これで完成!
どや!あとは右端に長い棒が来たら、高得点!ってなぐらいにきれいに並べられた。
帰りはこのコンテナが鳴門金時でいっぱいになるわけだ。そう考えると軽トラックって本当にたくさんの物を運べるよね。これで軽自動車なんだから本当にビックリしてしまう。
先生も、「物を運ぶのは軽トラとホロ、そしてゴムが最強」と言っていた。
ものすごい音で薪作り
先生の元に戻ると、何やらものすごい音が鳴っている。電動カッターで木を切っているのだ。慣れた手付きでバッサバッサと切っていく。
あのカッター、おそらくものすごく重いんだろうなぁ。それに高速で回転しているわけで、遠心力もかかっているだろう。
ここまで先生と一緒に生活してみてわかったけど、日々の生活の中の所々で筋肉を使う仕事がある。最初にお風呂で先生の体を見た時に、あまりにも完璧な肉体に何か鍛えているんですか?と聞いてしまったが、それの答えがこれなのだ。
特に筋トレなどをしている姿を見ていないのだけれど、木を拾ったり木を切ったり、重いものを運んだり、その積み重ねで、あの年不相応の筋肉が出来上がっている。
うーむ。知識も体力もすべて兼ね備えている超人。すごい人に巡り会ったものだ。
僕はこの電動カッターは扱えないので、先生の指示で横で次々と細切れになっていく木を拾い、空いてるコンテナに詰めていった。
そして縁側の下にイントゥーさせた。そこにはたくさんの薪が収まっていたのだが、日々の空いた時間の積み重ねでこれだけの木を切って、運んでいたのかぁと感心してしまった。
先生が電動カッターを使っている時間はおよそ5分ほど。サクッと仕事してサクッと次の仕事に移る。本当に仕事が速い。
落ち葉が落ちるのも後数回
紅葉の季節が過ぎると落葉樹の葉っぱは次の代にバトンタッチと、つけている葉を全部落とす。
先生は「この葉っぱもあと数回じゃのう」と、庭の木を見上げる。なぜ葉っぱは落ちるのだろう。そんな事を考えた。
そして理解した。葉っぱが落ちるのは光合成をしないようにだ。
光合成。理科の授業で習ったと思うけど、あれを行うためには水と二酸化炭素と光が必要になる。冬にそれを行ってしまうと、木の中を通る水が凍ってしまう。
だから植物は自分の体を守るために冬に向かうにつれて葉っぱを落としていくのではなかろうか。植物も考え、生きている。木にも命があると実感できた気がした。
木にも魂があるのだ。
さて、突然加工されている写真でビックリしたかもしれないが、先生の指示を受け、僕は竹箒で落ち葉を掃除する事になった。サササッと。その場所を写真撮っていると、「ビフォーアフターじゃな」と先生が笑う。
そのビフォーアフターをあなたにも見せたくなったのだが、一応いろいろと個人的なモノが写っているので、写真の方は加工しておく事にした。ご了承くだされ。
やっほい!あれだけあった落ち葉を全部かっさらってやったぜぃ!
掃き掃除を終えた僕は空を見上げる。本当に後少しの葉っぱしかない。なんとなく哀愁漂う。今年も終わりなのかぁ、と寂しい気分だ。秋はどうも気分が落ち込みがちになる。
理由は自分でもわかっている。何年も変わらない。
僕のこの心の記憶も落ち葉のようにハラリと落ちてくれたならどれだけ楽になるだろう。時間がどれだけ経っても、必死でしがみついて落ちないその記憶に、時折水が流れては、僕の精神は凍って傷んでしまう。
あぁ。憂鬱だ。
なんでもない紅葉かと思えば…
掃き掃除を終えると、先生は「この木を見てみ?この木は相当の価値がある木なんじゃ」と、僕がいつも素通りしている紅葉の木を指差しておっしゃった。
ん?これは普通の紅葉なのでは?と僕はジロリと改めて紅葉の木を見回す。
な、なんじゃこりゃー!!根っこが、根っこが地面から出ておるぞぉぉぉぉー!根っこが本来生えて行くはずの場所に岩がある。だからそれを避けて根が伸びている。植物の生きようとする力すごい!
…それにしても周りを見せないように写真を加工すると、なんとなく合成したような気持ち悪い写真になるな。
うまいこと撮影出来ないもんじゃろか。
もっと近づいてみよう。
…うーむ。どちらにせよ、加工すると嘘くさい写真になる。
ってあれ?
