壊れたファスナーの直し方を知らない人って意外と多いですよね。もしかしたら、あなたにも大事に使っていたカバンやお財布のファスナーが壊れたからという理由だけで、泣く泣く新しい物に買い替えてしまった経験があるのではないでしょうか?
僕も先日、母から数年前の誕生日にもらったカバンのファスナーがぶっ壊れてしまって大変ショックを受けました。
そこで、何年も使っていて愛着もわいていた革のバッグだったし、いい感じに色合いも変化していた頃だったので、買い換える気にならず街のファスナーを修理してくれるお店に持っていったんです。
するとファスナーの修理にかかる値段を知ってビックリ!
余程思い入れがあるカバンやお財布でなければ新しい物に買い替えてしまおうと思ってしまっても仕方がないことだなぁ…と思いました。
ですが、ちょっと待って下さい。
壊れたファスナーはある程度の事なら自分で修理をすることが出来るのです!
噛み合わなくなったファスナーはある小道具を使う事で簡単に元通りにする事が出来ますし、たとえファスナーの引き手が破損してしまった場合でも自分で交換する事が出来る事を僕は学びました。
何でも気軽に買えてしまう時代になりましたが、やっぱり「大事に使っている物」には魂が宿るなんていう日本の考え方もありますし、付喪神(つくもがみ)がいたら素敵だな〜と僕は思います。
なので今回のファスナーのトラブルで得た修理の知識を共有しようと思いました。
これを知らずに軽いパニック状態で強引に引っ張って壊れたファスナーを更に悪化させてしまう前に、自分で出来る壊れたファスナーの直し方を知っておきましょう。
知っているか知らないか。そのちょっとの違いがファスナーが付いているあなたの大切なカバンやお財布を長持ちさせることにつながるのです…。
壊れたファスナーの直し方は部位によって違う
洋服やカバン、お財布など非常に身近なものに付いているファスナー。しかし身近であるがゆえに、気にもとめたことがなく僕はファスナーの事をよく知りませんでした。
調べた所、ファスナーとは↑の画像のようにおおよそ4つのパーツで成り立っています。自分の壊れたファスナーはどこなのか。まずはそれをしっかりと把握していきましょう。
1.エレメント
エレメントとは左右に裂けて分かれている歯のような部分の事です。
一番ジッパーっぽいゲジゲジのやつっすね。ファスナーが壊れたと言われて一番最初に思いつくのはコイツのことじゃないでしょうか?
ただし。
エレメントは摩耗することはありますが、意外と頑丈です。
そしてエレメントのかみ合わせが悪いとか、エレメントが閉じない、エレメントがズレるみたいな場合は、たいていの場合コイツの責任ではない事の方が多いのです。
なのでチェックをするのは最後。
もしエレメントの歯が欠けてしまった…。となるとファスナー全部交換を提案される最後の要です。
ちなみにエレメントは大きく分けると3種類。金属ファスナー、コイルファスナー、ピストロファスナーです。まぁ、覚えなくて良いことだと思いますが…。
2.スライダー
スライダーとはエレメント同士を噛み合わせるための部品です。先程エレメントのかみ合わせが悪いとかエレメントがズレるみたいな話をしましたが、その場合はほぼコイツの責任です。
ファスナーを開閉する時に一番力がかかる部分なので消耗が激しいです。
なのでほとんどの場合はコイツをちょこっといじってやるだけでファスナーの開閉はスムーズになります。
ただ、コイツが破損してしまったという場合でも、非常に安価にスライダーは購入することが出来るので安心。
純正にこだわるっていうのであれば、ブランドによってくっそ高く付く場合がありますが…。
3.引き手
ファスナーの引っ張る部分の事を引き手と呼ぶことを僕は初めて知りました。
スライダーにくっついているコイツは、ブランドの顔。ここにロゴが入っていたり、独自の形だったりしますよね。
素材も様々で金属だったり革だったりして、コイツが壊れてしまった場合は正規品を取り寄せるかどうかの選択肢に迫られることになります。
ただ正規品にこだわらなければ、非常に安価に付け替える方法があります。それも後々ご紹介しますので、お楽しみに。
4.ファスナー生地
別名テープとも呼ばれるファスナー生地はその名の通りファスナー特有の生地です。エレメントとカバンや財布などの生地をつなぐ境目の部分。
布なので穴が空いたり破れたりする可能性はエレメントよりも高いです。
なのにこいつ修理屋さんに持っていくと速攻でファスナー全部を交換を提案されます。
手縫いで補える程度の穴なら良いのですが、そうでなければ…。
壊れたファスナーを自分で修理できる部位は…
以上、4つのファスナーを構成する部位を紹介していきましたが、この時点で実は自分で修理できる部分と出来ない部分にわかれます。
自分で修理できないもの。それは1のエレメントと4のファスナー生地。なぜならばファスナー自体を全部交換しなければならないからです。
エレメントが1個欠けただけなら何とかなりそうとか思っちゃいますが、1個欠けただけでも駄目なのだそうです。
ファスナー生地も補強すればなんとかなるだろう?って思いがちですが、非常に力がかかる所なので全部交換が必要ですと言われます。
なのでもし、エレメントが破損してしまったり、ファスナー生地に穴が空いてしまったりした場合は修理屋さんに持っていくか、新しいカバンや財布を購入しなければなりません。
ですが、もし2のスライダーや3の引き手が故障した場合は自分の手で修理出来る可能性が高いのです。
次の章では壊れたファスナーの直し方の具体的な方法を紹介していきます。
壊れたファスナーの直し方:スライダーが生地を噛んだ場合
スライダーが周りの生地を巻き込んでしまって動かなくなる。ファスナーのトラブルで一番多いのがこれではないでしょうか?
