ブログ小説『映画のような人生を』が、前回無事に最終回を迎えましたので、今回はそのまとめというわけではありませんが、読みやすいように目次を付けたいと思います。
目次って一体いつから出てきた文化なんでしょうかね。日本の本では目次って最初に書かれていますが、フランスの本だと巻末に書かれるのが一般的なんだそうですよ。
紙の媒体の時はあんまり目次を使うことなかったですが、電子書籍が登場してからは、クリックひとつでそのページに飛ぶ事が出来るっていうので、全集などを読む時に目次が大活躍するようになりました。
目次を最初に考えた人って、きっと読者の気持ちを考えて、こんなものがあったら便利かもしれないなぁ〜って思ったんでしょうね。世界は思い遣りで溢れている。
ということで、今回はブログ小説『映画のような人生を』の目次をお送りしたいと思います。
- 1 【ブログ小説】映画のような人生を:目次
- 1.1 映画のような人生を:第一章「雨に唄えば」
- 1.2 映画のような人生を:第二章「都会の幻想」
- 1.3 映画のような人生を:第三章「マン・オン・ザ・ムーン」
- 1.4 映画のような人生を:第四章「ファンシイダンス」
- 1.5 映画のような人生を:第五章「サイダー日和」
- 1.6 映画のような人生を:第六章「心の喧騒」
- 1.7 映画のような人生を:第七章「赤いコートを着た少女」
- 1.8 映画のような人生を:第八章「頭痛という魔物」
- 1.9 映画のような人生を:第九章「ヨーグルト」
- 1.10 映画のような人生を:第十章「大学生」
- 1.11 映画のような人生を:第十一章「幸せのカタチ」
- 1.12 映画のような人生を:第十二章「生姜焼き定食」
- 1.13 映画のような人生を:第十三章「コースター」
- 1.14 映画のような人生を:第十四章「空のスクリーン」
- 1.15 映画のような人生を:第十五章「説明会」
- 1.16 映画のような人生を:第十六章「アノニム」
- 1.17 映画のような人生を:第十七章「友達の顔」
- 1.18 映画のような人生を:第十八章「膨らむ気持ち」
- 1.19 映画のような人生を:第十九章「儀式」
- 1.20 映画のような人生を:第二十章「コーヒー」
- 1.21 映画のような人生を:第二十一章「スーツ」
- 1.22 映画のような人生を:第二十二章「信疑」
- 1.23 映画のような人生を:第二十三章「変化」
- 1.24 映画のような人生を:第二十四章「蝉」
- 1.25 映画のような人生を:第二十五章「愛情」
- 1.26 映画のような人生を:第二十六章「逃避」
- 1.27 映画のような人生を:第二十七章「楽園」
- 1.28 映画のような人生を:第二十八章「無知」
- 1.29 映画のような人生を:第二十九章「毒素」
- 1.30 映画のような人生を:第三十章「シミ」
- 1.31 映画のような人生を:第三十一章「親友」
- 1.32 映画のような人生を:第三十二章「疑惑」
- 1.33 映画のような人生を:第三十三章「独占」
- 1.34 映画のような人生を:第三十四章「花」
- 1.35 映画のような人生を:第三十五章「決意」
- 1.36 映画のような人生を:第三十六章「千秋」
- 1.37 映画のような人生を:第三十七章「電話」
- 1.38 映画のような人生を:第三十八章「千葉」
- 1.39 映画のような人生を:第三十九章「これから」
- 2 【ブログ小説】映画のような人生を:目次のあとがき
- 3 【ブログ小説】映画のような人生を:今回のおすすめ
- 4 他の記事などはFacebookで更新がわかります
【ブログ小説】映画のような人生を:目次
ブログ小説「映画のような人生を」は全部で39章あります。ここからは各章の冒頭と各章でおすすめした商品、そして各章へ直接飛べるリンクを紹介していきます。
これから読み始めるあなたも、もう一度読み返そうとしているあなたも、ぜひイメージを思い浮かべながら読んでみてくださいませ。
読書とは、文字を頭の中で映像に変換させる事だと思っております。僕の拙い文章を、あなたの頭の中で完成品に磨き上げてくださいませ。
ではでは、目次です。
映画のような人生を:第一章「雨に唄えば」
- こちらをクリックで冒頭を表示する
- ここに一台の電話がある。
幾時経っただろう。電話の前に座り続け、鳴らない電話を眺めていた。変化はない。誰と約束したわけでもない。だから電話は鳴らない。誰かがぼくに連絡を取る必要がなければベルが鳴らないのは当たり前の話なのだ。なのに、ぼくはなぜか海の底で一人取り残されたような取り留めも無い孤独を感じてしまう。
映画のような人生を:第二章「都会の幻想」
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- 都会に出てきたのは、大学に通うためだった。
高校で進路を選ぶ時期、どれだけ考えても、やりたいことなんて何も見当たらなかった。今までなるべく優等生でいようとした。親の言うとおり生きてきた。なんでも卒なくこなしてきたつもりだ。でもそれじゃ何も残らなかった。
映画のような人生を:第三章「マン・オン・ザ・ムーン」