葉っぱがなんか違う!
「紅葉と楓の違いを知っているかね?」と先生に尋ねられ、僕は先日スマホで調べた知識を披露する。切れ込みが浅いものを紅葉、切れ込みが深いものを楓。楓は蛙の手で楓。メープルシロップが取れる方も楓。
スラムダンクは流川楓。僕の身長、流川楓。
ふむ。赤くなっている部分と木の途中から生えている葉の形が違う!なんでじゃろ?楓から紅葉が生えておる。いや紅葉から楓?どっちかわからんが、葉っぱが違う!?
ちなみに紅葉と楓を区別するのは日本だけなのだそうだよ。明確な区別はなくて、盆栽の世界で区別するのだそうだ。
雨の名前も沢山あるし、日本語って美しい。ちょっとの違いや変化に敏感なんだよね!風情ですなぁ。
この独特な根っこの形をしている木は、長年手をかけて作ったものなのだそうだ。何気なく毎日見ていた紅葉の木にも人の人生がチラリ。
視界がぐにゃり。竹がぐにゃり。
先生と紅葉の木を眺め終えた後、「コレを持って捨てに行こう」とバケツを1つ手渡された。
カマドで出た灰だ。コレを持って竹藪の中に入っていく。
うおぉ。なんと険しい竹藪だ。…というか、ここの土地はどれだけ広いのだ。まだまだ僕が入った事のない場所が沢山ある。
それにしても、険しい…。地面の角度がおかしい。高所恐怖症の僕は一瞬、めまいによって視界がぐにゃりと曲がった。
…かのように思えた。
よく見てみると僕の視界が曲がったのではなく、実際に竹の根っこの方がぐにゃりと曲がっているのだった。あれだけ硬い竹も環境によって曲がるんだね。植物って不思議。
四面楚歌
あまりの地面の角度の鋭さにバケツを持っていない方の手で、地面を這いつくばりながら歩く僕。
…。
わぁお!
トカゲだ!小っちゃい恐竜だ!こまい恐竜だああああ(注意:僕はトカゲも手で掴めません)。
四面楚歌とはこのことかあーー!!!
ビビりながら歩く僕の目の前に幻覚のような光景が広がる。
あ、あれは…。
きのこだ!なんとデカイきのこであろう!!
これはもしや!?マツタケか!?松茸なのか!?ここに来てすぐに松茸狩りをした事を思い出す。そんな僕を見た先生は冷静にこう言った。
「それ、食べちゃダメだよ」
なーんだ。マツタケじゃないのかぁ〜。残念。マツタケがっかり毒キノコ。
鹿との暮らし
僕がきのこを眺めながら地面を這いつくばって先生の向かった先へ追いつくと、先生は鹿よけのネットを直していた。鹿がこんなにも身近に感じられるなんて、埼玉じゃ考えられない体験だなぁ。
本当に鹿が家の敷地まで入って来て、草や木を食べちゃうんだよ?植えても植えても大切な植物が育つ前に鹿に食べられてしまう。
僕が夜中にガサゴソとビビっている物音はきっと鹿が植物を食べに来ている音なのだ。鹿のやつ、コノヤローである。
そんな感じでネットを見ながら鹿に対しての不満を僕がプンスカしていると、先生はこう言った。
「本当は先にいたのは鹿なわけで、人間が後から来たのだから網も張りたくないんじゃが、植物もかわいそうだから」と。先生の心、ダイヤモンド。
先生に比べれば僕の心はタイヤもんだ。タイヤのように真っ黒だ。
ネットを直した我々は、手に持っていたバケツの灰を決められた場所に廃棄した。人間が燃えた遺灰は白くなると言うけれど、僕が捨てたその灰は、いつもより黒く黒く見えた。
タヌキとハクビシンと干し芋と例のアレ
竹やぶから帰ってきた足で、鳴門金時を干してある二階へ移動する。昨日に引き続き、乾かしている干し芋。完全なる快晴に干されている姿は非常に様になっている。
この二階は結構高い所に位置しているのだけれど、景色が綺麗なので高所恐怖症の僕でも恐怖心が起きてこない。徐々に沈みつつある太陽を眺めていると先生が声をかけてきた。
「ちょっと手伝ってくれ」と手に持っていた何かしらの棒を僕に渡す。なんの棒?
