四国歩き遍路日記44日目。この旅の記録は以前、統合失調症の僕が歩きお遍路の旅をしながらその場で公開していた日記ですが、諸事情により公開を辞めてしまったものを再編集したものです。
もうそろそろこの始まり方を変えようかなと思っていますが、検索から入ってきてくれる方もいらっしゃるので、やはり書いておいた方がいいでしょう。
僕としてはやはり旅日記の1日目から読んでほしい所ではありますが、旅の時もそうだったようにどのページからもアクセスされます。なのでどのページから読みはじめても大丈夫なように心がけています。
…が、登場人物がいるものなので、最大限の魅力をお伝えするのは難しいかもしれません。今回の記事でもあねさんが大活躍していますが、今までのあねさんの人柄がわかった上で読んだ方が面白いのは確かなのです。
って事を語れるぐらいこの日記も日を重ねて来たんですねぇ。うーん。しみじみ。今回で44日目。残りは25日。1ヶ月を切っていました。最後まで突っ走ろうと思います。
ではでは、再編集版もよろしくどうぞ。
四国歩き遍路日記44日目のまえがき
風が吹いた。最近ダークな精神状態が続いていたけれど、どうやら昨日の出来事で僕の心のモヤモヤは吹っ飛んでいってしまったらしい。桶屋が儲かる所の話ではない。
雲が一つ空に浮かんだだけで、僕の気持ちは晴れ晴れだ。振り返って見ると今日の僕は写真を250枚近く撮っていた。
気持ちが晴れるとファインダーから見える景色でさえも眩しく煌めいてくれるのだな。
…なんだか、言っている事がいちいちウザい表現になってしまっているようなので、あなたに呆れられる前に今日の話に入っていこう。
→他の日の四国歩き遍路日記はこちらにまとまっています、合わせてどうぞ。
※復刻にあたり、旅先で沢山写真を撮ったものをアップすることにしました。Facebookの方へ高画質のアルバムを作りましたのでよろしければ御覧くださいませ。
小鳥の急須
二度寝してしまった。起きた時間は6時。これではダメだ。早く起きる事が出来たのは二日間だけではないか…。これでは習慣とは言えない。
布団から飛び起き、僕は急いで部屋を移動する。そして毎日の日課であるポットにお湯を入れる作業開始。
ヤカンにポットの残り湯を入れ、ガスで再加熱。それの繰り返しでなんとか4つのポットにお湯を沸かした。
そして先生の机の前にお茶の葉とポット、急須をセット。
そう言えば、昨日から急須を変えた。今回の急須は傾けると小鳥が顔を出すよ!
そんなこんなでお湯を沸かしてたらあねさんが起きてきた。
「ストーブつけてええんよ」とあねさん。僕は寒いのは得意なのであまり寒くなかったが、みんなが起きてくる時間なのでストーブを点火する。
火がつかない。
灯油切れのようだ。僕は灯油缶を持って、外に行く。
マイケル野口
外に出たついでに温度を見てきたら6.5℃だった。まだまだいける。まだいける。まいける。
まいける野口!寒さに強い男。ドンと来ーい!氷点下!
工進(KOSHIN) 乾電池式 タンク 直付け 灯油ポンプ EP-503F 自動停止 手元 スイッチ 単三電池 4本 使用 灯油 ストーブ 給油
そして毎度おなじみハイパーなポンプを使って灯油をフル・モンティ。あ、間違えた。フル満タン。フル・モンティはすっぽんぽんって意味だった。この寒い中すっぽんぽんになったら流石に寒さに強い僕も凍えてしまう。
ハイパーなポンプはスイッチオンするだけでブイーンと鳴り響き、満タンで勝手に止まる。これ、本当に欲しい。
そんなこんなで灯油を入れてストーブが温まって来た頃、先生も起きてきたので朝ごはん。
ここでおなじみフィッシュカツ!カレー味の魚肉カツだ。ケンミンショーで徳島を紹介する時に必ず出てくる徳島のB級グルメ。
ご飯がすすむ!