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- コン、コン、コンと音は三回続いた。そして間を開けて三回。コン、コン、コン。頭が真っ白になった。心臓が右に強く跳ねた。自分が今何をしていたのかさえわからなくなった。今の音は何だ。そう思う頃に、また間を開けて三回。コン、コン、コン。ただただ音が続く。奇妙なぐらい等間隔に。そしてリズミカルに。突然の出来事にぼくは動けなかった。
映画のような人生を:第四章「ファンシイダンス」
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- こいつは誰だ。ぼくの目の前には見たことのない男が一人立っていた。病弱とも取りかねないほどに華奢な体だが背は高い。細めの白いボタンダウンシャツを首まできっちりとボタンを留め、色の落ちきった薄いブルージーンズをはいている。その濃淡のない服装のせいで細い体が余計に細く見える。しかし靴だけは、はっきりとした赤のエナメルのスニーカーでひときわ目立っている。中でも妙なのは見事なまでに剃髪されたツルツルの頭と恐ろしいほど落ちくぼんだ両目だった。
映画のような人生を:第五章「サイダー日和」
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- 「いや、特に入りたいサークルがなかったんだ」そうぼくは答えた。
嘘だ。正直な話、入りたいサークルは山ほどあった。しかし、サークルとは誰かが誘ってくれて一緒に入るものだと思っていた。伊波一緒に入ろう、と。その言葉を待っていたが、誰もぼくを誘ってはくれなかった。歓迎会でお酒を飲み、仲良くなっても、誰もその言葉を言ってはくれなかった。だから入らなかった。ただ、本当は入りたかった。サークルはどこでもよかった。みんなと一緒の空間で過ごせれば、どのサークルでもよかったんだ。なのに。
映画のような人生を:第六章「心の喧騒」
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- 千葉が帰った後、ぼくは久しぶりに外に出ようという気分になった。雨も上がり、ぬるい風に吹かれながら外を散歩した。家の外に出たのはどれぐらいぶりだろう。空を見上げた。月はもう怖くはなかった。小さい月。どこまでも歩いて行ける気がした。
映画のような人生を:第七章「赤いコートを着た少女」
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- 今、ぼくはどこにいるのだろう。目を開けると周りは真っ暗だった。いつの間にか眠っていたらしい。首筋が少し痛んだ。無意識に左手の甲を掻いた。蚊に刺されたようだ。掻けば掻くほど痒みが増した。
映画のような人生を:第八章「頭痛という魔物」
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- 家に帰り、スーパーマーケットで買ってきたサファイアとプラットを混ぜ合わせ、グラスに注いだ。
オリーブを飾るなどという洒落た趣向はせず、ぼくはひたすら二つを混ぜては飲み干し、その行動を繰り返す。そういった単純作業は考え事をするには都合がいい。グラス越しに彼女の顔を思い出す。
映画のような人生を:第九章「ヨーグルト」
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- 起きた時間はわからない。ただ、昼過ぎだったと思う。布団の中で微睡と闘っていると部屋をノックする音が聞こえた。眠い目を擦りながらドアを開ける。
映画のような人生を:第十章「大学生」
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- 「伊波、こっちや、こっち」と、千葉は周りにたくさんの食事中の学生がいるにも関わらず大きく手を振りながら大声でぼくを呼んだ。ぼくは少し恥ずかしくなったが、求められている気がして悪い気はしなかった。
映画のような人生を:第十一章「幸せのカタチ」
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- 「そうやって見えてきたものは人生単位で物事を考える事。物事を四年間という小さい単位で見るのではなく、一生という大きい単位で見てみるの。するとね、結局自分探しっていう問題にあたるのよ。伊波君は、人の一生の価値って何で決まると思う?」と千秋さんはぼくに質問をしてきた。
映画のような人生を:第十二章「生姜焼き定食」
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- 「伊波君は、自分が自分である証明って出来る?」と千秋さんは右手人差し指を立てながら哲学的な事を言い出した。
映画のような人生を:第十三章「コースター」
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- その日の夜、千葉と一緒にサークル決まった記念でバーに飲みに行った。場所は大学からそう離れていない小さめのバーで、クラシックの曲が流れていた。バーに行くのは生まれて初めてだった。都会の匂いがした。
映画のような人生を:第十四章「空のスクリーン」