あ…。棒で思い出した。素振りしてないよ、今日。
4日坊主の僕の事はさておき、この棒の説明を先生が始めた。
ここの所、芋を干しているとタヌキやハクビシンがやってくる。干し芋の網を重ねて取られないように対策してみたのだけれど、どうやらそれだと乾きが悪いらしい。なので干し芋の網をタヌキなどが届かない天井にぶら下げてみようと言うのだ。
先生と僕は協力しながら、針金と棒で天井からぶら下げる物干し竿のようなものをこしらえた。頭にあるものをササっと形にしてしまうのだから、感心してしまう。
よし。ここに干し芋を運ぼう。そう思い、快晴の空に干してある干し芋の網を取りに向かった時のことである。
ブゥーーン。
うわぁあああああああ。アイツだ。僕がどうしても怖くなって体が固まってしまうアレ。
そう。スズメバチ。彼は干し芋の上を物欲しそうにブゥーーンブゥーーンと飛んでいる。コエェ。何もしなければ攻撃してこないのは知っているけど、やっぱりコエェ…。
干し芋の網を移動させないといけないのに、スズメバチが怖くて取りに行けない。でも早く取りに行かねば仕事が出来ない。でも怖い。冷静と情熱のあいだ。揺れる心。
そんな風にどうしようどうしようと考えているあいだにスズメバチさんはどこかへ飛んで行った。ふぅ。
鹿より高い所よりも、何よりハチが怖い僕。毎日見かけるスズメバチ。いつになったら慣れるのか。ハチの恐怖に慣れる頃、きっと秋が去っていく。
僕は高身長のメリットを活かし新しく作ったタヌキやハクビシン対策の天井物干し竿の上に網をセットした。こういう時は身長が高いというのは役に立つね。
それではやることをやったので鳴門金時を受け取り山を降りるとしよう。
雲ひとつない空とは
今日は本当に空が澄んでいる。iPhoneで撮る写真もきれいに写って嬉しい限り。こりゃー、またiPhoneの残りデータ数も圧迫するなぁ〜。
最近の悩みはiPhoneで毎日写真を取り続けているので、空き容量が無くなって来てしまった事だ。このブログで公開出来ないものも含めるともう少しで1万枚ぐらい撮っていることになる。
本来なら40日ぐらいで帰るつもりだったので、まぁなんとかなるだろうと思っていたけれど、やはり容量が足らなくなってきてしまった。
かと言って削除もしたくないし、あとで写真の整理をまとめてやりたいので、とりあえずクラウドサービスの方に保管したい。…が、ネット環境がない。今度、先生のご実家に行った時にWi-Fiを貸してもらおう。先生のご実家ではお孫さんたちがゲームをしているので、Wi-Fiがあるのだ。
助手席で先生にそんな事を相談したけれど、Wi-Fiがなんだかわかっていない先生。とりあえずわからんけどいいよと許可をもらった。
…ということで遠慮なくパシャパシャとりまくる僕。
山を降りる道は紅葉(こうよう)が始まり出して、見事な景色だ。
目の前に広がる山。綺麗だなぁ。空気も澄んでいる。
吉野川沿いを走る。僕はここの道が大好きだ。何度も写真を撮ってしまう。
ほら。綺麗でしょ?吉野川いいよ、吉野川。
前に歩いたり、車で通ったりした潜水橋も見える。
吉野川沿いは畑を安く貸しているのだそうだよ。川の増水が多いから雨の日には水の底。それでも負けじと働く人々の姿が頭に浮かんだ。
あぁ。過去の松尾芭蕉のような俳人も川をみてこんな感じの気持ちになったのだろうか。川はいい。何かしらの風景を頭に生み出してくれるね。
それにしても腹が減った。
うどん生産量2位ってどこだか知ってる?
今日もやってきました。さぬき麺市場!ここは安くて量も多くて、僕が大好きな所!
ちなみにうどんといえば生産量1位は香川県というのはあなたもご存知の事だろうが、実は僕の地元である埼玉が第2位だという事はあまり知られていない。
おそらく埼玉出身の人でも知らない人が多いのではなかろうか。店舗数の数も2位なのに。
山田うどんという店舗が日々当たり前過ぎて、全国どこでもあると思っている人も多かろう。でも関東圏しか店舗展開してないんだよね。
前にグルメブログを書いていた時、それを自慢げに語り、山田うどんは埼玉にしかないのだ!!と豪語したらコメントで、関東圏ならありますよーと教えていただいた。
地域によって常識と思っている事が実は他の県の人は全く知らないなんて事があるからやはり面白い。
さて、うどん豆知識はこのぐらいにして食ーべよっと。
さぬき麺市場の大は2玉じゃなくて、3玉なんだぜ!普通の人が普通のサイズを頼みたいなら小だ!
