ブログ小説の九回目の更新。ヨーグルトについて。
前回、思いつきで付けた「頭痛という魔物」というサブタイトル。残念なことにハズレだったみたいで全然読まれませんでした。
あれだけ考えたのに、残念!
今までの中で一番読まれているタイトルは「サイダー日和」です。冒頭でサイダーの豆知識を披露したのが良かったのでしょうか?
映画のタイトルから拝借するという試みも、データ的にはあまり効果がないようなので色々と試してみようと思って、今回はストレートに何も付けずに「ヨーグルト」で行こうと思います。
ヨーグルトでダイエットした時の記事は過去にも書いてありますし。ヨーグルトなら需要はあるかな。ヨーグルトの豆知識。実はヨーグルトの乳酸菌はほとんどが腸に届く前に死滅してしまうんですよ。
なので本当に腸のためにヨーグルトを食べるのであれば、胃酸が少ない、お腹が減っていない時(食事中か食後)に継続的に食べることが重要らしい。
ヨーグルトメーカーをとある事情から手に入れ、R1やらビヒタスやらカスピ海ヨーグルトなどを増やして、“ある方法”で食べ続け…
…という事で、過去に書いた小説をブログ形式に変換して投稿していく企画。どうやったらブログ小説は読まれるようになるのか?
小説自体のタイトルは映画のような人生をです。
全部で39章分あるのですが、今回はその中で第九章「ヨーグルト」をお送りしたいと思います。よろしくどうぞ。
【ブログ小説】映画のような人生を:第九章「ヨーグルト」
「伊波、お前なんやねん。いつまで寝とるつもりや。約束の時間過ぎてんねんで」ドアを開けて開口一番に千葉が呆れながら言った。
「え。もうそんな時間なのか? すまん、この部屋時計がなくて。今何時なんだ?」
「十四時や。とっくの昔にお昼過ぎてんで。せっかく人待たせとったのに、寝坊て」
言葉とは裏腹にあまり怒っていないような調子で淡々と喋る千葉をありがたく思った。こうしてまた会いに来てくれている千葉を嬉しくも思った。
「本当にすまん、昨日ちょっと飲みすぎたようだ。頭がガンガンする」
「なんや、飲んどったんかいな。ほんまや、お前むっちゃ臭いわ。はよう風呂入ってすっきりしてき」
「え。サークルの人って、まだ待ってくれているのか?」
「当たり前やないか。何の為に俺が迎えに来たと思ってんねん、はよせな。二時間も待ってくれてはるんねんで」
「わかった。すぐ準備する」と、内心ぼくなんかを待っていてくれる事にしっぽを振って喜びたい気持ちになりながら、お風呂で汗を流した。心地良い熱湯が頭をすっきりさせる。
結局、大学の食堂に着いたのは十五時を過ぎた頃だった。千葉は、伊波何も食ってへんのやろと、生姜焼き定食を奢ってくれた。
千葉から五百円を渡され、学食のおばちゃんに注文を告げ、お盆を持って待っていると、
「あら、あなた久しぶりね」と生姜焼き定食をお盆に乗せながら学食のおばちゃんは言った。
ほんのちょっとの言葉だった。ほんのささいな言葉だった。それでもその言葉にぼくは涙が出そうになった。ぼくを覚えていてくれる人がいるのか。
学食のおばちゃんが急に身近に感じた瞬間だった。今までおばちゃんはただの店員で、学校の風景の一部でしかなかった。ぼくと深く関わる人間と言えば、学生だけだと思っていた。
「これ、おまけね」と言いながらおばちゃんは横に合ったヨーグルトを取ってお盆においてくれた。
「ありがとうございます」感極まっていたぼくは、その言葉を言う事で精一杯だった。
【ブログ小説】映画のような人生を:第九章「ヨーグルト」あとがき
ヨーグルトとサブタイトルを付けた、今回の学食でのワンシーン。実はこれは実体験でございます。
僕が通っていた大学って、文学部だけが独立していて、そこに文カフェと呼ばれる食堂があったんですよね。
そしてカフェという名前で呼ばれるだけあって、一日中そこに滞在が出来る。んで、ぼっちに近かった僕の居場所と言えば図書館か、その文カフェだったわけです。
文カフェで僕がいっつも頼んでいたメニューがチキン和風おろしっていうやつで、それが190円もしなくてね、お笑いの学校のお金を貯めつつ大学に行っていたから毎日そればっかり。
んで、いざお笑いの学校に行くようになってからは大学に行く時間が変わってきて、文カフェにいることもなくなって。
その1年後ぐらいかな。たまたま文カフェでご飯食べようと思ったら、店員さんに声かけてもらってね。その時に「最近顔見せなかったじゃない。ご飯ちゃんと食べてるの?」ってヨーグルトをサービスしてもらったんですよ。
思いも寄らない人から、見守ってもらえていた事がこんなに嬉しいとは。そのエピソードがすごく心に残っていたので、作品の中に入れ込みました。
孤独だなんだと感じている時は、ものすごい閉塞感に襲われて、周りが見えなくなるけれども、実は自分が思っているよりも、誰かがどこかで見守ってくれている。
ひとりぼっちでどうしようもなくなった時は、今ある環境だけじゃなく、もうひとつふたつ世界を広げた視野で見てみると、まだまだ希望が持ててくる。
そんな事を考えた実体験でした。
という事で、今日はちゃんとあとがきっぽかったかな。
ではでは、【ブログ小説】映画のような人生を:第九章「ヨーグルト」でした。
野口明人
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
【ブログ小説】映画のような人生を:次回予告
注意:
ここから先は次回の内容をほんの少しだけ含みますが、本当に「ほんの少し」です。続きが気になって仕方がないという場合は、ここから先を読まずに次回の更新をお待ち下さいませ。
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「伊波、こっちや、こっち」と、千葉は周りにたくさんの食事中の学生がいるにも関わらず大きく手を振りながら大声でぼくを呼んだ。ぼくは少し恥ずかしくなったが、求められている気がして悪い気はしなかった。
次回へ続く!
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