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- その日は千葉と朝までそのバーで飲み明かした。店を出るころには喉は酒に焼かれてしゃがれた声になっていた。随分と泣いた。飲んだ酒と泣いた涙とどちらが多かったかわからないぐらい泣いた。
映画のような人生を:第十五章「説明会」
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- その二日後、ぼくと千葉は千秋さんに連れられて、サークルアノニムの説明会に参加した。サークルに説明会なんてものがあることを初めて知ったが、知らない事をすべて拒絶するのは自分の世界を狭めるだけだと先日言われたばかりだったので、ぼくはその説明会を積極的に受け入れようと思った。
映画のような人生を:第十六章「アノニム」
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- 「みなさん、こんにちは。アノニム代表の神田です。今日は、私の勝手な都合により、説明会に参加することが出来ませんでした。本当に残念です。ただ、私がみなさんにお伝えしたい言葉は、高橋君にお渡ししておきましたので、高橋君お願いしますね」と言ったところでその男は「どうも、高橋です」と自己紹介をした。
映画のような人生を:第十七章「友達の顔」
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- 「おつかれさま。どうだった、うちのサークル興味持った?」と千秋さんはぼくに聞いてきた。夕日が情熱的に燃える帰り道だった。
映画のような人生を:第十八章「膨らむ気持ち」
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- ぼくが戻ると、千葉と千秋さんは楽しそうに二人で話していた。話しかけることに躊躇した程だ。そんな二人の仲を微笑ましく思った。そして、少し嫉妬した。
映画のような人生を:第十九章「儀式」
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- 土曜日までは早かった。何をしたというわけではない。ただいつものように家にいて翔子と話したり、ロングピースを燻くゆらせながら本を読んだりしていたら、いつの間にか時間は過ぎていった。ぼくの生活はサークルがなかったら、何一つ変わっていないのではないかと少し戸惑った。ただ、その戸惑いも舞踏会の事を考えると、楽しさですぐに消えた。大学生である必要はないのだ。今、ぼくにとって必要なのは何かに打ち込む事。それがサークル。それでいい。
映画のような人生を:第二十章「コーヒー」
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- 「あら、伊波君じゃない」と声がした。
映画のような人生を:第二十一章「スーツ」
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- 結局名前は決まらず、今のままの名前で参加することにした。千秋さんだってそのままの名前で参加しているのだから、ぼくだっていいはずだと勝手な理論をかざした。
映画のような人生を:第二十二章「信疑」
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- 加藤と話した後、何をしたらいいのかわからず、会場の端を行ったり来たりしていると、千秋さんが会場の前の方に現れ、マイクを使って開会宣言をした。会場に静寂が訪れる。
映画のような人生を:第二十三章「変化」
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- 結局、ぼくはそれから何度も名前舞踏会に通った。お酒を飲みながら、毎回誰かと知り合うたびに自分の自己紹介を行い、その匿名性を楽しむ。社交の場を楽しむ。そして人との関わり方を学ぶ。この場所では初めの説明会で神田さんの言った言葉がすべてだった。自分は特別であり、相手も特別である。相手は自分を大切にしてくれるし、自分も相手を大切にしたいと思う。誰もぼくを疑ったりしないし、ぼくが言った言葉をそのまま捉えてくれる。まさに理想の世界が存在していた。
映画のような人生を:第二十四章「蝉」
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- なぜ、人の気持ちは変わってしまうのだろう。なぜ人の関係は変わってしまうのだろう。永遠に続けばいいと思う物事ほど脆く、簡単に崩れ去っていく。
映画のような人生を:第二十五章「愛情」
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- それはロングピースが切れた時の出来事だった。千葉はいなかった。
映画のような人生を:第二十六章「逃避」
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- その部屋で見たものは異様な光景だった。
映画のような人生を:第二十七章「楽園」
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- 体が地面に吸い寄せられる。重力に逆らわず、神様がお前は飛ぶ必要がないのだよと優しく背中を撫でてくれているようだ。
映画のような人生を:第二十八章「無知」