それを知らずに中サイズを注文した前に並んでいたお客さんが、その量の多さにビックリしていた(笑)
さぬき麺市場はトッピングも自由だ!
ここの所に大根おろしがあるのがとってもベリーグッ!!はなまるうどんとか丸亀製麺とかは店員さんが大根おろしを乗せるシステムだもんね。
おろし醤油うどんが大好きな僕は、普通のうどんの料金で冷やしおろし醤油うどんが食べられる事に大歓喜!!
そしてコレが大の醤油うどん、400円!お醤油をぐるりと一周分かけてかき混ぜて食べる!
ワッハッハ!揚げ玉もサクサクでとにかく美味い!
見よ!この輝きを!このボリューム感を!しかしこれを僕は…
瞬殺。
なんとこの世の儚いものよ。アレだけあったうどんがもうなくなってしまった。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の小麦あり。沙羅双樹の花の色。盛者必須のおうどんをあらわす。
鳴門金時の受け取り
うどんを平らげた後、鳴門金時を受け取りに車を走らせる。その場所に着くと、すでに芋がコンテナに積み上げられていた。今回は10杯分だ。農家の人はいないようなので、それを持っていってくれとのことなのだろう。
僕は腰を痛めないように気をつけて軽トラックに詰め込む。力もだいぶついてきた気がする。これは体重が増えたのではなく筋肉がついたのだと思う事にしよう。
先生は腰をやってしまっているので休んでいてもらった。
さて、コンテナを積み終え、先生の実家に向かうわけだが、「その前にお風呂にしよか?」と先生がチケットをくれた。
あいあい温泉はなぜにあいあい?
先生がチケットをくれた温泉はあいあい温泉だった。僕は、ふとなぜあいあい?なのだろうと考えたが、そのチケットに描かれていたお猿さんの絵を見て理解した。おさ〜るさ〜んだよ〜♪ってことか。
いや、待てよ。左上にハートが二つ描かれてもいる。Loveって意味であいとあいをくっつけてたのか?
ai aiって書いてあるし。
うーむ…。真相は藪の中である。
あいあい温泉のレビューみたいなもの。
あいあい温泉。大人550円。値段は平均的なところだろう。
「あいあい温泉は全国でも数少ない泉質です」だそうです。僕はここの温泉が好きだ。
うたせ湯もあるし、ジェットバスもある。シルキーバスというにごり湯もあるし、あったかいお湯がちょろちょろ流れている椅子もある。
しかもサウナも広く、水風呂も凝っている。露天風呂は石で作ったタヌキの石像や仮面ライダー、坂本龍馬や腕の折れたゴジラなどもいる。
外には誰だかわからんけど、たくましいおっちゃんの石像もある。
これでドライヤーも使用無料だったら良かったんだが、そこまで贅沢な要望はしない事にしよう。
とにかく昼間はおじいちゃん達が集まるのも良くわかる良い温泉です。
温泉成分表は記念に撮っておいた。後でじっくり読ませてもらう事にしよう。ぼやけているけど…。
温泉の後にドッと…
温泉を出た後、先生のご実家に向かう。お風呂にゆっくり浸かった為か、日は暮れ始め夕日が沈む。それに同調したように僕の体もドッと疲れが出た。
これが体に起こることで、翌日に身体がスッキリするのだろう。
昔、台湾に行った時に僕ははじめてマッサージというものを受けたのだが、同じ現象が起きた。
はじめての観光海外旅行という事でそれまでパワフルに活動していた。休むことも忘れるほどだった。しかしマッサージを受けてお店を出た後、嘘のようにドッと疲れが出た。
この原理を知らなかった僕は、なんなんだよ。マッサージしたのに疲れちゃったよ!!と、すぐにホテルに帰り爆睡。
しかし次の日の自分の体にはビックリした。おそろしく軽いのである。見えない所で体の中に疲れが溜まっていたのだ。それを吐き出させてくれたのがあのマッサージなのだろう。
本当に不思議だ。人間の体というのはよく出来ている。
気功について聞こう
この現象について先生に聞いた所、「中国の方に“気”という考え方があるだろ?」と話が始まった。
“気”と聞くだけで、エイヤー!と人をふっとばしたりする気功を頭に思い浮かべた僕は、なんとなく気に対して胡散臭いイメージがある。しかしその考えも先生の話を聞き終わる頃にはガラリと変わる。
どうやらその“気”というものは体を巡り巡っているらしい。ツボ押しの図みたいなので見たことがあったのでそれは知っていた。その気の流れが狂い始めると体の調子がおかしくなる。
そこでツボを押したりして、気の流れを元に戻してやる。元の気に戻る。それを元気というのだという。
な、なるほど!!その話を聞いて僕は痛く感動した。妙に納得だ。気が病になるから病気。それが元に戻るから元気。痛い所に手を当てると気の流れが良くなって痛みが軽くなる。だから手当て。
そういい収めた先生の話。説得力すげー。
飛行機びゅーん!!