鳴門金時の干し芋を盗み食い
今日の手伝いは、干してあった干し芋を取り込むことから。網を傾けドバーッとパン箱に流し込む。
網が全部なくなった。ここから見える景色は良いね。こんな所で作る干し芋が美味しくないわけがない。僕は景色を眺めながら、パン箱に入った干し芋をこっそり盗み食いした。
うん。美味い!(食べていいよってちゃんと言われているからね!)
運び終えた後にちょこっとトイレによると、あいつがいた。となりのトトロでおなじみのやつ。足の長い黒い虫。なんでこんなに足が長いんだ。
彼はその長い足を自慢げに電気のスイッチに絡めていた。これでは電気がつけられないじゃないか!!
虫が怖い僕は電気をつけず真っ暗のトイレで用を足す。暗いのは平気で虫は平気じゃない。どちらも黒いのに不思議だ。
さてさて。干し芋のカットを手伝った。そしてカットした芋を袋に詰めるのだ。パズルのように干し芋を並べるのは楽しい。
突然の爆音
すべての芋を袋詰め終えたあと、新しい干し芋制作のために皮むきを始める。その前に再びトイレにでかけたのだが、目の前をツトツトと山鳥が通る。
あ!!カメラに撮らなければ!!僕はとっさにiPhoneを構えたが、カメラに写ったかどうかは定かではない。
この写真の手前の鳥っぽいものがそれのような気もするのだが、単なる苔の生えた石なのかもしれない。でも目の前を通ったのは確かなのだ。決定的瞬間を写真に残すのは難しいね。
そんなこんなで元の場所へ戻り、自然を肌で感じながら芋の皮をむいていると、ドカーン!!!とけたたましい音が聞こえた。
僕はとっさに自分の胸に手を当てる。撃たれてはいないようだ。
そしてすぐさまドカーンドカーン!と2度の轟音。
今日から狩猟が始まるという事を思い出した。そうか、あれが鹿とかイノシシを撃つ銃砲の音なのか。恐ろしいほどの爆音だな。あの山鳥もきっと驚いて逃げてしまっただろう。
何度も鳴り響く音。
僕はふと、この狩猟を行っている人はあまり上手くないのでは?と頭で考えた。
何度も鳴るという事は1度で仕留められていないのだから。うふふと小さく笑いながら芋の皮むきを続ける。あぁ。山の上で生活しているのだなぁ。
コーヒーとカマキリ
だいぶ芋を剥いたので、気分転換に場所を変えて景色を眺めながらちょっと休憩。僕は置いてあったコーヒーカップに手を伸ばしギョッとした。
カマキリが僕のコーヒーを狙っていたのだ。なんだよ。またお前かよ。
わかったわかった。と、僕はコーヒーカップとともにカマキリを写真に撮ってあげた。本当にコイツは撮られたがりなカマキリだ。僕がいる所にちょくちょく顔を出す。
僕は足で踏まないように気をつけながら、外を眺めた。ドカーンドカーン。聞こえる銃砲。あ、また外した。カマキリがバンザイをしてどこかに去っていく。
芋から出てきた結婚記念日
仕事に戻ると、馬鹿でかい鳴門金時の芋が2つあった。その2つの芋を見て、そーいえば、両親の結婚記念日だなと思った。僕が旅に出ているので、今年は旅行に行けなかっただろう。
毎年、両親は2人で結婚記念日に旅行に出かける。僕はその間、家で猫4匹の面倒を見るのだ。しかし今年は面倒を見る僕がいないわけだから、家で2人でお祝いをするだけで済ませているのかもしれない。
その旅行もあと何回行けるのだろう。身体障害者の父は年齢の老いも重なり、徐々に体の自由が効かなくなってきた。今年で最後かもしれないねと毎回出発の度に言う母の言葉は、次第に真実味を帯びていく。
今年の僕はその貴重な両親の旅行を奪って、お遍路にでかけた。絶対に何かを得て帰らなければ。
トンカツ上手のあねさん
今日は少し遅めのお昼。トンカツだ。料理が上手なあねさんは、特に揚げ物がうまい。
サクサクの衣が本当に美味しい。朝に食べたフィッシュカツとは比べものにならないぐらいの衣の歯ごたえ。あぁ、なんでこんなにサクサクなんだろう。
揚げ物って難しいよね…。それをサラリとこなすあねさん、恐るべし。
そのサクサクのとんかつを食べた後、僕はすぐに外に出た。
素振りのためだ!朝に時間が取れなかったからね。昼食後はすぐに出かけるとの事だったから、サッと準備を終え、先生達が準備をしている間にちょこっと素振りをする。
バシュンバシュン。
おお。いい音だ。日々の成果が出てきたかもしれない。継続は力なり。何もやっていなかった僕よりも、今の僕は前進している!!