その時はまず落ち着きましょう。無理やりスライダーを引っ張ったりすると巻き込んだ生地が破れてしまったり、スライダー自体が破損したりしてしまいます。
この場合に用意する道具はマイナスドライバーです。
そして動かすべきなのはスライダーではなく、エレメントと生地。まずはエレメントと生地を出来る限り密着させ、スライダーとの摩擦を減らしましょう。
うまく行けばマイナスドライバーを使わずに抜き取れる事がありますが、少しだけスライダーを動かしてみて生地を抜き出せないのであれば、生地とスライダーの間にマイナスドライバーを差し込みましょう。
てこの原理でスライダーを広げるように持ち上げると生地が抜き出せます。
もしこの時、スライダーが変形してしまった場合でも、ラジオペンチで挟んでやれば元の形に戻ります。
壊れたファスナーの直し方:エレメントが閉まらなくなった場合
スライダーを上下に動かしてもエレメントが閉まらなくなってしまったり、エレメントからスライダーが外れてしまうようなトラブルもありますよね。
そんな場合に用意する道具はラジオペンチです。
そしてこんな感じでおしりの方を挟んでスライダーの歪みを直しましょう。
基本的にマイナスドライバーで広げ、ラジオペンチで元に戻すという作業を行えば、ファスナーの開閉トラブルは大抵の場合なんとかなります。
お財布のファスナーが閉まらなくなった場合はスライダーのおしりの方の両方をグッグッとラジオペンチで挟んでやるとエレメント同士が密着しやすくなって再びファスナーが閉まるようになります。
壊れたファスナーの直し方:スライダーが動かなくなった場合
長年使っているカバンなどだと、スライダーがうんともすんとも動かなくなってしまう場合が多々あります。
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その時に用意する道具はワセリンです。またはリップクリームなどでも代用可。
生地をピーンと張った状態でエレメントとスライダーにワセリンを塗ってください。これが潤滑剤のように機能し、滑りやすくなります。
少しでも動くようになったら、ワセリンをつけた状態でスライダーを上下させましょう。
そしてある程度スムーズに動くようになったのを確認出来たら、ファスナーから綺麗にワセリンを拭き取りましょう。
壊れたファスナーの直し方:スライダーが破損した場合
スライダーが破損してしまった場合でも、純正にこだわらないのであれば、Amazonなどですごく安価にスライダーを購入することが出来ます。
スライダーの種類や材質、サイズなどはYKKさんの公式サイトですんげー詳しく掲載されているので、商品番号を調べてから購入すると間違いありません。
YKKさん、むっちゃファスナー出してるな。調べてみてビックリした。
ちなみにAmazonではファスナー修理キットなるものも販売されています。あまりにたくさんのファスナーを修理する必要がある場合など便利かもしれませんね。
まぁ、大抵は家にあるマイナスドライバーとラジオペンチで大丈夫だと思いますが。
壊れたファスナーの直し方:引き手が破損した場合
これ。地味にむっちゃ使いづらくなるんですよね。別にスライダーもエレメントも壊れていないからファスナー自体は開閉出来るんですけど、非常に開けにくいし、閉めにくい。
それでここに昔集めたケータイのストラップなんてつけてみたりしてね。しかし大抵は細いヒモなのでブチンと切れてしまうのです。
そんな時に発見したのが「簡単ジッパー修理屋さん」という商品。
威風堂 IFUDO 簡単ジッパー修理屋さん 大8個入り 小8個入り ジッパー ファスナー チャック 衣類 財布 バッグ類 修理 補修
実は今回、「簡単ジッパー修理屋さん」に痛く感動したから書こうと思った記事なんですよ。
これを買ったらね、ポーターのバッグとかユナイテッドアローズのカバンとか、四国遍路で使ったリュックとか、盗まれて引き手だけ折れて返ってきたREDMOONの財布とか全部に使いまわし出来るんです。
まぁ、デザインは純正にはかないませんが、機能性とコスパは抜群。
という事で「簡単ジッパー修理屋さん」の簡単な説明。
ファスナー修理の仕方は箱の裏側に書いてあります。
中身はシンプルにこれだけです。大8個、小8個入っています。
パーツはこんな感じ。引き手の持つ所と、U字金具のみ。
これで引き手ワンセットです。
大と小のサイズ比較はこんな感じです。ちょっとわかりづらいかな?あとで実際に付けた違いを見せます。
使い方は簡単です。ただまっすぐに差し込むだけ。
…って説明しようとしたら、まっすぐに差し込めずにU字金具曲がってしまった。失敗。指でも押し込めますがこんな感じで失敗する事あるんでラジオペンチ使いましょう。
ラジオペンチならまっすぐに差し込めるし、力も入りやすい。
ほら付いた。手前が大のサイズで奥が小のサイズです。この写真でもサイズの違いがわかりづらかったらすいません…。
小サイズはお財布にもギリギリ使えるサイズです。長財布なら大丈夫。
黒のポーターのバッグにも違和感なく馴染むぜ!!