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- 後にぼくが吸ったものがアヘンだと知ったのはそれから数ヶ月も後の事だった。
映画のような人生を:第二十九章「毒素」
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- 千葉は毎日のように、ぼくの部屋にお見舞いに来てくれた。
映画のような人生を:第三十章「シミ」
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- 四、五日ほど経っただろうか。今日もぼくは禁断症状と闘っていた。千葉の話によるとアヘンの禁断症状は七十時間程で収まるらしい。
映画のような人生を:第三十一章「親友」
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- その日を境にぼくは禁断症状から抜け出した。吐き気も収まり、普通に生活出来るようになった。戻らなかったのは食欲だけだった。ぼくの腕や足はすっかり痩せ細り、自分で見ても木の棒がぶら下がっているようにしか見えなかった。何かを食べようという気にならなかった。
映画のような人生を:第三十二章「疑惑」
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- わからない事はその後も起こった。それはぼくが初めて神田さんに会った時の事だ。
映画のような人生を:第三十三章「独占」
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- 加藤は挨拶を終え、マイク近くにいた男の人と話をしていた。ぼくは気持ちが高ぶっていたのもあって、楽しそうに話をしているにも関わらず話を割って声をかけることにした。
映画のような人生を:第三十四章「花」
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- 気がつくとすぐ目の前に千葉の横顔があった。
映画のような人生を:第三十五章「決意」
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- 次の日からぼくは病院で様々な検査を受けた。
映画のような人生を:第三十六章「千秋」
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- ぼくはその夜、病院をこっそり抜け出した。
映画のような人生を:第三十七章「電話」
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- ぼくは千秋さんと別れ、自分の部屋に戻った。
映画のような人生を:第三十八章「千葉」
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- ぼくは痛む体をひきずりながら、部屋の片づけをした。
映画のような人生を:第三十九章「これから」
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- 千葉はずっと泣いていた。大声を上げ過ぎて声がしゃがれていた。
【ブログ小説】映画のような人生を:目次のあとがき
目次にあとがきなんてあるのかい!って感じはするのですが、自分でこの目次を作っていた時に感じた事を少々。
パラグラフリーディングってご存知ですか?
僕が大学受験の時に、英語の長文読解で使われていた手法なんですが、各章の冒頭だけを先に読んでしまって流れを掴むってのがパラグラフリーディングなんですよ。
大学受験に出てくる問題は論理的に考えられるか?っていうのを試しているテストなので、出てくる長文も起承転結で論理的に説明されているものが多いんですよ。
なのでパラグラフリーディングを使って、最初に筆者はどんな考えの持ち主なのか?この論文はどんな事を言いたいのか?というのを予め理解してから、細部を読んでいこうというやつで、英語が苦手だった僕はこれのお陰で、英語が一番の得意教科になりました。
んでね、今回、各章の冒頭だけを抜き出して紹介して来ましたが、それをパラグラフリーディングばりに全部ズラーッと順番に読んでみたら、見事に意味分かんないでやんの。
ぷはーっ!
まぁ、論文じゃないもんね。だから別に意味がわからなくても大丈夫だよね。これでこの作品の魅力が半減したりしないよね。
ちなみにクリックしたら冒頭が表示されるようにしましたが、デザイン上の問題です。全部揃っていた方が良いよなぁ〜って思ったので。
それにクリックしたら表示するってなんか楽しくないですか?ポチポチとクリックするのめんどいわ!という方がいたがごめんなさい。
という事で、こんな感じのあとがきで今回はお開きに。
それではまたどこかでお会いしましょう!
あ、最終回に載せた次回予告は『波紋』というタイトルの作品ですが、またブログに載せる事があればタイトルが変わるかもしれません。
ではでは、また。
野口明人
あ、今回のおすすめの本は、僕の中でだいぶ大きな存在になっているクリストファー・ボグラーの一冊です。ブログ小説を書く上でもお世話になりました。
暇があったら、ぜひ中身を覗いてみてくださいませ。
ここまで読んでくれて、本当にありがとう!!