いつもと違う道
みんな揃ったので出発。今日は色々と用事があるらしく、いつもとは違う道を走る。
山の紅葉が綺麗だ。
山の間に太陽が沈んでいく。
トンネルを抜け…
目の前に広がる山々。
のどかな道だ。いつも行く郵便局ではない場所に行くらしく、しばらくさまよう。色々とグルグルと周った後で、やっと目的の郵便局を発見。
僕的には迷っている事すらわからないので、新しく見える景色が楽しくて仕方がない。今日はいつもより多めに写真を撮っている。
写真に写る雲と空の割合が素晴らしく、写真ベタな僕でも名カメラマンのような気分になれる。昨日の雲海もそうだったけど、やはり自然のチカラは心を穏やかにする。
あねさんが用事を済ませたらしく戻ってきた。そして次なる目的地へ。
太陽の色
阿波市へ入った。お昼を食べた後にすぐに出たわけだけれど、左を眺めるとすでに…
夕焼けもよう。日が暮れるのも早くなってきた。
なんで沈み込む太陽ってオレンジなんだろう。天高く空に浮かんでいる時はギラギラと真っ白い光を放っている気がするのだけれど。
あぁ。そうか。太陽の光は七色なのだった。虹を見たらわかる。太陽は一色ではないのだ。目に届く光の距離によって認識する色が違う。太陽でさえ色々な面を持っている。
それならば僕の心だって一色ではないのは当然だ。落ち込むこともあれば、飛び上がるほど楽しいときもある。それが普通なのだ。太陽はすげぇなぁ。僕にそんな事も気づかせてくれるのだもの。
アワーズ再び
僕が太陽を眺めながらそんな事を考えていると、目的地が見えてきた。阿波市に入ったと言えば、目的地はそう、アワーズ!(阿波ーず!)
前回は車の中で待っていたが、今回は僕も中についていく事にした。
阿波を前面に押し出しているスーパーのようだ。
阿波を前面に押し出している豚のようだ。阿波ポーク。飛べない豚は阿波の豚だ。阿波ポーク。美味しそう。
豚さんが阿波踊りしてるけど、結局食べられちゃうぞ、この豚さん。食べられる前の最後の踊り狂いということか。頭の中でブヒブヒ言っている無数のブタさんたちを思い浮かべ苦笑する。
えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ブヒブヒブヒブヒ〜♪踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃトントン♪
踊る松茸、狂うあねさん
そんな感じで僕はアワーズをぐるりと見て周っていたのだが、とあるポップが目に飛び込んで来た時、スーパーで独り、二度見をしてしまった。
な。
なんだと!?松茸が800円!今年は松茸が採れず、1キロ100万円だとかいう冗談か本当かわからない話を鴨の湯で盗み聞きしていた僕はビックリ。
すぐさま、あねさんに報告する。
「あ、ほんまやな。安いで」と、あねさんは1つ買ってみよかと購入し、車にいる先生の元に戻る。
その松茸を見た先生は、ラップを破り、匂いを嗅ぐ。トルコ産と書かれているが、香りがいい。「もういっちょ買ってこい!」と指示を出し、あねさんは松茸の場所に駆け出していった。
松茸ご飯。僕は頭の中で松茸が踊る姿を想像していた。
あねさんが戻り、車の中で歌う。
「まつたけ〜まつたけ〜まつたけだ〜♪」
…怪しいキノコを食べてしまったのかもしれない。
預言者先生
アワーズで、トルコ産の松茸800円に喜んだ後、「お前が勝手に決めい」と先生の声。何のことか?と疑問に思ったが、あねさんが「次どこ行く?」と聞く。
よ、予言者だ!
