『贖罪』はドラマを先に見るべし。原作→ドラマだとドラマ楽しめない

贖罪』に出てくる全ての人は被害者で加害者である。

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気分転換に…

夢野久作のドグラ・マグラを読んでいたんだけども、どうも先に進まなくなってきたので、気分転換に湊かなえの「贖罪(しょくざい)」を読んだ。彼女の作品は、「告白」「少女」に継ぎ三作品目である。感想。とにかく読みやすい。読みやすく、先が気になる。気が付けば一日でこの本を読み終えた。

湊かなえの前の作品と比べてしまえば、「少女」より面白く、「告白」よりも衝撃は少ない…という感想になる。

女の子5人組の小学生がある事件に出会い、そのうちの一人が殺害される。残りの4人は犯人の顔を見たはずなのだが、なぜか四人とも犯人の顔を思い出せないという。そのせいもあってか、犯人がなかなか捕まらず、殺された女の子の母親は、残りの4人を呼び出し、

「思い出せない思い出せないばっかり。もううんざり。あの子を殺したのはあなたたち4人よ。あなたたちは人殺し。私はあなたたちを許さない。犯人を捕まえなさい。そうでなきゃ、私が認めたくなるような償いをしなさい。」

みたいな、事を言い捨てるのである。

…こんなこと言われたらトラウマじゃ。

ただでさえ、友達が殺されて、事件に巻き込まれ、精神的におかしくなっているというのに、人殺しだなんだと、大の大人に言われるのだから。

そこから、一人一人の人生が送られていくのだが、この作品の登場人物はすべての人が被害者であり、そのことが原因で加害者になっていく。

それがこの作品のタイトルになっている「贖罪(しょくざい)」=罪滅ぼし、なわけだが、まぁ、ちょっと厳しい事を言えば、みんな変態です。ちょっと頭おかしいです。読んでいてムカムカする事が多々ありました。でも、そういうのを我慢できれば面白いかと思います。

湊かなえは「告白」の時に感じたのだけれど、人の感情の「怒」を引き出すのがうまいのだと思う。犯人のお母さん、テレビでは木村佳乃が演じていましたが、その人と似たようなタイプが今回の贖罪の主人公的存在の殺された女の子のお母さんとして出てきます。

なんなんでしょう。あの、間隔のズレた感じで、自分は間違っていないというスタイル。そういう登場人物が出てくる度にイライラっとするわけですが、その登場人物のおかげで湊かなえの小説は引き締まっているわけで、やっぱりうまいなぁと思います。

ただ、「告白」「少女」「贖罪」と、すべてが複数の視点から書かれている文体?なので、ちょっと飽きてきました。ストーリーの面白さで引っ張って行ってくれる作品も読んでみたいです。いや、面白くないわけではないんですが、この文体だと、ぼやける部分が多すぎて、読み終わった後にしこりが残る感じがしてしまうので。それと、若干強引でも許されてしまう書き方なので、今度は一本どばっと主人公がぐいぐい引っ張ってくれるようなものが読んでみたいです。

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まぁ、色々とぶつくさ言ってますけどね、

とりあえず面白かったですよ。さすがでした。ただ、前回の「少女」は前評判が悪かった分だけ、お、意外に面白かったじゃん!って感じでしたが、今回の「贖罪」は前評判がよかった分だけ、まぁ、こんなもんだろなって感じでした。

二つを比較すると、もちろん贖罪のほうが面白かったんですけどね。期待しすぎました。ドラマ化もされているし。

あ、ドラマはまだ全部観ていませんが、第一話だけ触れてみたかんじ、ドラマを先に観たほうがいい感じがしました。原作を先に読んでしまうと、ドラマは原作をがらっと変えたアレンジが多すぎて、気になって集中できないと思います。でも、俳優陣が豪華なので、どういう感じになるのか楽しみで最後まで観るつもりですが。

はい。

そんな感じで、湊かなえの三作品目、『贖罪』の感想でしたが、「少女」が好きになれたのなら読んでみても楽しいと思いますが、「告白」のようなものを期待しているとがっかりしそうな、そんな感じの作品でした。

再三言いますが、面白いことは間違いないです。

ではでは。

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