空港の近くの為か、上空を飛行機が飛ぶ。この写真では小さく写っているが、こんなにスレスレ飛ぶのか!?って思うほど旋回して来て頭の上を飛んだ。
僕は思わず車の中で首を潜めてしまった。
うひょー!!
それにしても疲れがドッと出たせいもあるのだけれど、妙に気分が落ち込んでしまう。哀愁漂う風景。やっぱり秋は淋しい季節だ。どうしたもんだろうか。最近の僕の心情は。
外を見ているだけで目頭が熱くなってくる。何年経っても僕の心が元に戻る気配はない。
料理の並べ方
僕の気分のことはさておき、先生のご実家に到着。今日も美味しいご飯をいただきました。魚の煮物です。お魚が本当に好きになってきた。人間の味覚というものは変わるものだね、ワトソン君。
そーいえば、先生の奥さんは僕のブログを読んでくれているようで、料理の写真を載せているのを見て、「もっと美味しそうに撮ってくださいよ!」と最近では料理の並べ方の微調整を行っている。
…ぐぬぬ。僕の写真を撮る腕がないばっかりに申し訳ねぇ。でも写真の10万倍は美味しいんだよ?
うん。
フェイジョア?
先生の奥さんに「これ知ってるか?」と上の写真の果物を出していただいた。
…し、知らん。なにこれ。
熟れていないびわ?あけび?はたまたキュウリ?
「フェイジョアっていう果物」
フェイジョア…。
その言葉、口に出した事も耳で聞いた事もなかった。フェイジョア。うーん。フョイジェア。ジョアフェイ。フョア。どこもかしこもなーんの響きもピンとこない。
見た目はからは味も想像出来ないのだが食べてみることにしよう。
おぉ。
キューイフルーツだ。
キューイフルーツをちょっと不思議な感じに変化させたもの。これは不思議だ。うん。なんとも言えぬ味。キューイフルーツで事足りる気もするし、別のもののようなものでもある。
うん。これはもう一度時間を置いてから食べてみないことには美味しいのかどうかわからぬ。
先入観を持ちすぎた。
折り紙ボーヤ
折り紙王子といえば、2番目のお孫さんの事だが、やはりその行動を逐一見ている1番下の肩車ボーヤも折り紙を覚えたいらしい。
僕はスマホでボートの折り方を調べて一緒に折ることにした。
しかし、途中で僕に用事が出来てしまった為、肩車ボーヤはお母さんと一緒にボートを完成させていた。上手に出来ているね!水に浮かべてくる!って言ってきたので、紙!それ紙!と教えてあげた。
僕たちがご飯を食べ終わった後、子供達が山に行きたいと言い出したので、みんなで一緒に山に登ることになった。
山に登りながら鹿を見たりして小屋に着く。
四国歩き遍路日記39日目まとめ
小屋に着いた途端、肩車ボーヤと一番上のお姉ちゃんは寝てしまったが、折り紙王子だけは元気に折り紙を折り出した。
こ、これは!?
サンタさんか!?
これはなんだー!!猫か!?犬か!?妖怪ウォッチか!?ポケモンか!?ジバニャン?ねぇジバニャン?
サンタさん(?)がなんか首吊りみたいになっているーー!!
なんて事を思っていたら折り紙王子の睡魔が限界を迎えたみたいで眠りについていった。
結局、答えを教えてもらえなかった…。
真相は闇の中である。
ちなみに芥川龍之介の小説『藪の中』から派生したと思われる真相は藪の中という言葉。真相は闇の中が正しいという人もいるし、藪の中が正解だとTV番組で言ってたという人もいて、結局どっちが正しいのかわからない。
もうこの状況が藪の中だ。
とりあえず、僕は二つ以上の見解がある時は藪の中、ただ答えがわからない状況の場合は闇の中と使うことにしよう。
そんな『四国歩き遍路日記39日目』。