あねさんの言葉を先読みし、先生は先に答えていたのだ。そして今の時間なら景色が綺麗だろうと土柱の湯に向かう。
こうして三人でドライブしていると、車の中の会話でさえ面白い。
土柱の湯!大人500円!
おお!確かに景色がいい。…ま、僕のiPhoneはいつものようにブレブレ機能を発動していて、ここで撮った写真はすべてブレてしまっているのだけれども。
なんでなんだろう。カメラを起動するとおっそろしいぐらいに画面が振動している。カメラを振ってみてもダメだし、傾けてみてもダメ。何度も起動し直さなければならないので、諦める事にした。
ブレないかどうかは運次第だ。
土柱温泉の建物。バックの山とマッチしている。
土柱の湯の入り口。すごく地味だが、ここはいいぞ!
ブレてるけど、大人500円!
中はそれなりに広いし、サウナはとても広く、ドライヤーはタダで使える!そして、なにより景色がいい!!
僕が露天風呂に行くと、なんと誰もいない!貸切だ!向こう側に見える山に夕日が沈む景色が非常に綺麗だ。
日が沈んでからも、街の夜景が広がり、空には満天の星が!
ここ、前に来た時、それほど印象に残らなかった気がするけど天気が悪かったのだろうか?本当にここは良い!
お風呂の種類的には、よく行く鴨の湯とほぼ同じだけど、お客さんは鴨の湯に比べてかなり少ないし、とにかく広いのがよい。
サウナに入って大相撲を見た。今回は豪栄道の取り組みを見てギブアップ。外に出ると夜になっており、先生と一緒に露天風呂に入る。貸切。
ここに前に来た時に山をバックにお孫さんを写真に撮ったらしい。お客さんが他にいなければケータイ持ってきてそれが出来る。
おお。もったいない。日が沈む前に聞きたかったー!貸切だったし、山もくっきり見える天気だったよ。
なんとなく頭に、
春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天香具山
持統天皇
という和歌が頭に浮かぶ。僕も文学者だね。季節全然違うけど。
それにしても、早く出すぎてしまっただろうか。先生とあねさんはお風呂から上がってくる気配がない。
では、僕もここで一句詠んで時間を潰すとしよう。
うーん。うーん。
あ。思いついた。
夏過ぎて秋来にけらしトンカツの衣カリッと天白雲(あまのしらくも)
野口天丼
訳:もう夏は過ぎ去り、いつのまにか秋が来てしまったようですね。湿気がなくなりトンカツの衣はカリッとするようになったし、空の白い雲はあのように浮かんでいるのだから。
…なーんてね。
…。
センスねぇー!!
うだつがあがらないツアー
みんながお風呂から出て来たので、出発。そして「せっかくここまで来たから、うだつの町並みでも見ていくか!」と先生が提案してくれた。
両親が四国に行った時に「うだつが良かった」と言っていたので、是非見てみたい!と僕は答える。
「うだつがあがらない」という言葉で有名なうだつ。
またもや僕のiPhoneがブレブレ機能を発動していたので、上手く撮れずに申し訳ないが、この屋根にある白い長細いものがうだつだ。
火事が発生した時に隣の家に火が燃え移らないようにつけてあるのだと先生が解説してくれた。
…が、見たことがない人にとってはどれがうだつだかわからないらしい。あねさんは何度も「これだろ?これがうだつだろ?」と確認していた。
先生はその度に解説をするのだが、6度目の「これだろ?」という声に「アホちゃう?なんでわからんのじゃ」と苦笑した。その反応にあねさんはむきになって「これだろ?これだろ?これだろ!?」と叫ぶ。
あぁ。このやり取り、デジャヴだわぁ〜。僕は心にうだつを建て上げ、あねさんの飛び火が来ないようにひたすら笑ってやり過ごした。
しばらく懐かしさを覚える町並みを三人で進む。そして先生の解説付きうだつツアー終了。うだつの町並みと名付けられたその一本道は、埼玉の城下町、川越を思い出させる町だった。
あ、そう言えば川越もサツマイモが有名なのか。頭の中の連想ゲームは時々不思議な結びつき方をする。
うだつは火事を防ぐもの、最近起きた川越の菓子屋横丁の火事も、うだつさえあればなぁ…なんて事を考えたのだった。
すき家で失敗
うだつ観光を終えた僕らは、時間も時間なので夕食にする事にした。向かった先はすき家だ。すき家には以前、先生と二人で来たが今日は三人。
僕はすき家に来たら頼むものはいつも決まってシンプルな豚丼を頼むのだが、今日は冒険してみようと思った。
人気No.1という文字に惹かれたのである。とろ〜り3種のチーズ豚丼なんてネーミングもナイスではないか。
とろける3種のチーズが豚丼に絡んでおいしさアップという情報の重複ばかりの説明書きにはセンスの無さを感じたけれど、チーズ大好きな僕には関係ない。
たった20円の追加でおいしさがアップするのであれば、頼まぬ理由はなかろう。
そしてやってきたとろ〜り3種のチーズ豚丼。早速チーズを豚肉に絡めて食べることにしよう。
…ん?