壊れたファスナーの直し方まとめ
という事で以上、壊れたファスナーの直し方、自分で修理できる方法の紹介でした。
いやー、昔ね、僕が小さい頃はこのファスナーというのがどうも苦手でしてね、トイレ後にズボンに付いているファスナーをあげようとしたら、肉に食い込んで、血で真っ赤に染まった事を思い出しましたよ。てへへ。
あれからというもの、僕はズボンは基本的にボタンフライです。Levi’s 501はボタンフライなのでジーンズ大好きなのです。ボタンの所がいい感じで色落ちしてかっこいいんすよね。
…あ、完全に話が逸れました、失礼。
ファスナーの修理の仕方は写真と言葉だけでは説明足らずでわかりにくかったかもしれません。やっぱりこういう時って動画って便利だよね。ブロガーはユーチューバーには勝てないのだろうか…。
ま、文章ならば静かなところでも読めますし、声が魅力的でもなくどもりがちな僕は文章で勝負するしか無いのですよ。オホホホホ。
ということで、動画で検索すると詳しく説明してくれている方もたくさんいるので探してみて下さい。
僕はカバンやお財布、洋服などなど、ファスナーが付いている物たちが長く大切に使われるならそれでいいのです。付喪神、見てみたいなぁ。
ではでは、あなたの壊れたファスナーが無事直りますように。自分で修理できる方法の紹介でした。
ここまで読んでくれてありがとう!
野口明人
おまけの豆知識:ファスナー?ジッパー?チャック?
実は今回、この記事を書いていてすごーく意識していた事があります。
それはファスナーという言葉を使うように心がけること。
というのも、僕の中でチャックの方が使い慣れている言葉なんですよ。でも世間一般にはファスナーで通っているのでファスナーという言葉を使わせていただきました。
ところであなたはファスナーとジッパーとチャックの違いをご存知でしょうか?
1890年、アメリカの発明家ウィットコム・L・ジャドソンというおっちゃんが、46歳の時に「靴ひも結ぶのってめんどい!」と考案されたのがファスナーの始まり。
その当時はclasp lockerと呼んでいました。
clasp lockerは1891年に特許を取りましたが、全く売れませんでした。色々とまだまだ課題は多かったですし、ファッションの世界にも受け入れられなかったんですね。
悲しいことに流行りだしたのはウィットコム・L・ジャドソンの死後の事。
まぁ、それはまた別の話なのでファスナーの名称について話を戻しましょう。
1893年、ユニバーサルファスナー社により量産が開始されます。この時に一般名詞としてスライドファスナーが定着するのですが、それはつまりファスン(Fasten)という動詞、「○○をしっかり留める」からつけられています。
あ、ちなみに海外ではファスナーはスライドファスナーと言わないと通じないらしいですよ。ファスナーはあくまでも「締めるもの」を指すので、ネジみたいな物のことを言うのです。
んで、1921年。このスライドファスナーを締める時の音を商品名化したのがビー・エフ・グッドリッチ社という会社。ジージジーっという擬音「Zip」から取って「Zipper」と命名します。
クロネコヤマトの「宅急便」みたいなものですね。一般名詞としては「宅配便」だけど、商品名としては「宅急便」みたいな。
今ではZipperは商品名ではなく一般名詞化されたようですけどね。
んで、僕がついつい使ってしまうチャックという言葉。これは実は広島生まれの言葉なのです。
1927年、広島の尾道の会社チャック・ファスナー社が「巾着(きんちゃく)」からもじって「チャック印」というファスナーを販売しました。それが評判になってファスナーの事を日本ではチャックと呼ぶようになったのです。
つまり、チャックは和製英語のようなもので海外では全く通じません。
結論、ファスナーもZipperもチャックも全部一緒。人によって呼び方が違うだけなのです。
あー、僕は日本人だったのだなぁと雨の空を見上げながら、しみじみとズボンのチャックを下げるトイレの夜。ジョボボボボ。
それではまたどこかでお会いしましょう(´・ω・`)ノシ
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