『旅のラゴス』を読んで、なるほど。こういう小説もあるんだな、と思った。
SF好きじゃなくてもおすすめしたいSF小説…
僕は基本的にSFなどが特別好きだというわけではないので、あまりSF小説などに触れてこなかったけど、「旅のラゴス」のような小説があるのならもっともっとたくさん読んでみたいと思った作品です。
読み始めなんかは普通の旅のドキュメント小説かと思いました。それだけ普通の旅の情景描写から始まります。そのまま読み続けると突然、「転移」という言葉が出てきます。いわゆるテレポートです。SFの基本用語ですね。そこで気が付くのです。あぁ、これはSFなのだと。
しかし、その後もよくあるようなロケットに乗ったりビームを打ち合ったりする場面は出てきません。ただひたすら主人公が普通の旅をし続け、その場で学んだことなどを独白していくだけなのです。そして時たま、壁をすり抜けたり馬が飛んだりする。
ちょいSF。
この少しのSFの要素が、今までSFに触れてこなかった僕にはすごく心地よく、ずっと読み続けていたいなぁと思える作品でした。しかし、この小説の主人公は歳を取ります。主人公の旅の一生を通しての成長記録なのです。歳を取る以上、終りが来るのです。
小説も終わりのページに近づき、40年以上も経って帰った実家(キテロ市という大都市)に着いたとき、あぁ、この小説の旅も終わりかぁ。と淋しい気持ちになりました。もっと一緒に旅をしていたかったのです。本当に本当に残念でした。
そんな残念な気持ちは主人公も持っていたのかもしれません。彼はある日こんな風に悟ります。
このキテロ市に、わたしは帰郷したのではなかった。 実は旅の途中に寄っただけに過ぎなかったのだ。 旅をすることによって人生というもうひとつの旅がはっきりと見えはじめ、そこより立ち去る時期が自覚できるようになったのであろうか。
215ページ
以上、「旅のラゴス」 筒井康隆著 新潮文庫より引用。
そう。
終わらないんですよ。この人、ずっと旅続けちゃうんです。そしてこの小説の終わり方も憎らしい。
え!?
これで終わり!?
…続きよみてぇヽ(`△´)/
という終わり方で締めくくられます。
筒井康隆が描く作品はがっつりSFの小説が多いらしいですが、ではこのちょいSFは駄作なのかというと、そうでもない。かなり評価が高いもよう。ちょっとはSFに興味もわいてきたし、他のSF作品も触れてみようかなと思いました。
まずは、バックトゥーザフューチャーからかな(笑)
そんな感じで、『旅のラゴス』は大変面白い小説でした。読めてよかったです。ありがとうございました。
追伸:バックトゥーザフューチャー観てみました。レビューを書いてみたのでよければそちらの方もご覧くださいませ。