あれ?
微妙じゃね?
チーズとご飯の相性が悪いのだろうか。チーズが好きな僕でも、なぜかこの豚丼を美味しいとは思えなかった。失敗した。いつもどおりシンプルな豚丼を頼めばよかった。
…てか、このメニュー、昔も頼んだことあったわ。その時もチーズいらんわってなったのを食べた瞬間に思い出した。こういう大事な記憶は思い出さないのに、思い出したくない記憶はすぐに思い出してしまう。
人間の脳というのは、難しいもんだ。
うむ。やっぱりこれだ。僕は机の隅に置いてあった紅生姜のビンを手に取り、残ったチーズ豚丼の上にこんもり上書きした。名付けて紅白丼。
真っ赤な紅生姜の酸味と真っ白いコールスローの酸味がダブルで口の中に広がって、豚丼の美味しさアップ!広がるハーモニーをご堪能ください!!
う〜ん、美味♪
え?味覚音痴だって?
…それは言わない約束だろ?この場所は僕に任せて、君は先へ行ってくれ!!
僕は読者のあなたが先へ読み進める間に、ガツガツと豚丼をお腹に流し込むのだった。
四国歩き遍路日記44日目まとめ
お腹をパンパンにした僕ら三人は、いつものように山を登り、小屋へ戻った。
そう言えば、今日は池の鯉を写真撮っていなかったなぁと思い出し、写真撮影。先生は鯉に餌をパラパラとあげていた。
部屋に入り、ストーブを付ける。
部屋があたたまるまではお菓子を食べたりして過ごしたが、パソコンの電源を入れて戦闘態勢。
先生の所のブログの記事を三人で考えるのだ。今回の記事で23個目の記事なのだが、徐々にその書き方が確立してきた。
先生が俳句を考え、あねさんがブログの下書きを書く。
ここまではサラッと行くのだが、最後の僕がまとめあげるという所がいかんせん時間を取られてしまう。頭をぐしゃぐしゃとかき回しながら読みやすい文章を書く。
人のブログだから、口調も気をつけなければならない。
そう考えると、この旅日記は比較的自由に書けるのだから、ちょっと前までこのブログを書くことに悩んでいたけれど、やっぱり書くのは楽しいものだ。
昨日の雲海を見てから、僕の精神はふわっと浮上してきている。
このまま当分の間、落ち着いてくれたらいいのだけれど、エックスデーまで、あと1週間。きっと再び落ちるだろう。でも、それも人生。今日の太陽が教えてくれた。
落ち込む僕も、楽しそうな僕も、全部合わせて自分だ。
そんな事を考えながら、先生のブログの記事をひとつ書き上げた。今日はコバンザメの話。先生とあねさんに読んでもらい、合格点をもらった僕は爽やかな気分で更新ボタンをクリックする。
今日はなんだか気持ちが軽い。うだつのあがらぬ野口くん、どうせ出世も金銭も縁がないのは知っている。裕福じゃなくて構わない。たったひとつ望むのは、今日のような一日が明日も続いてほしい事。
ブログを書いた後の僕らは、今日も夜遅くまで語り合い、まぶたの重みを感じる頃にそれぞれの寝床に向かっていく。
そんな四国歩き遍路日記44日目。