【ブログ小説】映画のような人生を:第二十九章「毒素」

ブログ小説の二十九回目の更新。毒素について。

何かに自分が毒されていると感じる時はありますか?たとえそれがとても小さなものでも、人間は習慣の生き物。一度身についてしまった習慣はなかなか辞めることが出来ません

毎日繰り返されて、蓄積していくその毒素は、徐々にあなたを蝕んでいき、気がついた時には取り返しのつかない事になっています。そしてそこまで到達して初めて、自分の過ちに気がつくのが人間です。

痛みを知らなければ、物事の重要さに気が付かない。そういうもの。そんな過ちを繰り返して強くなっていくのです。

…が、そんな事を何回も体験していると、精神がすり減っていってしまいます。なので、爆発させる前に少しずつ毒抜きをしていく必要があります。

しかし、自分の悪習から脱却するためには、ちょっとずつ減らしていくなどという事をやっていては辞められません。まずは3日。3日で良いので完全に断絶してください

きっと、その途中で挫折してしまうでしょう。しかしその時に挫折してしまったことを卑下する必要はありません。まずは記録しましょう。何日我慢できたかを。

そしてそれを褒めましょう。次はその期間よりもう少しだけ長い期間を目標に掲げます。次もきっと失敗するでしょう。もしかしたら一回目よりも短い期間になってしまうかもしれません。

それでも褒めましょう。何が良かったのかに焦点をあてましょう。それを繰り返していく内に悪習は良習に塗り替えられていきます。

…という事で、ここからは過去に書いた小説をブログ形式に変換して投稿していく企画。映画のような人生をというブログ小説をお送りします。

全部で39章分あるのですが、今回はその中で第二十九章「毒素」をお送りしたいと思います。どうぞよろしく。

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【ブログ小説】映画のような人生を:第二十九章「毒素」

ブログ小説-映画のような人生を-毒素-あらすじ

 千葉は毎日のように、ぼくの部屋にお見舞いに来てくれた。アヘンの中毒症状はひどく、体はげっそりと痩せていた。鏡を見ると瞳は色を失っていた。

 アヘンを絶ってからの禁断症状もひどかった。誰かが傍にいなければ失踪していたかもしれない。ぼくは自分を自分で保てなくなっていた。千葉は暴れるぼくをその細い体で何度も何度も抱きしめてくれた。

「すまん。本当にすまん」と繰り返し千葉は言った。千葉が泣いていたのを見たのは初めてだった。なぜ謝るのだろう。迷惑をかけているのはぼくの方なのに。かすかな意識の中、そんなことを思った。そしてまた暴れた。

 千葉がどうしても部屋にいられない時は代わりに千秋さんが傍にいてくれた。ぼくは何度も自分に噛みつき、両腕は内出血で紫色に荒れていた。そうでもしなければ千秋さんに当たっていたからだ。

 自分が弱い時、人間はさらに弱いものに当たる。そんな本質に何度も流されそうになった。千秋さんを無茶苦茶に壊してしまいたい。頭のどこかで常にそう考えていた。

『壊せ。そうしなければお前の方が壊されるぞ』頭の中の声が何度もそう囁いた。その度に自分の腕に噛みついた。千秋さんはそれを見ては何度も泣いた。その涙を見てはまた彼女を壊したいという衝動に駆られ、自分に噛みつく。その繰り返しだった。でも、負けたくなかった。千秋さんを失いたくなかった。だから耐えた。耐え続けた。

 吐き気はなかなか退かなかった。気を抜けばすぐにアヘンを吸いたくなる。目と耳は正常なのか異常なのか自分ではもうわからなかった。見えるはずのものが見えず見えないはずのものが見える。

 でも、普段のぼくだって見えるはずのものは見えていなかったのだ。人間は初めから毒に侵されている。自分で自分に毒を打ち、自分で自分を惑わす。麻薬は弱さを形で表しただけに過ぎない。

 普段、神や仏を信じなくても、なんとなく目に見えるお地蔵様や仏像にはお祈りしてしまうのに似ている。今回すがったのは神様ではなく悪魔だったけれど。目の前にきっかけさえあれば、人間の弱さなんてすぐに露呈する。ぼくはなんて弱い人間なんだ。自分で自分が嫌になる。

 それでも千葉や千秋さんは辛抱強く傍にいてくれた。病院には行かなかった。それはぼく自身が捕まりたくないせいかもしれないし、千葉や千秋さんを巻き込みたくないせいだったかもしれない。自分でもよくわからない。

 千葉は病院に行くことを強く勧めてきた。それでもぼくは最後まで拒んだ。病院に行ったら何かが壊れしまう気がした。ズルいかもしれないが、なかったことにしたかった。千葉と千秋さんと普通に関わっていきたいだけなんだ。

 嫌なんだ、もう。独りは嫌だ。

【ブログ小説】映画のような人生を:第二十九章「毒素」あとがき

ブログ小説-映画のような人生を-変化-あとがき

さてさて。今回でついに二十九回目の更新になりました。毎回、冒頭で言っていることですがこのブログ小説は、過去に書いたものなのですでにラストまで書き終わっております。

それが三十九回なので、ラスト十回で終わりなのです。

この企画を始めた時は、3回ぐらいで更新するの嫌になるなぁ〜なんて思っていましたが、なんだかんだで1ヶ月近く、休みなく毎日更新を続けることが出来ました

…って、これは39回を終えた時に書くことだな。

毒素で何か自分の体験があるかな?って考えたんですけど、思い浮かばなかったんですよね。なんだろうなぁ〜。

あ、悪習慣と言えるかどうかはわかりませんが、小さい時から毛布が好きなんですよ。あの触感がたまらなく好きで、夏でもタオルケットにせずに毛布で寝ております。

んでね、家具屋さんとか行くと毛布とか並んでいるじゃないですか。あれをね、どうしても触っちゃうんですよ。

お店の商品をペタペタ触るのってあんまり良くないことだとは思うんですけど、見つけたらどうしても触らずにはいられない。しかも手のひらじゃなくて手の甲で触るのが好きなのです。

わかりますかね、この感覚。手のひらじゃ駄目なんですよ。手の裏側で触れるか触れないかぐらいのスレスレの触感がたまらんのです。

しかもね、最近すごい事に気がついたのです。ユニクロのファーリーフリースっていうのが、触感が毛布なんですよ。歩く毛布みたいな。

いつでも触りたい放題。表も裏も毛布みたいな素材なので、着る時も気持ちいいし、着ている時も気持ちいいのです。

こりゃー、堕落していきますなぁ〜。僕はもうこれなしでは生きられぬ。ユニクロに行った時は探してみて下さいませ。

ではでは、【ブログ小説】映画のような人生を:第二十九章「毒素」でした。

野口明人

ここまで読んでいただき本当に、本当にありがとうございました!

あ、ちなみに毛布はマイクロファイバー製の肌触りが大好きです!

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【ブログ小説】映画のような人生を:次回予告

ブログ小説-映画のような人生を-次回予告

注意:

ここから先は次回の内容をほんの少しだけ含みますが、本当に「ほんの少し」です。続きが気になって仕方がないという場合は、ここから先を読まずに次回の更新をお待ち下さいませ。


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 四、五日ほど経っただろうか。今日もぼくは禁断症状と闘っていた。千葉の話によるとアヘンの禁断症状は七十時間程で収まるらしい。

次回へ続く!

【ブログ小説】映画のような人生を:今回のおすすめ

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